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お約束のお時間


「ふぁ〜あ、まだ眠い・・・」



あくびをしつつ階段を降りていく。


昨晩はおやっさんに遅くまで拘束された。おやっさん、ミーシャちゃんのこと好きすぎでしょう・・・。数時間は話していたはずなのにミーシャちゃんの誕生から3歳までのエピソードまでしか進まなかった。また今度続きを話してやると言われたが勘弁してほしい。



そんなことを思い返しながら、朝食を取るために食堂へと向かう。今日はおやっさんの前でミーシャちゃんの話をしないように気をつけないと。



「おはようございます。」



「おう、やっと起きたか。お前が朝食を食べにきた最後の客だぜ。やっぱ登録したての新人だから依頼で疲れたか?」



いえ、どちらかというとおやっさんの話が・・・などというとそのまま拘束されそうなのでもちろん言わない。



「ははは、そうですね。」



「そういや、記念すべき初依頼はなんだったんだ?定番のゴブリン退治か?」



「いえ、ヒュドラーを1匹ですね。」



「・・・ヒュドラーってえと、底なし沼のやつか?」



「あ、それですそれです。」



「・・・ガッハッハッハ!そうかそうか、お前は将来大物になりそうだぜ!」



あ、これは冗談だと思われてるな。いきなり新人がSランクモンスターを倒したって言っても信じるのは無理な話だ、しょうがないか。



「いやー、そうなれるようにがんばります。」



「もし本当にヒュドラーを倒せるような英雄になれたらミーシャを嫁にやってもいいぞ?」



おやっさん、からかってるつもりなんでしょうが軽率な発言は自分の首を絞めることになりますよ。まあ本当に「じゃあもらっていきます」とか言ったら僕の首の方が締められそうだけど。



軽く会話を交わしたあと朝食を作ってくれたのでいただいた。うん、やっぱりうまい。



朝食をすませたあとは受付のミーシャちゃんのところに立ち寄る。



「ミーシャちゃん、部屋の宿泊を延長したいんだけど大丈夫かな?お父さんのごはんがおいしかったからね。」



とりあえず1晩泊まってみたがこの宿屋はご飯も美味しいし快適だった。どうせ行くあてもないのでしばらく泊まってしまおう。注意事項さえ守れば安眠もできるだろうし。



「大丈夫ですにゃ。ありがとうございますにゃ〜。どれくらい泊まっていくかにゃ?」



「うーん、とりあえず1週間くらいにしとこうかな。」



「10日間泊まってくれたら3食付きで1泊4000ゴルドにしちゃうけどどうかにゃ?」



首をかしげながら聞いてくる。うーん、昨日おやっさんに聞いた話ではまだ11歳だというのに商売上手だなミーシャちゃん。見た目もかわいいし将来小悪魔になりそうで怖い。



「じゃあそれでお願いしようかな。」



「ありがとにゃ!」



お金を払って自分の部屋へと戻る。今日は昼からシアンさんにごはんをごちそうする約束をしていたので時間まで部屋で休んでいよう。街も案内してもらえるらしいから、せっかくだし色々見てまわりたいな。武器とか防具とかもほしいし。・・・生身でも十分な気もするがせっかくだから冒険者らしい格好をしたい。



お昼になり待ち合わせ場所のギルドの前に来るとシアンさんはもう来ていた。待たせちゃったかな?



「すいません、お待たせしました。」



「いえ、私が楽しみで早く来すぎただけですよう!気にしないでください!」



僕との食事がそんなに楽しみだったのか。ふっ、罪な男だなあ僕って。



「ごっはん〜、ごっはん〜!おいしいごっはん〜!」



鼻歌が聞こえてきた。あ、ごはんが楽しみだったのね・・・。か、勘違いなんかしてないやい!



シアンさんに案内され「ベジベジ亭」というお店に連れてこられた。



「いらっしゃいませ〜、って、なんだシアンじゃない。この間給料前でお金がない〜って嘆いてなかった?外食してて大丈夫なの?」



出迎えてくれた店員さんはどうやらシアンさんと知り合いのようだ。それどころか瞳の色以外はほとんど見た目までシアンさんとそっくりだ。



「むふぅ、今日はショウタさんがごちそうしてくれるので大丈夫ですよう!」



「へ〜、君が噂のショウタ君なのね。アタシはマゼンタ。シアンの姉よ、よろしくね。」



お姉さんだったのか。どうりで似ているはずだ。でも性格はお姉さんの方が落ち着いてそうだな。



「よろしくお願いします。ところで噂というのは?」



「この子ったら昨日帰ってきて『新人のSランク冒険者が来たんだよお姉ちゃん!すっごく強かったあ!』ってずーっと騒いでいてね。おかげで今日は寝不足よ。」



くすくすと笑いながら口元に手を当てる。



「お、お姉ちゃん!そんなことは言わなくていいからあ!早く席に案内してよお!」



「はいはい、照れなくたっていいじゃない。じゃあショウタ君、シアンこちらへどうぞ。」



そう言って席へと案内されメニューを渡される。・・・読めないな文字。会話は全く問題ないのに。



「お姉ちゃん私はにんじんフルコース!」



「・・・あなた、ごちそうになるんだから少しは遠慮しなさいよ。」



「いえ、シアンさんには昨日お世話になったのでいいんですよ。」



「あらそう?ごめんなさいねうちの妹が。ショウタ君は何にするかしら?」



「えーっと実は僕文字が読めなくて。お姉さんのオススメをお願いできますか?」



店員さんのオススメならまず間違いないだろう。



「分かったわ、じゃあ料理ができたら運んでくるから2人ともちょっと待っていてね。」



待つこと20分ほど。僕達の前にはいくつかのお皿が並べられた。



・にんじんのサラダ

・にんじんの蒸し焼き

・にんじんステーキ(まるまる1本)

・にんじんシャーベット

・にんじんジュース

・生にんじん



うん、そうだよね。お姉さんもうさぎの獣人だもんね。オススメだったらにんじんになるのは当たり前だよね。



さすがに生にんじん丸かじりは辛いのでシアンさんに食べてもらったがそれ以外はきちんといただいた。あ、意外と味はおいしかったです。



「どうでした、ショウタさん。お口に合いました?」



食べ終わったのを見計らってお姉さんが近づいてきた。



「ええ、おいしかったです。ありがとうございます。」



「ふふ、ならよかったわ。特にそのシャーベットはアタシのお気に入りなの。うちのシェフは氷魔法を使えるからお店で出しているけど、本来あまり食べられないものなのよ。」



「へ〜、氷魔法を使える人は少ないんですね。」



「そこまで極端に少ないわけでもないけど、それぐらい上級の水魔法を使えるなら冒険者になる人が多いからね。」



そっか、何もモンスターと戦うだけが魔法の使い方じゃないよな。むしろ普段の生活に役立てている人の方が多いんじゃないだろうか。



一つ勉強になったところでお店を出ることにした。



「またいらしてくださいね、ショウタさん。シアンも食べに来るのはいいけれど、ちゃんと考えてお金を使いなさいよ?」



僕は「はーい」と元気よく、シアンさんは少しバツが悪そうに「はぁ〜い」と返事をして店を後にした。



「うう、かっこ悪いところを見られちゃいましたよう。」



「はは、いいお姉さんじゃないですか。」



「まあ、いいお姉ちゃんではあるんですけどねえ。恥ずかしいものは恥ずかしいので勘弁してほしいですう。・・・さて、気を取り直して街を歩きましょうか。服屋さんなど生活に関わりそうなお店などは一通り紹介しますけど、何か見たいお店はありますかあ?」



「そうですね、やっぱり冒険者なので武器屋をみたいですね。」



「・・・ショウタさんに武器って必要なんですかね?まあ、一応案内しますう。こっちですよう!」



街の大通りに店を構える武器屋に連れてこられた。なかなか立派なお店だ。



「おお、けっこう大きいですね。防具も置いてあるなあ。」



「ここは街で1番大きな武器屋さんですよう。初心者から上級者まで大体この店で一通り装備を揃えられますう。」



2人で武器や防具などを眺めていると後ろから突然声をかけられた。



「おう、何を探してんだ。ここはデートで来るようなところじゃねえんだぜ僕ちゃんよ?」



「なんだ、女の方はギルドの受付の姉ちゃんじゃねえか。そんな弱そうなガキと遊ぶくらいなら俺たちと遊ぼうぜ。そこの貧弱野郎よりは満足させてやるぜ?」



声の主たちの方へと振り返るとガラの悪い男たちが立っていた。僕は思わずぷるぷる震える。そ、そんな。まさか・・・この2人組は。



「ぎゃははははは!見ろよこいつ、びびって震えちまってんぞ!」



「おいおい、Cランク冒険者の俺らを前にしてんだからしょうがねえよ。かわいそうだからあんま笑ってやんじゃねえよ、ブハハハ!」



ま、間違いない。この反応は・・・



「か、かませ犬さんじゃないですか!いやあ、こんなところで会えるなんて感激だなあ!」



僕、異世界ものでガラの悪いやつらがめちゃくちゃ強い主人公に知らずに絡んでボコボコにされるシーンとか大好きなんだよなあ!うわあー、まさかこんなところで体験できるなんて今日はついてるなあ。



「ちょ、ちょっとショウタさん!ショウタさんから見ればそうなのかもしれませんけど、本当のことを言っちゃかわいそうですよう!」



はは、シアンさんもなかなかエグいことを言っていますよ、それ。



「ふ、ふざけてんじゃねえぞ!調子に乗ってんなよてめえら!」



「かませ犬だと!ぶっ殺してやらあガキが!」



2人そろって剣を振り下ろしてくる。1人は僕に。もう1人はシアンさんに。



あーあ、僕だけならおもしろいから許してあげたのに。無抵抗の女の子に手をあげるのは男としてダメだろう。



僕は自分に向かって剣を振り下ろしてきたやつを逆に真上に蹴り上げる。すぐさま蹴り上げた足を横にずらしもう1人の男の頭上へとそのままたたき落とす。



ドガン!ボゴン!



一瞬のうちに2つの音が響く。1人は天井に頭を突き刺し宙づりに。もう1人は反対に頭だけ残して床へと沈んでいった。



「・・・あ、やっべ、ここ人の店じゃん。」



目の前の光景を見て僕は思わずそうつぶやくのだった。





ギャグ漫画あるある


⑱お約束的展開



あるあるはストックが溜まってきたけどうまく物語と絡められないぜヒャッハー。

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