憧れの冒険者に
ギルドはロマンですよね。
俺達が行く目的地はギルドだ·····ギルドと言ったら異世界、異世界と言ったらギルド。ラノベに書いてあった台詞。ほかの小説にもギルドと言う単語が異世界系のラノベではほぼ…というか絶対出てるから相当期待してる。
…と思ってる間に、着いた。
なんかすごい異世界って感じだ。外装は木製の建物だ。叩いてみる限り相当強度はある。そしてドアがふたつあり、上の方に《ライジン》と書いてある…ライジン…ねぇ·····日本人なのか?·····いやまあ、〜ジンみたいな名前はいるからな。そしてその札の上に紋章がある。キリンの頭蓋骨の後ろに剣とショットガンがクロスしてる。凄いかっこいい紋章だな。厨二心が…っ…。そしてスイングドアの前に行った。
…てかショットガンあるんだな。
「心乃、行こう」
俺は心乃に声をかけた。
「うん·····。」
ギィィ·····と扉が開く、まあ予想通り、強面の人達や、可愛い感じの女の子、中性的な顔の男の子など様々な顔が見れるギルドだ。ザワザワしていてみんな騒いでる感じだ。料理を食べてる人もいるから食堂とギルドが繋がっているのかもな。中はスイングドアから入り、左右に2つの大きく丸いテーブルに椅子。全て木製だ。そして天井にランプ。凄いワクワクしてきた。The異世界という感じだ。
パッと横を見ると、心乃の顔色が悪い。
「どうした?具合が悪いのか?」
「ちょっと·····怖くて·····」
まあ怖いよな。普通は俺くらいだろワクワクしてるの、心乃は女の子だしな。
「ほら」
「え?」
俺は心乃に手を差し伸べた。
「手繋ごう。俺なんかの手で少しは怖さが紛れればいいけど。」
「う、うんありがとう!ハヤトくん!」
心乃は頬がほんのり赤いが凪は気付くはずもなく、ギルドの受付の人の前に立った。
なにか作業しているのか後ろを向いている。
「あの、冒険者登録したいですけど」
「はい、ただい…まっ…(!?)」
この展開はもはや日常茶飯事なのでここはスルーで行こう。
「冒険者登録したいんですけど·····」
「あ、すみません!ただいま行いますね!」
そう言うのは、髪を下ろして胸あたりで梅幸茶色の三つ編みにしてる·····生粋の受付人の容姿である。そして巨乳スタイルよし、美人。絶対この人の先祖も受付人だろな·····。
「じゃあ、ここに生年月日と名前を入力してください。入力し終わったら、一滴の血をカード中心の丸い円に垂らして登録と言えば完了です。」
生年月日と名前はOK。そして受付人が出してくれた針を指に刺して、血を一滴垂らし、口を開けこう言った。
『『登録』』
「これで登録は終わりです。お疲れ様でした。隼斗氷室様。心乃百瀬様。ヒムロ様とモモセ様はランク【カッパー】からのスタートです。ランクには【カッパー、シルバー、ゴールド、プラチナ、チタニウム、アンオブタニウム】の6段階あります。ランクをあげる時は試験があります。稀にギルド側がランクが上げたりする方もいます。カッパーでありながらハイオークを倒した、などですね。そして、ランクに応じたクエストになるので、カッパーはシルバーのクエストを受けるというのは出来ないのでご了承ください。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「ありがとうございます!」
それにしても、役職とかランクとかスキルとか表示されると思ったら全然されないな·····。やっぱり予想を超えてくもんだな。
そして、俺と心乃は一礼してギルドを去ろうとした。その時。
「おい、兄ちゃんよ〜。ちぃーっと顔がいいからって可愛い女の子連れてよ〜。調子乗ってんじゃねぇぞゴラァ!!」
何言ってんだコイツ…。右目に眼帯をしている強面の盗賊感が半端ない巨体のおっさんだ·····。関わりたくねえ、酒くせえし。
「ねえ、そこの君〜。俺達と遊ぼうよー。」
そう言うのは強いやつに媚びへつらってそうな、目が細く出っ歯で歯が欠けてる下っ端Aだ。
「おぉ·····このきょ·····かわいいじゃにぇか。」
そう言うのは、小さく歯がもげている下っ端Bだ。コイツはツッコミ所が多すぎるから説明は省くが、取り敢えず2人とも歯医者行こうな。
「俺なにかしましたか?なにか俺が粗相をしてしまって不愉快になったのなら謝りますけど…。」
一応新米だ。下手にでるか。
「不愉快ね…はぁ??わかんねえのかぁ??不愉快ってのはなぁ!!お前が不愉快なんだよ!バーカ!アッハッハ!!」
…。なんだァ?てめェ…。◆ハヤト切れた!!
こういう奴がいちばん嫌いなんだよな
「それよりさあ〜。そこの可愛い子〜。遊ぼうよ〜。」
「キャッ!!!やめてください!!」
心乃が下っ端Aに腕を掴まれた。
「おい、どこ見てんだよ!兄ちゃんよぉ!!!」
そう言うと盗賊顔のおっさんが殴りかかってきた。舐めてんのかコイツ。俺はおっさんの拳を掴んで、目を見て口を開いた。
「人が下出に出てりゃ調子乗んなよ」
俺はスキル覇龍圧を使った。覇龍圧って前の世界じゃ、知る者ぞ知るスキルだ。俺は結構下界に偽装して降りて色々なスキルを吸収してた。その中でもこいつは入手難易度が結構高かった。龍の中の王が色々な地域にいるんだけどその中の更に上。王の中の王の龍族の頂点…覇龍を倒した時にゲットしたスキルだ。多分覇龍倒したやつなんて初代魔王位だと思う。ただスキルは獲得出来ないが。
その圧で、絡んできた一味が全員地面にのめり込んで、頭だけが出ている状態になった。
「怖くなかったか?大丈夫?怪我とかは?」
「う、うん大丈夫だよ!それにしても、凄く強いんだね!ハヤトくん!」
心乃が嬉しそうに言う。
「そうか·····なら良かった。まあまあだけどな。でもありがとう。」
俺は怪我が無さそうで安心した。
俺は絡んできた一味を見てこう言った。
「おい、おっさん喧嘩売る相手くらい選べよ。そして二度と俺達に近づくな。次に近づいてみろ、どうなるか分かってるよな。」
俺は威圧した。
『は…っはい!すみませんでしたぁぁぁ!!』
一斉にドタドタドタと穴から抜けだし逃げていった。
はあ…アイツらが絡んできたから、地面穴だらけじゃねえか。仕方ない復元するか。
「復元」
よし、これで酒場自体元通りだな。なんか家建てたばっかみたいな綺麗さだけどまあいいか。地面も綺麗になってここも新品に…良し!
因みに、魔法と読み方はオリジナルだ。復元は何となく「ーズ」って付くイメージあったから、友達の掃除が得意なミナから取ってミナーズ。あ、因みにミナは男な。
ここで雑学を1つ。普通は詠唱は意味が重要で意味を深く込めると強い。例えば、熱い炎だったら灼熱の炎とか。気持ち、灼熱の方が熱そうだよね。
こんな感じで意味を込めた方がいい魔法が出来るだけど詠唱と魔力を多く使ってしまう。だから日本語は楽なんだよね。復元って2文字だけでここまで直せるのはほんとに凄いと思う。魔力全然減らないし、効率は良いわで日本に生まれて良かったあ·····。ってほんとに思う。
周りを見渡すと覇龍圧のせいで皆萎縮してる…。範囲設定ミスった…。取り敢えず萎縮の状態異常を治して…。
こういう時は…
『お騒がせして申し訳ありませんでした!!』
そう大声で言い、心乃の手を引っ張り、ギルドを後にした。
そしてギルドを出た。ギルドがザワついていた。壊したけどちゃんと直したし、てか復元は見られたら面倒臭いから記憶操作魔法を使って良いように誤魔化してる。だから大丈夫……多分…。
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「やべーなアイツ…この俺様が萎縮して動けなくなってたぜ?」
そう言うのは褐色の肌で背中に毛皮のマントようなものを羽織っている白髪で鋭い赤眼の狼のような男だ。
「はぁ…やばかったねぇ♡私も動けなかった!初めてだった…あんな男の子♡」
そう言うのは、青眼の金髪ツインテの巨乳でスタイルがよく、露出が多い服を着ている女の子だ。
次に、クリーム色の髪は肩まで伸びていて緑と青のオッドアイで魔法使いのような服を着ている中性的な女の子がこう言う。
「彼なら来そうだね。上の方に。」
「ああ、間違いなく来るなあ…俺様でも勝てるか正直分かんねえ…未知数って言うのが燃えるよなァ!!!」
そう、狼の様な男はテンションを上げて言う。
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「ハヤトくん〜。装備とか買いに行こ〜っ!」
「そうだな。じゃあ行くか。」
「うん!」
心乃と隼斗は一歩踏み出す。
きゃー!かっこいい!