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俺のオタクが隠し通せない!!  作者: 村雨S
第一章 オタクの隠し方
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第二話 金そして黒そして白最後に赤


「あーこのペースだと間に合わないなこれ。」


 俺が通っている学校は都内でも割と偏差値が高いそこそこ名の知れた進学校だ。勉強がこの世で一番大っ嫌いな俺が入学できるような所ではない。

 だが、オタクを隠すために俺は必死に空に頼み込んで(空は見た目はギャルっぽいが何気に頭脳明晰)死に物狂いで勉強した。


「二度とあんな思いしたくねぇ…」


 そんなこんなで入学することができた。だが一つ懸念されることがある。それが遅刻欠席身だしなみにものすごく厳しいということだ。

 もちろんのこと俺は入学当初こそは黒髪だったが、すぐにブリーチをし金髪にした。

 俺は昨日の雨でたまったであろう水たまりを見て、苦笑する。


「これでも()()()なんだぜ俺…」


 先ほど言ったよう厳しいところはあるが、ちゃんと勉強や部活に励んでいればある程度は許される部分がある。部活に入ればこっちのもんだ。

 これでも俺は県内優秀のサッカープレイヤー(元)

 あと1週間以内にサッカー部に入ればこっちのもんだ。

 因みに強制的に部活に入らなければいけないわけではない。ただ内申点を上げるためだけだ。


「って間に合わねえ…今日は学校バックレるかねぇ…あ~急に調子悪くなってきた。あ~ダメだ帰ろう。」


 まあ生徒指導部の先生がうるせーかもしれないが、調子悪いならしょうがない。


「おーい!翔くん。何壁に頭をぶつけているんだい?」

「あ?んだよ。裕貴か…ってお前なんだそれ!?」

「これの事?姉貴から借りてきたんだ。後ろ乗る?」


 こいつは田中祐樹(たなかゆうき)入学当初俺が目を付けた。

 とても爽やかな容姿をしており、自他ともに認めるイケメン。リア充と確実に言っていい存在だ。

 もちろんクラス内カースト制度は上位。周りをイケメンで固めることによって自分を上げる。

 そうこれを俺は花より団子戦法となずけた。

 中学校時代俺はイケメンと仲良くなることにより、あのグループイケメンじゃね?という風に周りに見せつける。結局前は上辺だけの存在だということを理解したが…

 こいつはだが逆に俺にすり寄ってきた。こいつも俺の戦法を知っているのかもしれない。


「お前、バイクのれんの?」

「ああ、もう16だよ。学校にばれたらやばいけどね。」

「じゃあ、遠慮なく後ろに乗せてもらうか。」

「OK。翔くん!とばすヨ!!」


 ふはは、これは便利だ。俺もぜってー買うぜ。


「それよりさ、今日身だしなみ検査だけど翔くんその髪の毛大丈夫なの?」

「は!?そんなの聞いてねぇ!!」

「翔君ずっと寝てるからだよ…また喧嘩でもしてたの?」

「あ、ああそんなところだ。」


 言えねえ…深夜アニメをリアルタイムで見たいから寝不足だったなんて言えるわけねぇ。だってリアルタイムで見ないとさ!ネットで皆と語れないじゃん!分かるだろ!?


「普段はいいかもしれないけど、身だしなみ検査の時は厳しいよ?下手すりゃ停学だよ?」

「よし裕貴帰ろう!バックだ。」

「ちょ、僕まで巻き込まないでよ!!ほらこれ使いなよ。」

「黒染めスプレー!?お前流石だな!」

「ちゃんと黒くしなよ!」

「おおう!サンキューだ!」


 これで完璧だ!!停学になることはないぜ!!

 俺の勝ちだ!俺はこんなところでボロをださないぜ!




「翔どうしたんだその頭!?」

「桑名くんプリンみたいになってるけど新しいファッション?」

「はぁ?今日身だしなみ検査だろ?黒くしたんだよ黒く。」


 クラスメイト達が俺の事を見て驚いている。トイレで頑張ってせっせと黒く染めたのに、完璧じゃないか?

 先に来ていた空が俺のところにやってきて。


「カケルあんたさぁ、全然ダメじゃんこれじゃ馬鹿みたいだ。」

「誰が馬鹿だ!お前に言われたくないわ!!」

「ほらこっち来なさい。」


 俺の肩を掴みズルズルと引っ張る。意外と力が強い。

 そのまま俺は廊下に引き吊り出された。


「いいよなぁ翔は。桑名さんと大変仲が良くて。」

「でも桑名くんと空ちゃんは従妹なんでしょ?」

「まぁ。そうだけどさぁ。」


 教室ではそんな会話が続いていた。教室のスミに座っている一人の男子生徒がその光景を見ていた。

 すぐに視線を手元の小説に目を戻し…


「下らない。なんであんな桑名翔みたいな奴が、この学校に入ってくるんだ。学校の癌め…」


 とポツリと呟いた。




「あんたねぇ、こんなんじゃいつかボロがでるよ?」

「は?そんなわけねーだろ。俺は喧嘩が強いそして、この容姿。そして周りにいる友達の数々。何もかもオタクにはみえないだろ」

「そのおしゃれを教えてあげたのは、私じゃん。」

「この俺の容姿があってこそだろ!」


 空がムッとした表情になり、小声で俺に呟いた。


「…抱き枕。」

「ごめんなさい。」


 俺はすぐに謝った。大体汚いぞ。弱みを握られているだけじゃないか!それを出されてしまったら何も言えないぞ。

 俺の髪の毛を綺麗に整え、ハイっと俺の肩をパシと叩いた。

 こいつも茶髪のくせに要領がいいのか知らんが、多分うまいことすり抜けるのだろう。

 空はため息をつきながら…


「カケルさ、このままでいいの?上辺だけの付き合いって辛くないの?」


 またこの話。俺が一番大っ嫌いな内容。

 俺は空の手を思いっきり振り払った。


「うるさいな、どうしようが俺の勝手だろ。一度終わってしまったら終わりなんだよ。後がない。裏切られたらおしまいなんだよ。」

「だからってさ。私カケルの事心配しているんだ。二つの姿を使い分けてさ。」


 うるさい!こいつは俺の何も分かってない。お前みたいなオタクでも何でもない奴には分からないんだよ。どんだけこの立ち位置が大事なのかを、それを保つために全てを隠すことを。


「黙れよ。空ぁ!」


 俺は空をもう一度振り払ったが、場所が悪かった。

 俺は座って整えてもらっている。空勿論のこと立っている。スカートにヒット。捲り上がる。ホワイト!

 いやワザとじゃないゴメンいや本当に反省しています。


「…カケル。なんか言うことは。」

「ありがとうございます?ご馳走様でした?

「死ね!!!!!」


 空の拳が顔面に直撃。俺は情けなくノックアウト鼻にティッシュを詰め教室に戻った。

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