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管理番号No.53−JOKER  作者: 兎夜るびい
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First The Dead:フォー・クラブ

今のところホラー感がしない……。書き手の精神の問題ですかねぇ……。

 静かな夜。それは決して安寧をもたらす物ではない。寧ろ此処では、ギリギリと精神を締め付ける害悪でしか無い。かといって音がある方が良いかと言えば、それは誰かが処罰されるということであるから、静寂より勝る圧倒的な恐怖を生み出す。

 目下の課題は、忠実なモルモットに扮して鍵となる管理人や施設、実験の詳細情報を見つけ出すこと。最終的には、その上で此処を破壊もしくは機能不能にすることが理想だが、最悪脱出及び他国への逃亡が出来ればいい。生き抜くための道具や食料があればもっといい。どの道此処を出て他国へ行くことは決めている。家族は末代まで狂っているのだから。

 まずは武器。話はそれからだ。そう決めて、眠りについた。


「本日の実験内容を説明します。これから皆さんには密閉された空間で過ごしていただきます。終日実験になるため、密室には軽食が人数分用意されています。全体会前休憩までが期限です。それでは皆さん、ついてきなさい」


 管理人の声に従って機械的に動く。声をあげるのは禁止だ。そして密室は立った状態でなら十分余裕があった。


「密室内では何をしても構いません。密室内に限り、規則は適用しません。それでは、実験を始めます」


 そう言って空間から出ようとした管理人に、突如としてクラブの少年が飛び掛かった。


「うああああああっ!死ねえ!」

「規則違反です、フォー・クラブ」

「うああうぇ、死ね、殺す、ころ」


 少年は全身が細切れになって地面に落ちた。それを一瞥した管理人が、声を出す。


「繰り返します。()()内に限り、規則は適用しません。実験を始めます」


 管理人は少年だったものを踏みながら()()を出て、扉が閉まる。()()()()()だ。密室の片隅に軽食であるブロック食が山になっている。中央には何を目的としているのか小振りな拳銃が一丁置いてある。

 次の瞬間には少年少女が一斉に拳銃に向かって駆け出した。私は流れに逆らって軽食の山の隅の反対へ歩いていき、少し山から距離をおいて楽に座る。そのうちに殴り合う音が聞こえてくる。恐らくは奪い合っているのだろう。馬鹿なことだ。無駄でしかない。


「死ね!」

パーン!


 発砲音が響いて、一気に全員が下がっていく。仮初の支配者が決まったようだ。血の海の中心には目玉や肉片が落ちている。争奪戦の残滓が見て取れた。高笑いをするハートの少女と、足を撃ち抜かれて呻くダイヤの少年。


「ダイヤ如きが歯向かうからよ!さあ、男共はさっさと軽食を持ってきなさいよ!撃つわよ!」


 ただ武器を手にしただけで優位に立ったつもりでいる。醜くて、哀れだ。すぐに死ぬだろう。私は黙って浅い呼吸を繰り返す。此処で死んでは元も子もない。


「さてと、それじゃああたし、服が汚れちゃったの。誰かかわりの服を頂戴。……そうね、そこの新入り!あんたのは綺麗だから、それがいいわ!」


 私は黙って頷き、服を脱ぐふりをする。そして、震える声で少女に聞こえるかどうかの音量で話す。


「あ、の、こし、が、ぬけちゃって、うご、けない、で、す」

「何言ってるのか聞こえないわよ!ハッキリ喋りなさいよ!」

「すいません、彼女は腰が抜けてしまったようなので、僕が持っていきます」

「このくらいで腰が抜けるなんてメンタル弱すぎでしょ。さすが屑のジョーカーね。まあいいわ、早くして!」


 少年が私の方に向かって来ようとした瞬間、少女は急に呻き声をあげて倒れ込んだ。


「何、よこれぇ、力が、あ、く、くる、し、はぁっ、はっ、はっ」


 予想通り、拳銃を手にした者が一番に脱落するようだ。

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