第三話 入れない部活
「はぁ!?サッカー部は坊主なんすか!?」
無事に身だしなみ検査を終えた俺は、昼休みに残り一週間の間に部活に入部して内申点を上げるために担任の教師会うため態々大っ嫌いな職員室に尋ねたのだ。
「桑名くん別にいいじゃないですか。髪の毛をちょっと短くするだけですよ?そんなに嫌がらなくても…」
先生は続ける。
俺の肩をつかみ、顔をずいっと近づける。
「そもそも桑名くん!今日も一日だけ黒髪に戻しただけでしょう?金髪をやめないといつか退学になりますよ~?部活に入ればその心配もなくなります。サッカー好きなんでしょう?」
…ばれていたようだ。
「よくご存じで、でもなんで坊主なんすか?意味が分からないんすけど?」
「私も今年この学校に来たばっかりなので、詳しくは知りませんが。一年生は伝統みたいですよ。一年間我慢するだけです!私は生徒を立派な人として送り出すのが役目ですから。」
俺たちクラスの担任三条梓新任の先生らしく、愛嬌があり可愛らしい見た目から、あずさちゃんと皆から慕われている。特に俺を気にかけていて「絶対に私が正しい道に進めます!!」など若手らしい熱血ぶりを無駄に発揮している。
「桑名くんこのままだと進級できないですよ?生徒指導部の先生に毎回毎回、怒られるんですよ~!そんじゃなくても私のクラスはやんちゃな子が多くて多くて…本当に進学校なんですか!?」
「し、知らないわ…いちいち肩をつかむな揺らすな!!」
私が小さいからなめられてしまうんでしょうかぁ~(泣)など呟く先生を見て俺は、ため息をついた。
実は俺もこの先生には恩を感じている部分があるので、強く当たれない。
入学式俺はもちろん金髪で登校したところ、先輩たちに目を付けられ喧嘩を吹っ掛けられた。集団に囲まれた俺は、とっさに目つぶし用の砂をカバンから取り出し(その日の夜見たアニメの真似で)目をつぶし、サッカーで鍛えた俺の右足必殺エクスカリバーで返り討ちにしてやった。
それを先生にチクられた俺は、入学早々退学まで追い込まれたのだが、三条先生が必死にかばってくれたのだ。
まあ、それにより事なきを得たのだが、未だ他の教師達には目をつけられている節がある。
それから俺はクラスカースト頂点。空と仲がいいのも有利となった。
オタクライフを楽しみながら、学校では威張れる。最高の立ち位置なのだ。
「とにかく先生俺は、サッカー部に入るつもりもないっす。ほかの部活も入らねぇっすよ。」
俺は職員室を後にした。
ちょっと桑名くん!という声を無視し、俺はこの学校の屋上へと上がっていった。
「やっぱ昼休みは屋上が最高だわ。」
俺はせっせとカバンからライトノベルを出し、飯を食う。
誰もいない屋上、たぶん立ち入り禁止されているのだろうが、偶然俺は鍵が開いていることを知り一人になりたいときにこの場所くる。
「うーむ。最近の流行はやっぱり異世界転生ものか。王道の学園ものいいけどこれも面白れぇなぁ。」
基本的に雑食系な俺はとりあえず表紙を見てライトノベルを買いそれを読む。金がなくなるそして空に怒られるのクリア返し、アニメをみて原作を買う時もあるが、俺はどちらかというと書店に立ち寄り面白そうなのを発見し、購入のほうが多い。特に自分が買っていたものがアニメ化!などするとそれだけでテンションが上がる。
まあ話し相手がいないのは残念だが。
昔と比べてアニメも世間にうけいられるようになったと思う。だが俺はそれを公開したりはしない。
クラスにもオタク趣味の奴がいるが、話せない。ましてや俺のつるんでる連中と言ったら「ああ、俺も見てるぜ。ド〇ゴンボール。」みたいなファッションオタクしかいない。
現に昔、あんな思いをしたんだ態々引っ越したのに、趣味を教えることなど絶対にしない。
チャイム音が鳴った。
「やべ、授業始まる。いかなかきゃな。」
俺は購買で買った。弁当をしまい屋上から出た。
階段を駆け下りる。曲がり角で何かに俺はぶつかった。
「うわっ!」
「え!?」
どうやら見たことない女の子にぶつかってしまったようだ。
「わりぃ。悪気はねぇんだ!じゃあな。」
「……」
バサッと何かを落ちた音がした。
俺は気にせずにそのまま教室に向かった。
そう、これが俺の失態。運命を変えてしまった時。後々これからの学校生活を変える重大な一日になってしまったのだ。