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高校生とのギャップ

ハル君と付き合うようになって数週間後。

バイトが終わった時間にメールが届いた。


<今日はお祭りだから一緒に行かない?>


その文字を見て、(あぁ・・・・お祭りなんだ)と思った。

ここ最近、家と仕事場の行き来しかしていなかったので、

そんなことあまり気に止めていなかった。


昔ならお祭りと聞けば絶対行ったのに、そんな所に

ちょっと歳を感じた・・・・


<OK!じゃあ30分くらい時間ちょうだい。

 あと、せっかくだから歩いて行こう>


送信をしてから、急いでお母さんに浴衣を着せてもらった。

しばらく浴衣なんて着ていなかったが、せっかく行くのだからと

高校生以来、着ていなかった浴衣を急いで出してもらった。


バイクの音に急いで外に出ると、浴衣姿を黙って見たまま

何も言わずにハル君が立っていた。


「あ。バイクここに置いていこ。歩いてもそう遠くないでしょう?

 この格好ならバイクはちょっと無理だし。

 車も停める所無いくらい混んでるし。いい?」


「あ・・・うん。わかった・・・・」


ポカンとした顔でこっちを見たまま、玄関の隣の開いたスペースにバイクを停めた。


「あの・・・やっぱり変?」


あまりに長い間、そんな顔をするハル君に聞いた。


「あ・・・いや。そんなことない・・・」


そうは言っても、褒める訳でも無く横目でチラチラと見てはまた前を向いた。

少しくらい褒めてくれたらいいのに・・・

内心そんなことを思いながら歩いた。


夜店の近くになると人がどんどん増えてきて、すれ違う度に体がぶつかった。

ちょっと体の大きいお母さんが子供を追いかけ、後ろからいきなり

飛び出し、それにクリーンヒットして、前に転びそうになった。

グッと手首をハル君が掴んでくれて、なんとか転ばずにすんだ。


「ふぅ・・・ありがと。すごいね。オバさんパワーって感じで」


オバさんがこっちを気にせず猛然と走っていく姿を見て笑いながら言った。


「華さんも・・ああなるんだね・・・・」


そんな笑う私を見て、ハル君が笑った。

「ちょっと・・・まだそんな歳じゃないから・・・」




どんどん人混みの中を歩いていると、人の波に飲まれそうになった。

咄嗟にハル君の手を掴み、そのまま黙って歩いた。

ちょっと緊張したような顔を一瞬したが、ニコッと笑い掴んだ手を

ギュッと握り返してくれた。

そんな小さなことにも嬉しくなり、まるで学生に戻ったような気分になった。


「あれ?ハルじゃん?」

出店と出店の間の狭い通路にしゃがんでいた人がいきなり声をかけてきた。


「おぅ。お前も来てたんだ。すげぇーな。人が〜」

ハル君はその人に近寄り、声をかけた。


見た感じからして、同級生なのかな?

肌の感じがピチピチしているので、なんとなくそう思った・・・・


「あれ・・彼女?うちの・・・学校じゃないよな?」

こっちを見ながら繋いだ手をチラッと見た後に言った。


(お!学生に見える?まいったなぁ〜)


そんなことを思い、少しだけニヤけた。

が、ジックリ上から下までジロジロ見てから、


「もしかして・・・・年上?」そう言ってハル君の顔を見た。


(ちっ・・・バレたか・・・)


「あ。うん・・・そう。やっぱそう見えちゃう?」

なんとなく嬉しそうにその友達に言った。


「まじかよ・・・ へぇ〜 いくつ?」

興味津々にジロジロ見ながら一応は愛想笑いをされた。


なんていうか・・・・ 共通な話題も無さそうなこの子に

ヘラヘラとしている自分がどうなんだろうと思った。


「えーと。19歳。2つ上で華っていうんだ」


「そうか〜 どうも。初めまして。ハルと同じクラスの小池です」


ニヤニヤとしながら少しだけ頭を下げた。


「あ。進藤華です。こんばんは」そう言ってニッコリと笑った。


「今度、お友達と合コンさせてください。よろしくお願いしまーす」


小池君はピシッとした姿勢でもう一度頭を下げた。


「あ・・・そのうち・・・考えておくね」

内心(絶対無理!)と思いながらも、ハッキリ言えずに曖昧に答えた。


「おい・・・あんまり無理言うなよ。それにお前じゃ年上とは

 付き合えねーよ。そんじゃな〜 行こう。華!」


「あ・・ それじゃ。また」軽く会釈をして小池君から離れた。


友達の前で呼び捨てにする所が、どことなく頑張っている感じがして、

ちょっと可笑しかった。

どこまで歩いても、人は増える一方でイチゴ飴が買い、

出店の裏にある、川辺のベンチに座った。


「すごい人だね。街中の人が集まったみたいだね」

そう言いながら、飴を口に入れた。


「学生はこんな日じゃないと夜遊びできないしね。

 さっきから友達に何人もすれ違ったよ。華さんの友達とか来てないの?」


「あれ?もう華って呼んでくれるんじゃないの?

 さっきは呼んでくれたのにぃ〜?」


「あ・・・やっぱ気がついてた?」


「じゃあ、私もハルって呼ぶ。ならいいでしょ?」

そろそろ<君>をつける、ヨソヨソしい感じが気になっていたしちょうどいいと思った。


「え・・・呼び捨てかぁ・・・なんかちょっとなぁ〜」


困った顔をしながらも、少しニヤけていた。


「じゃ、もう少し見に行こう。ハル!」手を掴んで人混みの中に入っていった。


夜店の一番端まで行き「もう一回向こうまで行く?」

そんな会話をしていると、男の子と女の子が5〜6人いる

グループがすぐ側にしゃがんで話をしていた。

その中の一人の男の子が

「あれ?山崎じゃん。久しぶり〜」そう言って側に来た。


「うわー!超久しぶり!なに?こっちまで来たのかよ?

 うわー。何年ぶりだ?元気だったか?」


いきなりのハイテンションにちょっと引き気味な感じでその二人を見ていた。

数人の子が側に来て、ハルとワイワイ騒いでいた。


(あぁ・・みんな高校生なんだなぁ・・・)


なんとなくその大騒ぎのノリに入りきれない自分がものすごく歳をとったような気分になった。


女の子達もまだ下手くそな化粧をして、唇だけが異常に赤かった。

学生らしい黒髪の子が一人、黙ってこっちを見ていた。

目が合い、ニコッと微笑んでみたが、すぐに目をそらされた。


ちょっと取り残された気分で隣に立っていると突然みんなに紹介された。

「あ、俺の彼女。年上〜 華っていうの」


そう歳を強調されて紹介された。

男の子達は「おおぉぉぉー!」と言ったが、女の子達はただ黙ってこっちを見ていた。

きっと自分も同級生が学生の頃にそんな年上の彼女を

紹介したらきっと内心じゃ


「なんだよ・・・・ 年上?オバさんじゃん」とか思っただろう。

そんなことを思いながら、とりあえず微笑んで頭を少し下げた。

ちょっとそんなことに疲れてきた自分がいた。


「すげぇー いいな〜 いろんなこと教えてもらってぇ〜」

イヤラシイ顔でニヤニヤとハルの肩に手を回した子が

こっちを見て浴衣姿を上から下まで見た。


「お前なに想像してんの?そんな話ばっかだな〜相変わらず・・・

 じゃ、そろそろ行くわ。今度電話するな」

そう言ってスッと手を握り、また人混みの中に入って行った。


後ろでは「いいな〜 今夜は朝まで祭りだな。おい!じゃーなー」と

騒いでいる声がした。

そんな友達に軽く手をあげ笑いながらハルは前を向いた。


(高校生は・・・そんなことに興味津々なんだなぁ・・・)


そう思いながら、なんとも思ってなさそうなハルの横顔を見て歩いていた。


1時間ほどお祭りを楽しみ、また歩いて家まで帰った。

家の前で時計を見ると、もうすぐ10時になろうとしていた。


「もう11時なっちゃうね・・帰らないと山崎さん怒るね」


「今日は一緒にお祭り行ってくるって言ったから大丈夫だよ」


「じゃぁ・・・少しだけうちあがる?まだ大丈夫なら」


「えっ・・・いいの?まずくないの」


なんとなく親や兄弟にハルを見せることに抵抗があったが、

いつかはバレるんだと思うと、(いいや!)という気になった。

初めて手を繋いだことがそんな気持ちになったのかもしれない。


「うん。いいよ。でも1時間ね」


そう言って自分の部屋にハルを連れて行った。


部屋に入ってもハルはキョロキョロと落ち着かず、

あっちこっちと部屋をウロウロしていた。


「ちょっと落ち着こうよ・・・なにいまさら緊張してるの?」

そんな落ち着きの無いハルの姿を見て言った。


「あ・・いや・・・女の人の部屋って初めてだから、、

 なんだか落ち着かなくて。どこ見ていいのか・・・」


「へぇ・・・ハルって彼女いなかったの?いままで」


「あ〜・・・ いたけど、家に行くまででは無かったかな。

 その、学校でとか、映画とか、、それにそんなに長くは

 付き合わなかったし。お互いの家とか行ったこと無いし」


どんな付き合い方だよ。。。それ。。。

そんな風に思いながらも、そんな挙動不審なハルの動きが

面白くて笑いながら見ていた。


「じゃぁ・・・ちょっと着替えてくるね。なにか飲み物もってくる」

そう言って部屋を出ようと立ち上がると、


「えっ!帰るまで、その格好でいてよ。

 せっかくだし、いつもよりイイ感じなんだから・・・」


「あら?いつもがダメって言われてる感じ・・・」

そう言ってまた隣に座った。けど内心嬉しかった。


「そんなこと言ってないってば。ねぇねぇ・・・さっきから気になって

 いたんだけど、あれって天体望遠鏡?持ってる人初めて見た。

 すげー!なにこれ。覗きとかしてんの?」


たまたまリサイクルショップで見つけた望遠鏡を見て、ハルが騒いでいた。

勢いで買ったはいいが、あまり使い方がわからなかった。


「え?なんだか色が可愛いなって・・・買ったんだけど、

 中古だから説明書が無いの。だからまともに見れないんだ」


「へぇ・・・じゃあ使ってないの?なんか高そうなのに」


「いや?たま〜に月が綺麗な時は見てるよ。

 でもそれしか見えないの。星とかは倍率が違うみたい」


そう言うと「意味ねぇ〜」と笑いながらベランダを開け

「ここで見ていい?」と勝手に望遠鏡を運び覗いていた。


隣に行き「ね?見えないでしょ」と二人でレンズを替えてみたり

方向を変えてみたりとやってみたが、結局お互い1箇所ずつ

蚊に食われ、部屋に戻った。


「きっと星が見えたら綺麗かな〜って思ったんだけど、

 どうやっても無理なの・・・せっかく買ったのになぁ・・・」

ベランダから窓つたいに望遠鏡を受け取りながらハルに言った。


「星とか好きなの?昔よく小学校の時はプラネタリウムとか見たよ。

 もう全然行ってないけどね。行かなかった?ほら市立の・・」


町の外れにある科学館のことをハルは言い出した。

小学生の時に、初めて友達だけで列車に乗って

行くという行動が少し大人になったような気持ちになり

それほどプラネタリウムに興味も無いのによく行った。


「うん。よく行った〜 まだあるのかな?私が小学生の時点で

 もうかなりボロかったけどね。もう潰れてるかもよ」


「行ってみようか?来週の華さんの休みに。

 俺、日曜はバイト休みだよ、学校はもう夏休みだし」


「呼び捨てにしてくれたら行くけど」


そう言うと、「あ・・・」と言った後に、


「じゃあ来週行こうか?華・・・これでいい?」


あくまでも健全なデートコースばかりだが、それはそれで楽しかった。

ほんの少しずつでもお互い慣れてくることも・・・



バイトが休みの日は夏休みということもあり、ハルは昼前から

GSに顔を出し、洗車が終わってもカウンターの椅子に座り、

私が終わるまで待っていてくれた。

その姿を山崎さんが見て、


「なんか青春って感じでいいなぁ〜 うん・・・」と呟いていた。


ほとんど毎日、ハルに会いどちらかの家で遊んだり、

バイクで遊びで行ったりと、もうそれが毎日の習慣のようになった。

あの初めて見た夜景の場所も、何度も二人で訪れ

側に立っている木に小さく落書きをしたりもした。


それでも・・・やっぱり二人の仲は健全なまま過ぎていった。


プラネタリウムに行こうと約束をした日。

少し遠いので車で行くことにした。


昼前にハルの家に迎えに行くと、誰よりも先に山崎さんが出てきた。


「おはようございま〜す」と挨拶をし、ハルが部屋から出てくるまで

リビングに無理矢理通され、山崎さんと奥さんに捕まった。


「今日はどこ行くの?」ニヤニヤして言う山崎さんに


「あ・・プラネタリウム行こうかって・・・ しばらく見てないし」

なんだか小学生か中学生のデートコースを言っているような気分になった。


「ん〜・・・なんて健全なんだろ。いいんだよ?華ちゃん気使わなくて、

 もっと大人のデートコースに誘ってあいつを男にしてやってよ〜」

そう笑う山崎さんに「もう!お父さん!」と横からお母さんが口を挟んでいた。


「あ・・・いえ。別に気を使ってませんから」


「またまた〜」

ニヤニヤと山崎さんが笑い、なにげにお母さんまで同じように私の反応を楽しんでいた。

似たもの夫婦・・・



そこにハルが下りてきて

「じゃ、いこ。そんなに遅くならないから」と言って顔を出した。


「ハル・・・たまに遅くなってもいいぞ?華ちゃんとってわかってるし。

 なんなら泊まってきても文句言わないぞ。ふふふ」


(今日も素敵に空気が読めてない感じがイケてるぜ!オヤジ!)


「はいはい。わかりました。じゃ、行ってきまーす」

そう言って二人で家を出た。



「山崎さんが男にしてやってくれってさ」

運転をしながらハルに笑いながらさっきの話をした。


ふっ・・・と鼻で笑いながら、

「じゃあそうしてもらわなきゃ。よろしくね」そう言って笑った。

「そうだなぁ・・・そのうちね」と軽く流した。


<よろしく>と言われた時点でまた年上を感じた。

きっとこの年齢差がなにげなくコンプレックスなんじゃないかと感じた。

けど、どう頑張っても縮められないこの年齢差は、

これからどんなに気にしても無駄なんだぁ・・・

年上って喜ばれるのも22〜3歳までなんだろうな・・・



そんなことを思いながら車を走らせていると、科学館が見えてきた。

やはり昔も今も変わらないくらいボロだった・・・


「すげぇ・・まだあった・・・タイムスリップしたみたい・・・」

ハルが窓から覗きそう言った。


中に入り入場料を払うと受付に座っていたおじさんが

何食わぬ顔でスイッチを入れた。

途端に中の照明がパッとついた。


二人で顔を見合わせ

「もしかして・・・俺達以外誰もいないんじゃない?貸切だ・・・」

そう笑いながら中に入った。


あまり昔と変わらない展示物に「懐かしい〜」を連発して館内を歩いた。


どの階に行っても人の姿は無く、本当に貸切だった。

1時間ほどしてから館内放送でプラネタリウムの時間だと流れた。

中に入ると親子連れが1組と、小学生が2〜3組いた。

「人いたんだね?でもカップルなんていないね」と笑った。


「昔よくプラネタリウムにいるカップルが暗くなるとキスするんだよね、

 それを友達とよく見てた〜 今日はいそうもないなぁ〜」


「なにそれ・・・・馬鹿みたい・・・」


そんな話をしているうちに室内が暗くなり上映が始まった。

内容も全然変わっていなかった。


「全然変わってないね?」そう隣でおとなしく見ているハルに

耳打ちすると、驚いて「うっわ!」と言った。


室内が暗くて他の人の反応がわからなかったが、絶対声は響いたと思った。


「シー・・ そんなに驚かなくてもいいじゃない・・・もぅ・・いいよ」

そう言ってまた上を向いた。


「あ。ごめん。なんだって?」まだ声が少し大きいような気がして

体を寄せ小さい声で、

「昔と内容が同じだね・・って言ったの。まだ声大きい」


「あ・・ごめん。急に体くっつけるから・・・」

そう言われて体を離した。


そのまま黙って上を見た。作り物と分っていてもその星空は圧巻だった。

真っ暗な中に体が浮んでいるような感覚になった。

久しぶりに見たその星空は懐かしさを通り越した。


ふっ・・・と顔の前に影を感じた。

その瞬間、星座の神話のスライドショーが始まり室内が

少し明るくなり、ハルの顔がすぐ近くにあることに気がついた。


「えっ?・・・」


すぐ近くにある顔に思わず小さい声でそう言うと慌てて自分の席に体を戻した。


いつの間にかいた後ろの小学生達が小さい声で

「うわ・・・兄ちゃん間がわりぃ〜」と呟いた声が聞こえた。

クルッと振り向くとその子達は慌てて中腰で元の席に戻って行った。


(あ〜・・なるほど・・・ 昔のハルみたいなものか・・・)


そう思って少し明るくなった室内でハルの顔を見た。

チラッと横目でこっちを見てバツの悪い顔をした。

その顔を可笑しくて、その後ずーとクスクスと笑っていた。


時間的にもう終わりだな・・・という辺りでまた真っ暗な星が映し出された。

ちょうど夏の星座が赤い矢印で説明されていた。


真っ暗なのと、後ろに小学生がいないのを確認して、

ほんの一瞬だけハルの頬に軽くキスをした。

顔が離れた瞬間に室内に薄い照明がついた。

明るくなってからハルを見ると触れた頬を触りこっちを見た。

少し驚いた顔をして・・・


「間が悪いよ?お兄ちゃん」そう言って席を立った。

二人で出口に向って歩いていると、さっきの小学生が

ハルを見て、きゃーきゃー笑いながら抜かして行った。


「小学生の期待を裏切っちゃったね?」

そう言ってハルの顔を見た。


「あそこで明るくなるかぁ・・・普通・・・」

苦笑いをしながら側にあった展示物のボタンを押して照れ隠しをした。


昼少し過ぎた頃には狭い科学館の中を全部見て終わり、

それでも二人でいることが楽しく、グルグルといつまでも中を見てまわった。


またプラネタリウムの前に来た時、一人のオジさんが星の写真を展示していた。


その人を見て、

「あの人に望遠鏡のこと聞いたら教えてくれるかも?」

そう言ってオジさんに近づき、なにやら話しをしていた。


(そこまで・・真剣には思ってないんだけどなぁ・・)


そんなことを考えながらハルとオジさんを見ていた。


なにやら話しを終え、ハルはニコニコしながら一枚の紙を貰い

「これ見て。来週の土曜に、ここの近くの山で天体観測を

 するんだってさ。で、望遠鏡を持ってきたら教えてくれるって。

 行ってみよ?生で見れるよ」


「へぇ・・・ちょっとマニアっぽいね。でも、面白そうだから

 行ってみようか?」


少しだけヲタクっぽい人達が集まるような気もしたが、

ハルはウキウキしているようなので、オジさんに「行きます」と

伝え科学館を後にした。


その後、ハルの家に戻りまたいつものように一緒に夕食をご馳走になった。

もう夕食の手伝いをするのは当たり前のようになっていた。


「もう華ちゃんが居ないと、食卓が静かなんだよ」


お母さんにお酌をしてもらいながら山崎さんが言った。


「じゃあ、早く誠君も彼女作ってもらって、日替わりで

 来ないとダメですね?」そう言って誠君を見て笑った。


「俺?俺も年上がいいな〜 オヤジも俺に先に紹介してくれたらよかったのに。

 ハルなんかに年上は10年早いよ。俺だって付き合ったこと無いのに・・・」

そう言いながらハルの顔を見た。


「日ごろの行ないだな。俺はちゃんと先祖の墓参りとかしてるも。

 兄貴しねーだろ?じいちゃんは見てんだよ」


少し勝ち誇った顔をしてニヤッとした。


「あ。山崎さん、来週なんですけど、ハル君を夜ちょっと借りてもいいですか?

 天体観測に行こうと思って・・・

 ちょっと遅くなるかもしれないんですけど・・・」


空いたグラスにビールをお酌しながら来週のことを言った。


「ん?いいよ。華ちゃんと一緒なら。なんなら泊めてあげて。

 下手くそだと思うけど、そこは教えてあげてね」


隣でご飯を詰まらせながらハルが山崎さんを睨んだ。


「いや、ちゃんと送りますって。大丈夫ですってばー」

引きつった笑いで答えた。


「ごめんねー お父さんちょっと酔ってるみたいでー」

お母さんがやんわりと話を誤魔化したが、


(いつもじゃねーか!空気読めっつーの・・・)と思いながら

笑顔でお母さんの話を流した・・・・


横目でハルを見ると、少しニヤけた顔でキスをした頬を

軽く触りTVを見ていた・・・




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