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第2部

「結局今日も渡せなかったなぁー……」

 私は家の階段を登りながら、ぼんやりと呟く。


 私には好きな人がいる。同じ学校の先輩で、翔の友達。

 その人に気持ちを伝えたくて、でも私こんな性格だし。上手く言えないから。

 手紙に書いたのは良いんだけど。いつも渡せずに、いる。


 テレビだって本当は言い訳。

 今日こそ渡そうと思って追い掛けてみたものの、翔がいたから、やめた。

 恥ずかしいし。


「……あれ?」

 ブレザーを脱ごうとして、やっと気付いた。


「……ない。ない!」

 ポケットに入れてあった手紙が、ない。


「走ったから!? 落ちたんだきっと! うわああどうしよう!」

 何でポケットなんかに入れたんだよぅ、私! と後悔してももう、遅い。


 急いで自分の部屋から飛び出して、階段を駆け降りた時。


 ――ピンポーン

 チャイムが鳴った。家には今、私しかいない。

 なんだよこんな時に!

 バンッ! と家の扉を開けると、そこには。


「よう」

 翔。


「何!? 何か用!? わ、わたっ、私今忙しいんだよね!」

「落ち着け。お前の気が動転してる理由は、大体わかってるから」

 え、今何て?


「これ、落として行ったぞ」

 差し出されたのは、私の手紙。私は半ば強引に奪い取ると。


「なな、何で翔が持ってんのさ!」

「いや、お前が落として、俺が拾ったからだろ」

「……まさか読んだ?」

「開けてねぇよ、シール剥がれてねーだろ。でも……お前これ、ラブレターじゃねぇの?」

「!!!!!」

「図星か。本当に拾ったの俺で良かったな」

「……どういう意味?」

「それ、圭介に渡すんだろ?」

「何で分かるの」

「そりゃ分かるよ。お前見てれば。お前単純だから」

 コイツにだけは知られたくなかった。絶対、絶対。笑われる。


「……笑うでしょ? 笑うよね、私みたいながさつな女が」

 私は俯いて。


「笑わねぇよ」

 でも翔は、鼻で笑って。


「頑張れよ」

「……え」

 私は驚いて顔を上げた。何時になく、翔は真面目な顔をしてるように見えた。


「まぁ、そんだけだ。じゃあな」

「お……おう。ありがと」

キョトンとしたまま動けない私を置き去りに、翔は帰って行った。

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