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管理番号No.53−JOKER  作者: 兎夜るびい
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Last-joker:現実はいつもいつも

 びちゃびちゃと、音を立てて今日も私は進む。何処にも、何処にも彼がいない。あなたはどこに居るの?私はあなたのいない世界に用はないのに。私はあなたが殺してくれればそれでいいのに。

 ねえ、キース。


―――私は、これからどうしたら良いの?



 戦いとは言えなかった。それを人は蹂躙と呼ぶ。ただただ私はキースを傷つけるエルドに、同じことをして返しただけだ。


「ごぶぁ、もう、止め」

「……」


 治ったら、もう一回。もう一回。もう一回。もう一回。何度も繰り返し繰り返し行う。段々治りが悪くなる。そうして、キースの痛みを何度も体験させて、そしたら。

 グチャグチャにして骨まで残らず粉砕して治っても治っても繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し引き裂いて砕いてかき混ぜて千切って潰して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して、殺す。


「キース?見て。ちゃんとできた。ボスを殺したよ」

「―――」

「キース?」


 キースは息をしていなかった。血の流れも止まっていた。


「ああ、エルドのせいだ。だったら、キースの言ってたように」


 ここを潰す。今の自分なら容易だと分かる。

 一人ずつ、丁寧に、逃がさぬように、彼を抱いて、施設を血に染めて、最後にはここを壊して、それでもまだ私は満たされなかった。キースをせめて綺麗な体に治してあげたい。だから、街の人に聞いてみた。誰も答えを言わなかった。父も母も。ここは機関の支配下だったから、この街も一人残らず、一つ残らず壊した。それでもまだ私は満たされなかった。そうして、血塗られた世界を今日も道化(ジョーカー)は歩む。


「ねえ、あなたは彼によく似ているから、知ってるんじゃない?」

「あ、あ」

「じゃあこっちも壊すね」

「止めて!殺さないで!」


 ふと、気付いた。この子供はキースに似ている。なら、ジョーカーにして、不老不死にして、最強にして、キースと同じ能力を付けて、キースみたいにすればキースができるんじゃない?施設を壊したのは失敗だったけど、また一から始めよう。彼ができるまで、実験を続けよう。素体が必要だ。まずは拠点を作って、表向きはそれっぽく仕事して、キースと同じくらいの子供を集めて。


「アハハハ、これで、成功したら、ハハ、私は解放されるんだ!ハハハ……」



 こうして少女は狂い、そして歴史は繰り返す。

―――Why is she laughing with tear?

今までありがとうございました。

これにて完結です。

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