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2. 魔王と魔王城


「ユーリ…ユーリ…。」


「ん?」


「僕の可愛いユーリ!!目が覚めたかい?」


「は?は?はあああああ???」


落ち着け落ち着け。

これはどういう状況だ?

目の前にいる銀髪の大きな角の生えた男は誰なんだ。

なんで俺の名前を呼んでる?

ちょっと待て待て。

ここどこだ。

天井が暗くて見えないって高すぎるだろ。

それに俺の寝てるベッド。

デカッ!!

ん?

あの端で頭を下げているのは俺の部屋に不法侵入してた人だよな。

ダメだ。

状況把握能力が全く追い付かない。


「ユーリ?どうしたんだい?」


「あんた、誰…。」


「メリアルダから聞いてない?僕は魔界の王ユグニート。正真正銘のユーリのパパだよ。」


「…メリアルダ?それにパパってなんだ。そうか、俺はまだ夢を見ているのか。ならもう一度寝よう。」


「可愛い僕のユーリ、パパは本当に寂しかったんだよ!君の姿が見えない時間は辛く苦しい日々だった。でも今はパパの腕の中。最高だよ!」


いきなり抱き着いてきた男はパパと名乗る割には20前後の若い青年の容姿をしている。

彼がどれほど身じろいでも思っている以上に強い抱擁に全く身動きが取れず、早々に諦めてそのまま暫く好きなようさせていた。


「ユーリ、随分と大人しいね。」


「逃げるの無理だってわかったから諦めた。」


「力を使えばパパを退けることは簡単なはずだよ?」


「力…?」


「君は信じていなかったみたいだけど、魔王であるパパの息子ってのは嘘みたいな本当の話。人間には見えないはずの角が見えるし、人間はパパの領域であるこの城には絶対に入れないからね。」


「ここが城?」


「そうだよ。ここはパパの城、魔王城と言われる場所。寝てる間に魔界に連れてくるのは気が引けたんだけど、このままじゃパパが倒れてしまうからね。そうなってしまったら人間界に魔族達が押し寄せ殺戮の限りを尽くしてしまう。だから止む終えず…ごめんね。」


「これで夢オチは消えたわけだ。」


「数万年以上生きてるパパにとって初めての息子である君がどれだけ大切か。」


「は?今さらっとおかしな年数言わなかった?」


「も、もちろん何度か婚礼直前まではいっていたんだよ。だけどなかなか上手くいかなくて…気付いたら数万年も経ってしまっていたんだ。」


「魔王ってそんな長生きなの。」


「不死だから当然だよ。でもママは…。」


「母さん?」


「パパが人間界を滅ぼしたくないのはね、ティナが…ユーリのママが人間だったからなんだよ。」


「人間…?」


「そうだよ。」


「じゃあ俺の居たとこに母さんは…!?」


「…ううん。ママは500年前に亡くなってしまったんだ。その当時で70歳を超えていたのだから大往生だったらしいんだけど…最愛のティナが居なくなってしまってからどれだけ辛かったか。」


「え?500年前?そうなると俺今いくつよ。」


「先月16歳になったばかりじゃないか!パパからの誕生日プレゼント届いたよね?」


「そんなの届いた記憶ないけど…。」


「ちゃんとパパからって言うように人間に頼んだのに。」


「…パパからって父さんがふざけてパパからのプレゼントとか言ってんのかと思ってた。だからいつも誕プレが2つあったのか…。納得…じゃなくて!500年前に死んでる人がどうやって俺を生むんだよ。」


「魔王の子供は生まれるまでに500年間卵の中で眠るんだ。だからママは君の産声を聞くことは出来なかった。」


「…。」


「でもパパは聞くことが出来たし、ママの分までユーリを愛し守り続けると決めたんだよ。」


「…話ってそれで終わり?」


「え?」


「ならそろそろ離してくれない?それと俺をもとの現実に返して。」


「ダメ!!」


「…。」


「ユーリはパパのなんだからもう誰にも渡さない。」


その言葉と共に魔王ユグニートと名乗る彼の背中から噴き出す黒い何かは全てを一気に飲み込んでいく。

今までに一度も感じたことの無い恐怖は、あの女性が放っていたという殺気と呼んでいた違和感とは比べ物にならないくらいのもので、優しい雰囲気など一掃されていった。


「魔王様、ユーリ様が。」


頭を下げていた女性がそっと彼へと声を掛ければ、初めて当てられた強大な魔力に意識を持っていかれてしまったであろうユーリがくたりと身体を預けていることにやっと気付いたらしく、一瞬にしてその魔力を消し去り自分の腕の中へと入れたままベッドへと横になる。


「メリアルダ、僕はユーリと一緒に寝るから下で騒いでる下級悪魔の始末を頼むよ。さっきので僕の魔力が回復したから上級悪魔に関しては僕に反抗するなんて無謀な真似はしないだろうけど、頭の悪い格下は…。」


「心得ております。よいお休みを。」


メリアルダと呼ばれたメイドの女性はそういうと静かに部屋を後にするのだった。

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