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僕、弱すぎません?



街へと到着した僕はアルムさんにギルドまで連れていってもらっている。彼らもギルドへ依頼達成の報告をしに帰っている途中ということだったのでありがたくついて行った。



途中で街並みを眺めていたんだけれども、建物が中世ヨーロッパみたいな雰囲気で旅行に来たみたいで楽しい。文明レベルもそのくらいなのかな?魔法とかもあるんだし色々と違いはありそうだけど。



「おう、ショウタ。着いたぞ、ここがジークの街のギルドだ。」



目の前に三階建てくらいの大きな建物が見える。なかなか立派な建物だ。



「ありがとうございますアルムさん、イルドさん、ウィーゼさん。」



「いや、それはいいんだがな。そのなんというか、さっきと髪型が違うのはどうしたんだ?」



・・・へ?アルムさんたちに街へ来る途中でアフロになっていると伝えられたばかりなのに、また変わったのか?



そっと髪に触れてみる。ふむ、普段どおりな感じだな。鏡がないから細かくは分からないけど。少なくともアフロヘアーではない。



「んー、よく分からないですけどいつも通りっぽいので大丈夫だと思います。」



「そ、そうか。お前が気にしないというならそれでいいんだ。うん。」



3人はなおも不思議なものを見るような目を向けてきたが一応納得してくれたようだ。表面上は。



そして僕達はギルドへと入っていった。中には昼間だというのに酒を飲んで騒いでいるマッチョマンたちや掲示板のようなところで依頼らしきものを物色している冒険者らしき人たちが集まっていた。



「おー、これがギルドか〜。なかなか人が多いなー。」



「そうだな、ここは王国の中でも辺境の方だからモンスターも多い分冒険者も多い。中にはやっかいなやつらもいるから気をつけるんだぞ。」



アルムさんが忠告してくれる。確かに冒険者って荒くれ者ってイメージも強いからな。下手にケンカとかしないように気をつけよう。



「分かりました、ありがとうございます。」



「うむ、まあ何か困ったことがあったら俺たちに声をかけてくるといい。この街を拠点にしているからギルドで会うことも多いだろうしな。」



アルムさんの言葉に続いてイルドさんはグッとこちらに親指を立て、ウィーゼさんは笑顔でうなづいてくれた。初めて出会った人がいい人たちでよかったなあ。ドラゴンの前に飛ばされたときはちょっとびっくりしたけど、神様には感謝しておこう。



「本当にありがとうございます。何かあったときはよろしくお願いします。」



そう僕が告げたあと、アルムさんたちは依頼報告に行ってくるからと僕と別れた。僕も3人に教えてもらった受付の方へと歩いて行く。



受付には金髪でショートカットの明るそうなお姉さんが座っていた。僕が17歳だけどちょっと年上に見える。20歳くらいかな。けっこうかわいい。



「すいません、冒険者登録をしたいんですけれども。」



「あっ、はい!ジークの街のギルドへようこそ!受付のサーシャと申します。冒険者登録の説明はお聞きになりますか?」



声も元気でかわいい。サーシャさんの名前はしっかり覚えておこう、うん。



「はい、田舎から出てきたばかりであまり知らなくて。あ、ショウタといいます。よろしくお願いします。」



「分かりました。では簡単に説明させていただきますね!」



そう言ってサーシャさんは次のことを教えてくれた。


・冒険者のランクはS・A・B・C・D・Eの6つに分類されること


・最初のランクはギルドカードを作るためのステータス読み取り時の能力で決まること


・依頼達成を繰り返したり何か功績を挙げるとランク査定を受けれること


・魔法は適性があり、火の精の加護があれば火魔法、水の精の加護なら水魔法が使えるということ


・魔法とは別にスキルと呼ばれる特殊な能力を持っている人もいること


・依頼は自分と同じランクか1つ下のランクのものしか受けれないこと


・他者とパーティーを組む場合はランクが1番低い者を基準とすること


・高ランクや特殊な技能を持つものには指名依頼が入ることもあること



ほうほうなるほど。スキルを持っている人は意外と少ないんだな、ラッキー。あ、でも魔法も撃てたらいいなあ。やっぱ憧れるよな。適性があることを祈ろう。


そんなことを考えながらサーシャさんにお礼を言う。



「いえいえ、ご理解していただけたようでよかったです!さっそくギルドカードを作ってみましょうか!こちらの水晶に触ってみてください。」


そういって受付のわきにある水晶を示される。



「これは?」



「対象者の能力を読み取りステータスで表してくれるスグレモノなんですよ!しかも自動でカードに刻印してくれるんです!」



えへんとサーシャさんが胸をはる。あ、サーシャさん胸はあんまりないんだな。



「へー、どれどれ。」



そう言って水晶に触れてみる。一瞬水晶が輝いたあと、すぐに光が収まる。



「あ、カードが出てきましたね!さてさて能力は、っと」



サーシャさんがカードを手に取る。


さあ、僕のステータスとスキルはどんなのかなー。ランクもせめてAランクくらいはいくといいんだけどなー。



「オ、オールSランクゥゥゥゥゥゥウウウ!?!?」



・・・ちょっとくらい、夢をみたかったなあ。ていうかサーシャさん、いくらステータスがひどすぎるからってそんなに叫ばくても。動揺のあまりカード落としてるし。



「バ、バカなオールSだと!?」


「そんなの聞いたこともねえぞ!」


「俺、耳がイカレちまったらしい。ちょっと回復魔法してもらってくるわ。」


「あ、待ってくれ。俺もついて行く。」



ほらあ、周りの冒険者にも聞こえちゃってるよ。にしてもオールSってそこまでひどいのか。



・・・・・・くすん。な、泣いてなんかないんだからね!僕にはまだ神様からもらったスキルが残ってるんだ!気を取り直してサーシャさんが落としたカードを拾う。



◆ステータス


筋力 ・・・ S

魔力 ・・・ S

体力 ・・・ S

敏捷 ・・・ S

運性 ・・・ S(?)


◆魔法適性


笑いの神の加護 ・・・ ノリで各属性魔法や特殊な魔法が撃てたり撃てなかったりする(笑)


◆スキル


ギャグ漫画体質 ・・・ 効果? ひ・み・つ♡





異世界生活1日目。すでに生きる気力を失いそうです。



僕がしょぼくれているとサーシャさんがやっとやっと再起動したようだ。



「はっ!すいません驚きすぎて叫んじゃいました。」



「いえ、(もうどうでも)いいんですよ。」



どうしようか。Sランクの依頼を達成できる気がしない。荷物運びとかあるかな。あるといいなー。



「そ、その、すごいですよショウタさん!こんなステータス見たこともありません!」



「はあ、なんかそうらしいですね。」



うう、なぜそんなうれしそうなんだ。



「これなら間違いなくSランクスタートです!」



うぐっ、何も傷口に塩を塗りこむようなことを言わなくても。



「はい、じゃあSランクで登録お願いします・・・。すぐに仕事をしたいので。」



一文無しだからね。



「あ、ことがことなので、一応ギルドマスターに確認してきますね!あとついでにSランクの依頼があったか探してきます!Sランクなんてめったにいないので依頼も少ないんですよ。」



そういってサーシャさんは走って行ってしまった。


え、ギルドマスターしだいでは僕冒険者になることすらできないの?しかもSランクってほとんどいないのか・・・。自信なくすなあ。依頼も少ないらしいし生きていけるか不安だ。



というかスキルがひどすぎる。僕にぴったりのスキルをくれるって言ってたけど絶対バカにしてるだろこれ。

バナナの皮ですべって死んだ僕を大笑いするような神様なんて信じるんじゃなかった、はぁ。



サーシャさんを待っている間周囲の様子を眺めてみる。



うっ、みんなまだ僕のこと見てるよ。嫌だなあ、絡まれたりしたらボコボコにされる前に逃げないと。



「なあ、お前声かけてみろよ。」


「ふざけんな、Sランクとなんか関わったら死んじまうだろ(俺が)」


え、Sランクってケンカしただけで死んじゃうような弱さなの?


「ア、アタシ、パーティーに誘ってみようかしら。」


「やめときなさいよ、Dランクの私たちと釣り合うわけないわよ。」


ああ、お姉さんたち、そんなこと言わずに誘ってくださいよ。荷物持ちでも何でもしますから。



そんな感じで5分ほど待っているとサーシャさんがやってきた。



「お待たせしました。ええと言いにくいんですが、ショウタさんのことを告げたら、ギルドマスターがそんなバカなやつがいるかって言って信じてくれないんです。すいませんが、ギルドカードを持ってギルマスの部屋まで一緒に行ってもらってもいいですか?」



悲報。ギルマスに僕の存在が認められませんでした。ギルマス部屋に連行されるようです。



疑われてるのかな?うう、詐欺とかで捕まらないといいなあ。異世界初日から牢屋暮らしは勘弁だ。



「はい、分かりました・・・。」



僕はしぶしぶギルドマスターの元へと向かうのであった。トホホ・・・。




ギャグ漫画あるある


④次話になると傷やら髪やらが元に戻る

⑤盛大な勘違い

⑥周囲の反応が大げさ


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