回避の策
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「隼斗殿と心乃殿は勇者育成期間から離脱してもらう。」
そう国王は俺達を集めそう言い放った。
え?何故こんななったのかって?それは·····
──数時間前。
「なんだこんな時間に話がしたいと·····ハヤト殿。」
見るからに高そうなベットに机。そして高そうな服を着て、椅子に座っているこのオッサンはアギロだ。
「はい」
俺は目を見て答えた。
「遠慮せず座ってくれ。」
では失礼します。と言いながら俺は椅子に座った。
「アギロさん」
俺はアギロを呼んだ
「なんだ。はやとど·····ッッ!?!?」
目を合わせた瞬間に洗脳を使った。するとアギロの目はみるみる光を失っていき人形のようになった。
因みに洗脳は神々の特権のようなものだ。俺も一応神だからな。洗脳は使える。神には必須のスキルだからな。人間でこのスキルを使えるやつはいない。使えるやつは神か天使くらいだ。ただ天使でも相当上級の天使じゃないと使えないが。
「いいな、アギロ。俺の目をよく見ろ。」
そういうと光のない目をアギロは向けてきた。
「俺と心乃は無能力者だ。」
「ハヤト…殿·····と·····心·····乃殿·····は·····ワー·····スレス·····」
「そうだ。勇者召喚に運悪く召喚されたワースレスだとな。先程の鑑定は全て間違いだった。我々の不手際なので、5年はは遊んで暮らせるほどの金と住宅を与えたとな。」
「…召喚…鑑定…不手際…金」
ボソボソと国王は呟く。
「ああ、その通りだ。明日今言ったことを謁見に集め言え。」
「分かっ·····た·····。」
国王は一晩寝たら、元の状態に戻り俺の思い通りに動いてくれるだろう。
そして俺は国王を気絶させ、ベットに運んだ。洗脳はいいが、寝ないんだよなあ洗脳って·····ずっと目を開けてボソボソ喋るだけ·····だから気絶させないといけない。
そして俺はドアを開け外に出た。
そして部屋に足を運び扉を開けるとそこには心乃がいた。
「お疲れ様!どうだった?」
「まあどうにかなりそうだ。」
「そっか!信じてるね!」
「あぁ、信じていてくれ。」
心乃はいい子だ。まあ信じすぎな所が少し問題ではあるが。
「心乃·····今日はもう遅い帰ってゆっくり寝てくれ、また明日会おうな。おやすみ」
「うん。おやすみ。ハヤトくん!」
そう元気で可愛らしい笑顔を向け帰って行った。
あぁ言ってなかったが、なんで元の世界に返さないんだ?
普通、無能力者なら異世界に返すだろ。という疑問が浮かんだと思う。結果から言わせてもらうと、元の世界には帰れない。最初はみんな困惑した。(俺も困惑した振りをしていた。)だけど国王は必ず元の世界に返せれるようにする。だから世界を救ってくれ。と頭まで下げられた。そして、駿が分かりましたと承諾し、皆がまた賛同したという不思議な光景だった。もしかしたら駿ってなんか特別な力があるんじゃ?って思う程だったな。
…疲れた。
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で、今に至るわけだ。
「すまない。少し説明をすると、昨日の能力検査は誤作動だった。普段はそんなことは無いが、皆の能力を再検査したらそうなった。なぜ再検査されるのかというのは紙に記す必要があるからだ。皆昨日は再検査する為に、検査部屋に呼ばれたであろう?あの時だ。隼斗殿と心乃殿が役職なしということが判明した。そして隼斗殿と心乃殿に戦いに参加してもらう訳にはいかん·····だから5年遊んで暮らせるほどの大金と住宅を用意した。本人達は同意済みだ。よって、隼斗殿と心乃殿は離脱とする。」
謁見の間がザワつく。
「ハヤト…ごめんな。」
そう駿は言う。
「なんでお前が謝る必要があんだよ。俺達はやってけるさ。世界を救って俺を迎えに来てくれよな。絶対だ。」
そう言って俺は笑った
「あぁ·····必ず、ハヤトと心乃を迎えに行く!絶対だ!」
そう言いながら俺らは子供の頃に良くしていた、拳をぶつけた。駿曰くこれは友情の証らしい。よく分からないが、このシーンには1番しっくりくるな。
そして俺と心乃は城をあとにした。金は3ラベル貰った。遊んで暮らせるどころか数十年は過ごせるくらいの大金貰った。日本円にすると3億らしい。この額を聞いた時はビックリしたな。本を見ていて良かった。【100円=一デウル】【1万円=一ラウル】【1億=1ラベル】って感じか、基本的には日本と似ているな。
そしてそんな大金をどうしたかって?収納袋という相当高い魔法具を貰った。容量というものがなくなんでもそのままの状態で保管できて、簡単に言うと、時間が止まってるらしい。例えば焼いた肉を入れれば、そのままの状態でいつでも食べれるらしい。便利だよなあ·····。
「心乃?」
俺は横目で心乃見ながら言う。
「なにハヤトくん」
心乃と目が合う。そして俺は口を開き
「じゃあ早速冒険者ギルドに行こうぜ!!」
はあなんてファンタジーな響きなんだ。楽しみ。
「そうだね!行こっか!」
心乃は元気よくそう言った。
ワクワクすっぞ