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可愛いなぁ・・・・

結構高い服なのに、急いでベットに着ていたドレスを脱ぎ捨てた。

ジーンズを履き、Tシャツを着て慌てて部屋を出た・・・が、

階段の所まで走り、また部屋に戻り化粧を直した。



薄い色のリップだけを塗り、急いで外に走っていった。

二度ほど階段に足をぶつけながら・・・・


「ごめんね!ハァ・・・ハァ・・」


その姿を黙って見て、

「ん〜 俺もさっきのほうがよかったかな?」


「えっ・・・なに。格好?だってさっきの格好じゃねぇ・・・」


「いや、あんなに肌が出てるのって見たことないしさ。普段は制服だしね。じゃ、行こうか」


そう言ってさっきのメットをもう一度手渡された。


また被るのに時間がかかり、

(もぅ・・・)と言われまたグッと押された。


「じゃ、今度は普通に乗れるでしょ?横座りならこっちが怖いよ。ちゃんと捕まって」


そう言われて、今度は普通の座り方をして乗った。

また手をまわす時にちょっと躊躇したが、それでも軽く腰に手をまわした。


「どこ行こうか。どこか行きたい所ある?」



「うーん・・・運転手におまかせする」そう言って

そのまま黙って後ろに座っていた。しばらく考えてから


「じゃ、文句言わないでよ?」


さっきより距離が長かったせいもあり、風が気持ちよかった。

思っていたより広い背中に少し緊張をしながらも、

やはり触れている部分は暖かく感じた。


15分ほど走ったあたりで速度が落ち、ゆっくりと停まった。

辺りは真っ暗で、ここがどこなのかサッパリわからずキョロキョロと辺りを見渡した。


「離してくれないと降りれないんだけど」


ポンポンと軽く手を叩かれ慌てててを離した。




メットを脱ぎ、バイクを降りたがやはりこの場所がどこなのかわからなかった。

周りに人はいなく、ただ真っ暗だった。


「こっち来て」


そう言われて少し小高い丘にあがると

そこにはコジンマリとしてはいたが、綺麗な夜景が見えた。


この街にこんな景色が見える所があったんだ・・・

そう思いながらその夜景を見ていた。


「あ〜・・やっぱダメだった?俺よくわかんないからさぁ・・

 女の子が喜びそうな所とか考えたんだけど・・・いまいちわかんなくてさぁ〜」


「ううん。そんな事無い。すごく綺麗だよ。こんな所あったんだねぇ・・へぇ〜」


そう言って夜景を見ていた。


「やっぱ華さんくらい遊び慣れてると、こんな所じゃつまんないよね」


(おい・・・今なんて言った・・・・)


「なにそれぇー 誰が遊び慣れてるって?」ちょっとムッとして言った。


「え?だってそうじゃない。なんか男慣れしてそうだしさ。

 ドライブとかも、もっと凄い所行くんでしょ?

 こんな陳家な夜景じゃなくて、もっとドーンとして凄いのとか見慣れてそうだな〜ってさ」


「ちょっと・・・私そんな風に思われる訳?

 それ酷くない?全然真面目だから!失礼な!」


「はいはい。そーゆーことにしておこうか。

 今日だってたまたま足が痛いから、俺と付き合ってもいいかなって

 思っただけでしょ?わかってるって〜」


そう言って笑いながらもっと奥の高い丘に昇っていった。


なんだかなぁ・・・・そう思いながら後ろを着いていった。


さっきの場所とは少し違う角度から見える夜景は綺麗に光っていた。


「俺さ、たま〜に嫌なことあると、ここに来るんだ。俺の秘密の場所・・・内緒だよ」


そう言ってこっちを見て笑った。

その笑顔を見た瞬間、、大きく胸が痛んだ。


(絶対やばい・・・本当にやばい・・・・)


「そ、、そうなんだ。うん。内緒にする・・・」

片言ないい方で返した。


男の人とこんな所に来たことが無い訳でも無いのに、ドキドキしてまともに視線を

合わせることができない自分がいる。



「ハル君さ、彼女とかいないの?」


「いる訳ないでしょ〜そんなの!!」


「そ、、そんなに焦って言わなくても・・・」


「だって、俺って怪しくない?華さんもそう思ってんでしょう?」


すこし怪訝そうな顔でこっちを見た。


「え?・・・言ってる意味がわかんない。別にそんなこと

 思ったことないけど。どうして?」


「だって・・オヤジが言ってたから。あんまり夢中でバイク洗ってるから

 華さん怖がってたよって・・・「うわぁ〜 ヲタク」って言ってたって・・・」


あのオヤジ・・・・碌なこと言わねぇ・・・

くっつけたいのか、そうじゃないのか。

でも、ニヤニヤとそんなことをハル君に言う山崎さんが想像できた。


「そんなこと思ってないよ。バイク好きなんだな〜って

 思って見てるだけ。別に怪しくも怖がってもいないよ」


「だって、全然俺の近くに来ないじゃん。いつもショップの中にいて、

 他のお客さんとは話すけど・・・」



「だって・・私バイクとか全然わからないし。

 一生懸命洗ってるのに邪魔しちゃ悪いかなって・・

 なら、今度は邪魔しに行くよ。ワーワーとうるさいくらい」



「うん!どんどん邪魔してよ。待ってるから!いや〜そうだったんだ」

どことなく安心したような顔をして前を向いた。


けど、こっちは「どんどん邪魔してよ」とか「待ってるから」の

言葉に冷や汗が出るほど緊張していた。

そして、その横顔を見てほぼ確定なくらいハル君のことが気になっていた。


しばらく夜景を見ながらそこで話をしていた。


「あ!やばい!今って何時だろ?」


いきなりそう言われ携帯の時計を見ると11時を少し過ぎていた。


「あ。ごめん!怒られちゃうね。もう帰ろう!」


慌ててバイクに乗り、家まで向った。

時間を気にして帰るあたりが、やっぱり高校生だな・・・・

あんなにヘラヘラとして山崎さんは家では結構シッカリした父親なんだと思った。


家の前に着きバイクから降りて今日のお礼を言った。


「今日は楽しかった。ありがとう。でも、、ごめんね・・山崎さん怒っちゃうね」


「ううん。大丈夫。今日は面白かったよ。

 またね。ちゃんと邪魔しに来てね。じゃ・・・」


そう言ってバイクが見えなくなるカーブまでその場に立って見送った。

もう一度戻ってきてくれないかな・・・

そんなことを思ったが、姿が見えなくなる手前のカーブでブレーキを

2回踏み、ハル君のバイクの音は完全に聞こえなくなりその期待はあっけなく終わった。


部屋に戻り、さっき脱ぎ捨てた洋服の残骸を手にとりハンガーにかけた。

けど、そんなことをしながらも頭の中にはハル君の顔が延々とまわっていた。


(やっぱり高校生は、ちょっと年下とかが好きなんだろうなぁ・・・)


普段はまだ19歳ということを武器に好き勝手していたが、

相手が年下となると、急に若さの武器が使えなくてどうしようかと考えた。


でも、さっきの雰囲気とイメージからして、自分に興味があるようには思えなかった。

遊び人のお姉さんとちょっとバイクに乗ってみました・・・

そんな感じのハル君にどう動けばいいかわからず、

その日はあれこれと考えながら終わった。



翌日。

いつもの時間にハル君がバイクで現われた。

カウンターで簡単な計算をしていると、下からいきなり顔を出した。


「うわ!」急に驚かされ思わず声が出た。


「昨日さ、オヤジに怒られちゃった・・・」


怒られたわりにはニコニコして話し掛けてきた。


ちょうど周りに人がいなかったのを確認してから

「やっぱり怒られたんだ・・・ごめんね」と謝った。


「ううん。でも華さんと一緒だったって言ったら

 「ならいいか。今度はうちに連れておいで」ってさ。

 それほど怒ってなかったよ。大丈夫。

 だから今度うちに来ない?オヤジも楽しみにしてるってさ」


「えっ・・・・そ、、そうなんだ。うん。じゃあ今度行くね」


実際かなり慌てながら、それがバレないように答えた。


「うん。それじゃ洗車してくるね」

そう言ってハル君はいつものポジションに消えていった・・・・


内心、家に誘われて嬉しいような・・・

でも親が公認という所にちょっと子供だと感じた。


やっぱり所詮、高校生は高校生だな・・・

そんなことを思いながら、その日も5時を過ぎた頃に

バックを持ってみんなに挨拶をして車まで歩いた。


ハル君の隣にきた時、

「じゃ、帰るねー ごゆっくり〜」そう声をかけ歩いた。


「あのーちょっといいかな?」


「ん?どうかした」


そう聞くと、ちょっと言いずらそうにキョロキョロと

辺りを見渡し、小声で話し出した。


「今日・・・暇かなと思って・・ 昨日の今日でなんだけど・・

 もしよかったら遊びに行かないかなって・・」


いきなりの言葉にちょっと動揺しながらも、


「あ。うん・・いいよ。じゃあ・・・どうしようか?」

そう笑顔で言った。


内心、そう言ってくれたのが嬉しく少し照れたような顔が可愛いと思った。


「じゃぁ・・・1時間後に迎えに行く。いい?」


「あ・・うん。じゃあ待ってる。それじゃね」

あくまで冷静にそう言ったつもりでも、本当は口を開けたら

心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていた。



窓際の自分の部屋から、バイクの音が近づくのを黙って待っていた。

なんとなく嬉しい気持ちでいっぱいになった。

小さくマフラーの音が聞こえてきたのを感じ、外に出ると

もう目の前にハル君のバイクが停まっていた。


「じゃ、今日はもっと違う所に行ってみようか!

 まだ明るいし。海とか行ってみる?ちょっとベタ?」


メットを被ったまま、篭った声でそう言われた。


「ううん。海でいい。天気もいいし、まだ温かいと思うから」




後ろに積んだメットを、またギュッと頭に被せてくれ後ろに乗った。


昨日よりは少しだけ手をまわすことが慣れたような感じがした。

途中でふと思いつき

「ちょっとコンビニに寄ってもらっていいかな?」

信号が赤の時に言い、花火を買って海に行った。


「海って言ったら花火でしょ?」

「花火なんか小学生からしたこと無いなぁ・・・」

まるで子供を見るような顔で言われた。


まだ暗くなりきっていない海を歩きながら、いろんな話をした。

ハル君の家のこと、自分の家のこと、

バイクのこと(よくわからなかったけど)

いままで知らなかったことを靴に砂が入りながら話した。


「華さんてさ・・・彼氏いないんだよね?」

「うん?今はいないけど・・・なに。バカにしてんの」


「いや〜 そんなこと無いけどさ。じゃあいつも何してんの?

 休みとか、仕事終わってから家帰ってとか?」


「ん〜 休みは友達と遊んでるかな?平日は家にいるかなぁ?

 TV見てたり・・・・ゲームしてたり。そんな感じかな」

我ながら、19歳を満喫してないなぁ・・そんなことを考えた。


「ゲームとかするんだ?見えないね」



「そう?ミーハーだから有名なRPGとかはするよ」

何を自慢してるんだか・・・と思いながらもそんな話をしていた。


「じゃあ・・・今度一緒にゲームしない?暇な時でいいから」


「うん。いつでもいいよ。早めに言ってくれたら休みの日でもいいし」


「えっ・・本当!いいの?休みの日でも」


嬉しそうな顔を見て頷いた。


「じゃぁ・・・ 今度の日曜でもいい?俺の家!」


山崎さんもいるのかぁ・・・

別になにをする訳でも無い、ゲームをするだけなんだが・・・


「うん。じゃあ、山崎さんも誘ってくれたし・・・そうしようかな?」



「うん!じゃあ日曜日に迎えに行くよ。何時がいい?」


どんどんと話を詰められ、結局日曜の1時迎えに来ることになった。

その日、暗くなった海で花火をして遊んだ。

あんなことを言っていたが、いざ始まるとハル君は喜んで盛り上がっていた。



(やっぱ子供だな・・・こんなとこは)


「ほら!華さん。これ見て!」


花火でグルグルと輪を作り、その輪の向こうに見えるハル君の笑顔が

とても輝いて見えた。



(可愛いなぁ・・・)そう思いながら笑いながら花火をするハル君を見ていた。




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