転移者と転生者
(☝ ՞ਊ ՞)☝ウェーイ
コンコン·····と誰かが俺の部屋の扉ノックする。
「誰だ?」
「心乃です!ハヤトくん!入ってもいいかな?話があるの。」
「ああ、うん。入っても大丈夫。」
キィーという音と同時に扉が開き。茶色のサラサラした髪が見える。
「あの実はね…ハヤトくん…ってうわぁ!!」
そう言いながら、その場に転んでしまう心乃。そしてスカートから白い布が見えた。
「大丈夫か?ほら」
俺は心乃に手を差し伸べる。
「えへへ、ありがと。ハヤトくん」
どうやら白い布が見えたことは気付いていないようだ。言うと面倒なのでやめておいた。
「まあ、ここに座ってくれ。なんだ?」
そう言いながら、ベットの近くの木製の椅子を指すと心乃はその椅子に腰をかけた。
「うんしょ、っと、早速だけど、私ね·····ここに来るの1度目じゃないんだ。2度目なの·····ハヤトくんもそうなんでしょ?」
「…どうしてそう思ったんだ?」
ということは俺と同じ転移者か…?それとも転生者か?
「ハヤトくん·····ここに来た時、皆あたふたしてるのにハヤトくんだけ私と同じで平然としていて、まるで何か知ってるようだったから、もしかしたら私と同じ転生者かと思って…。」
転生者·····ね。俺とは違うのか。同級生からこの言葉が聞けるとはな。取り敢えず話を合わせよう。まだ信じるには早い。情報が少ない。
「ああ、俺も転生者だ。心乃の前世は何をしていたんだ?役職とか」
「私…はね…ハイヒーラーだよ!ハヤトくんは?」
ハイヒーラーと言った時、曇った表情を見せた心乃だったがまるでなかったかのように戻っていた。ハイヒーラーか。これは驚いたな。ハイヒーラーと言えば全世界が始まり数億年だがハイヒーラーは1000人以下しかいなかった。その内の1人か。ハイヒーラーはほぼ監禁状態という話を書物で見たことがある。嫌な思い出しかないだろうな。深く追求するのはよそう。ハイヒーラーという職を知ってる人自体珍しいし、職が本当にしろ嘘にしろ……。まああんな顔をするくらいだ。嘘じゃ無いんだろうな。ハイヒーラーを知ってるって事が転生者である証拠のようなものだしな。
それよりどうするか。いっそ仲間にしてみるか?俺もこの世界には興味があったし何より仲間が欲しい。理由としてはパーティーの方が効率が圧倒的にいいからだ。ソロでもいいが、やはり1人はもう飽きたから誰かと冒険したい気分…。よし仲間に誘おう。
「俺か?心乃が俺の仲間になるなら教えてもいいかな。」
相手に役職聞いたくせに、何が『仲間になるなら教えてもいいかな。』だ。中々だな俺…。てか性格悪くない俺。大丈夫かこれ。俺だったら絶対仲間にならないわ。
「私は最初からそのつもりだったよ。私ハヤトくんのこと信頼してるし·····何より·····ハヤトくんのこと·····。」
心乃は顔を赤くして言った。
「…ありがとう。でもなんで信頼出来るんだ?俺は心乃に何かを信頼されるようなことをした記憶が思い出す限り心当たりがないけどな…。」
この子めっちゃ優しい。俺相当嫌な奴だったけど…。
「ハヤトくんは覚えてないかもだけど、私ね?入学式の時に不良に絡まれてた時にハヤトくんに助けてもらったの。そして学校まで一緒について行ってくれて、本当に感謝してるし、信頼もしてるの。」
…そんな事あったっけ…。ヤバい記憶にない。例えば、ラブコメとかで苗字で呼びあってて、なんであの子には名前で呼んでるのに私だけ苗字なの?名前で呼んでよ…。みたいな展開があった時に、「えーと…何だっけ…。」ってなるようなもんだよ。もう最悪だよね。明日からどんな顔して合えばいいか分からないよね。…まあそれと似たようなこと今してるんだけど。
心乃には悪いが、本当の事を話す訳にはいけないな。まだ話すに値する信用はない。
よし…本当に入学式の話は思い出せないから有耶無耶にするだけの話題を提示しよう。心乃には悪いがここは·····。
「…ああ!あの時ねあの時…。覚えてるよ。不良に絡まれてて絡まれた時だよな。…そして心乃の想像通り俺は転生は2度目だ。前世での役職は剣王、剣士の最上位種だ。最上位種という面では心乃と一緒だな。ハハハ…ハ…」
絡まれて絡まれたってなんだ…。何言ってんだ俺…まあ前世のくだりはこれでいいだろう。
「やっぱり転生者なんだね!えへへ、最上位種で転生者…ハヤトくんと一緒だ。入学式の事も覚えててくれて嬉しい·····。」
心乃は照れながらそう言った。
ごめん、なんか嬉しいとか言ってくれてるのに申し訳ない…。ほんとすみません。それにしても…
「心乃?どうしてそんなに顔が真っ赤なんだ?風邪か?休まなくて大丈夫か?」
何でこんなに真っ赤なんだ…大丈夫か…?風邪なら早く休ませないと…。
「えっ?」
心乃の顔がさっきよりも赤く染まる。
「え?·····えっ!?大丈夫…っだよ?それより、私そんな顔赤かったかな!???」
そう慌てたように言う心乃。
「さっきよりも赤くなってるぞ?本当に大丈夫か!?」
「いっ、いや?大丈夫だって…ハヤトくん…みっ…見ないで!!」
そう慌てながら、心乃は言う。
「お、おう分かった。」
そして心乃は深呼吸をして口を開いた。
「ところでこれからどうするの?」
「俺と一緒に冒険者になるってのはどうだ?前から冒険者が夢だったんだよな。」
異世界って言ったら冒険者だよなぁ〜。前は一応神だったし、気になってはいたんだけどなれなかったんだよなあ。
「…!奇遇だね!私も冒険者になりたいって思ってたの!」
心乃は目をキラキラさせてそう言った。
「じゃあ決まりだな!1人じゃ心細かったし心乃が居てくれて本当に助かる。ありがとう。」
「えへへ…。私こそありがとう。…でもハヤトくんここからどう抜け出すの?」
「あぁ、それなら考えがあるんだ。やり方は少しアレだけど。」
お、おいまてぇい。(江戸っ子風)
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