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管理番号No.53−JOKER  作者: 兎夜るびい
1/7

Prologue:ジョーカー

ホラーゲームはやるより見る派です。自分自身でプレイなんて、心臓が壊れます。そんな兎夜が書くホラーです。頑張りますがクオリティーは保証しません。

 知っている。ここは、血塗られた世界だ。毎日のように聞かされていたわけではないし、そもそも自分の住む世界の話ではないとされていた。でも、この血塗られた世界の話は、たった一度その一片を聞くだけで、もう忘れることが出来なくなる。

 私は、一体どこで間違えてしまったのだろう。この口元に浮かぶ嗤いは、何を意味しているのだろう。


 それは、恐ろしい、狂った物語。

 哀しい、恋の物語。




「君は選ばれた。それはとても素晴らしいことだよ。何せ世界最高研究機関TRUMPの研究に参加出来るのだから」

「はい。光栄です。亡き母と同じ道を進めるのですから、この子も光栄でしょう。な、アナ」

「……はい、こうえいです」


 両親はその人生を研究に費やしてきた。私には理解出来ない。何故研究をして、機関に尽くすのかが、全く分からない。以前、聞いてみたことがあるが、はぐらかされて終わりだった。


「こうえいです。ですが、けんきゅうのないようがしりたいです。ないようがわかれば、このみがどれだけせかいのやくにたつのかがよりじっかんできるとおもうのです」


 舌足らずな声で話す。もう十歳になる娘が未だ舌足らずであるという違和感に父すらも気付かないのは、いつか来ると分かっていたこの時のためにずっと演技してきた成果だ。御しやすい子供であると相手に思わせることで隙を作る。ここでは逆らうことは無意味であり命の無駄だ。自由のためには欺き、一度受け入れる必要がある。隙を見せれば、死ぬ。


「研究の内容については向こうでお話しましょう。それでは、参りましょうか」


 私は知っている。機関で行われる”人類のために自ら志願した人”が参加する実験とその内容や目的の全ては嘘であること。人類のために努力していることなど無いこと。でも、今まで誰かがそう()()()()()()は無い。




「今日からあなたは管理番号No.53−JOKERです。本名は捨てなさい。これから全体会にて説明が行われるので、終わり次第夕餉、点呼、就寝です。質問は?」

「ありません」

「よろしい。では、ジョーカー。ついてきなさい」

「はい」


 全体会に集まった子供は、私を含めて53人。やはりトランプだ。よく見ると、それぞれ青、赤、緑、黄で色分けされているのが、首からその色のプレートを下げていることで分かる。


「これより全体会を始めます。今回は新しい被験者が加わったので、改めてここでの規則を確認します。トゥー・スペードは読み上げを」

「はい。

規則1。全てにおいて、自らより上位の者に従うこと。管理人、上位色、上位役の順に優先すること。

   青、赤、緑、黄、色無しの順に上位であり、エース、キング、クイーン、ジャック、役無しの順

   に上位であり、役無しは番号が大きい順に上位である。

規則2。1日を起床、朝餉、点呼、実験、休憩、軽食、点呼、実験、休憩、全体会、夕餉、点呼、就寝

   の流れに沿って過ごすこと。いかなる理由でも遅刻、欠席は厳禁である。

規則3。実験を除き暴力的行為、暴言又はそれに準じる発言は厳禁である。

規則4。規則は絶対である。違反行為には罰則が付く。

規則5。反逆的行為は問答無用で報告され、粛清される」

「よろしい。ところで、トゥー・スペード。規則は一度聞いたら覚えるものですが、あなたは休憩の際にメモを見て練習していたそうですね。これは反逆的行為です。罰則として夕餉を自粛することとします」

「はい、以後気を付けます」

「それでは、全体会を終わります」


 やはり、ここは狂っている。

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