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僕、強すぎません?



「ほう、貴様がステータスを偽ったとかいう小僧か?」



そういうあなたは魔王ですか?そう聞き返したくてしょうがない。だって怖い。超怖いんだもんこの人!



口からは鋭い牙が生え、ギロりとこちらに向けられた目は鋭く光る。全身が蒼き体毛で覆われ、体長は軽く2メートルを超えている。



「もう、だから違うんですって!ちゃんと私がステータス確認をしていたんですから間違いありませんよ!」



そうフォローをしてくれるのはサーシャさん。先ほど僕を冒険者登録しようとしてくれたギルドの受付のかわいいお姉さんだ。それと同時にこの恐ろしい場所へと連れてきた人でもある。感謝すればいいのか恨めばいいのか分からない。でもやっぱかわいいから恨みはしない。くっ、これだから童貞は!



そんなことを考え目の前の魔王(仮)から現実逃避を図る。しかし現実は非情だった。



「ふむ、サーシャがそこまでいうなら確認だけでもしてやろう。おい小僧、ギルドカードを見せろ。あとついでに血をよこせ。」



ひぃぃぃぃぃ!聞きました奥さん?やっぱこいつ魔王ですわよ。いきなり血を寄こせですって!しかもついでにって言いやがりましたよ?ついでにポンっとあげられるものじゃないでしょうが!



「・・・ギルマス、ショウタさんが怖がって遠い目をしてますよ。ただでさえ狼の獣人で怖い見た目なんですから口調くらい気を使ってください。あと説明が足りないです。」



「別に脅しているつもりはないんだがな。それにステータスの故意的な改変は重罪だ。よくて終身刑、普通は死罪だ。別に丁寧に対応する必要もなかろう。」



・・・はっ!トリップしている間に僕の行く末が大変なことになりそうな気配がした。いかん、正気を保つんだ僕。



「ギルマス!それは改変が明らかになった場合だけです。今はせめて普通に対応してください。」



「むう、しょうがない。おい、ショウタとやら。オールSランクというのはこの国はおろか、国をまたいでも聞いたことがないほどの異常なことなのだ。(にわか)には信じられん。そこでギルドカードを確認させてほしい。」



「そ、それは分かりました。ギルドカードはお渡しします。ですから、命だけはぁ!血は勘弁してくださいいい。食べられるのは嫌だああああ!!」



「む?なんの話だ?俺は人間など食わんぞ。」



「はあ、2人とも落ち着いてください。ショウタさん、ギルマスは別にあなたを殺そうとしているわけではありません。ただ、スキルを使用するために血を1滴ほしいだけなんです。」



「へ?ギルマス、僕、食べない?」



「はい、大丈夫です。」



「そこまで怖がられるとさすがに悪い気がしてくるな、スマン。俺は『血は口ほどにモノを言う』というスキルを持っていてな。血を舐めた相手が嘘をついているかどうか分かるようになるんだ。まあ、5分くらいしか使えんがな。」



「な、なるほど。そういうことだったんですか。それでしたらどうぞ。・・・本当に1滴ですよね?」



「ああ、俺は嘘は言わん。これを使え。」



そういってナイフを僕に差し出してくる。



あぶな!急にナイフ向けるなよ!そう思ったがもちろん口には出さない。だって怖いから。



「分かりました。・・・えいっ!」



ちょっぴり勇気を出して指先にナイフを刺す。・・・痛てっ!少し血が出た。



「はいどうぞ。」



僕はギルマスに血の付いたナイフを返す。ついでにギルドカードも渡しておく。2つを受け取り、ギルマスはナイフに付いた血を舐めとった。こえー、イカれた殺人鬼にしか見えない。



「よし、いくつか質問をするがすべて『はい』と答えろ。」



うなずいて了解の意思を伝える。



「お前はこのカードのステータスを改ざんした。」



『はい。』



「お前以外の者が手を貸しステータスを改ざんした。」



『はい。』



「お前は水晶に触れる前にすでに自らのステータスを知っていた。」



『はい。』



「・・・サーシャは正直胸がないと思う。」



『はい。・・・・・・・・・はい?』



え、僕最後何聞かれた?



「ちょっとおおおお!?ギルマス、なんてこと聞いてるんですかあああああああ!!!」



「いや、最初の3つの質問はスキルが嘘だと告げてきてな。だから最後にスキルが正常に発動しているか確認したくてな。」



「・・・それで結果は?」



「クックック、それはそこの小僧に聞いたらどうだ?」



ブフゥ!こいつやっぱ魔王じゃねーか!なんてこと言いやがる!



「ショウタさん。私、貧乳じゃありませんよね・・・?ちゃんと胸ありますよね?」



にこぉとサーシャさんが笑いかけてくる。それはもう素晴らしい笑みで。おかしい、かわいい笑みのはずなのに冷や汗が止まらない。


僕は震えながらもなんとか口から声を絞り出す。



『はい。』



「おっ、スキルが反応したな。なんでかは知らんが。」



黙ってろや魔王がああああああ!



「ショウタさん。」



『はい。』



「そこに正座。もちろんしてくれますよね?ショウタさんは『はい。』としか答えちゃいけないはずですもんね?」



『・・・はい。』



それはギルマスとの話だった思うのだが、僕にはそんなことを言える勇気はなかった。









三十分ほど正座をさせられたあと、やっとイスに座らせてもらえた。足が痛い。



「す、すいませんショウタさん!私胸のことを言われるとどうしても我慢できなくて性格が変わってしまうんです。」



必死にサーシャさんに謝られた。あれ、意識してやってるわけじゃなかったのか・・・。それもう固有スキルなんじゃなかろうか?めちゃくちゃ怖かったぞ。



「いえ、いいんです。気にしないでください。疑いが晴れただけでもよかったですから。」



悪いのはそこのギルマスなんだから。いつかこの狼はぶっ飛ばす。そう決めた。怖いので真正面からはムリだけど。



密かに決意を固めているとギルマスが声をかけてくる。



「まあ、ステータスが本当だということは分かった。今さらお前を疑おうとは思わん。何か企んでいる者が受付嬢に正座で反省させられるようなアホはしないだろうからな。」



だーかーらーオ・マ・エのせいだろうが!ぐぬぬぬ、絶対に許さんぞこいつ!だが今は復讐の時じゃない。この殺意を隠せ、隠し通すんだ。



「ハハハ、シンジテモラエテ、ウレシイデース。」



「急に信じたくなくなったな・・・」



バカな!?僕のパーフェクトな演技が通用しない?さてはこいつ、スキルが5分で切れるって嘘をついたな!うぎぎぎぎ、どこまでも気にくわないやつだ!



「ショウタさんって素直な(分かりやすい)方ですね。」



なぜか急にサーシャさんに褒められた。これは脈があるかもしれない。



「ハハハ、そんなことないですよ。あまり褒めないでください。」



ここで謙虚さもアピール。



サーシャさんは優しい目を返してくれた。ナイスファイト僕!



「おい、ショウタ。まだ話があるから戻ってこい。」



いい気分だったのにギルマスに邪魔された。



「はいはい、なんですか?」



「急に態度がくだけたな・・・。まあいい、ステータスは問題ないが、お前この魔法適性とスキルはなんだ?ふざけてるのか?」



それに関しては僕もまったく同意見だ。ただし、ふざけているのは神様なので僕に言われたって困る。



「そんなこと言われたって知りませんよ。スキルがあると思ってぬか喜びさせられた僕が1番愚痴りたいんですから。」



「ぬう、使えるか分からん魔法と効果が分からんスキルとはな。実に惜しいな。」



サーシャさんもうんうんと顔を上下させる。



「本当ですね。せっかくステータスオールSランクなんですから、魔法とスキルまであったら世界最強だって夢じゃないのに。」



…………………………………………………うん?



あれ、今なんかおかしいことが聞こえた気がする。



「そうだな、我が国にもSランクは2人いるがどちらもスキルは持っていないからな。スキル持ちのSランクなど、どれほどの戦力になるか計りしれん。」



ああ、なんだやっぱカン違いか。こんなギルマスの言うことなど信じられないもんな。



「でもギルマス、スキルが不明にしてもうちのギルドから初の最高ランク冒険者ですよ!これでたとえドラゴンが来てもへっちゃらですね!」



「バカ言え。ドラゴンを単独で討伐できるやつなどいるか。Sランクといってもそれは人の範囲の話でだ。Sランクモンスターに挑むならSランク冒険者がパーティーを組んでやっとどうにかなるかというところだ。」



「へー、やっぱSランクモンスターは別格なんですねー。・・・あれ、どうしたんですかショウタさん、固まっちゃって。ショウタさん?ショウタさーん?きゃ、きゃあああああああああああ!?ギ、ギルマス!ショ、ショウタさんの目がポーンって!両目が空中にポーンってええええ!いやああああああああああああ!!!誰か回復魔法!早く魔法撃ってえええええ!!」



驚きのあまり目玉が飛び出てしまったけれど、今日も僕は元気です。





ギャグ漫画あるある


⑦やたら見た目が怖いオッサン(根はいいやつ)

⑧理不尽な説教をされる主人公

⑨目玉ぽーん!

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