6
放課後。
私は時雨に追い出される形で教室を出ると、執行部の皆さんが集まっている部屋へと向かった。その途中、すれ違う生徒からの視線を何度も感じていたが、一々気にしていては私の心が保たない。引き受けると決めたのだから、誰が何と言おうが、『やっぱり辞退します』とは言えない。
そう思って歩いていたら、もう着いてしまった。中に居る人が愛沢先輩だったら良いけど、他の方だったらどうしよう …… ううん。これから同じ仲間になるのだもん。ここで、うじうじしてたらダメ。しっかりしろ私!
「失礼します」
ノックをしてからドアを開け中を見渡せば、そこに居たのは、神宮寺先輩だけだった。
「どうぞ …… って、雪村さんでしたか。今日は、どの様な用件で此方へ?」
「そ、その …… 執行部へ、入らせて頂きたいのですが ……」
神宮寺先輩のオーラに圧倒されて返事をしたものの、最後の方の声は小さくなってしまった。
「そう。では、この紙に学年とクラス、名前を書いてくれるかしら?」
「は、はい!」
私は、先輩から渡された用紙に、クラスと名前を記入すると、用紙を先輩に渡した。
「確かに受け取りました。明日から毎日、放課後は此処に来て下さい。仕事の説明と、立ち居振舞いについても学んで貰います」
「え?」
「貴女は外部から来られたので、立ち居振舞いなど身に付いていない事でしょう。執行部の一員となるのですから、きちんとした立ち居振舞いが出来ないと、私達が迷惑します。ですから、執行部の仕事とは別に、立ち居振舞いも学んで貰います」
「は、はい。分かりました」
「それでは今日の所は、帰って貰って結構です」
それだけを言うと神宮寺先輩は、机の上に山積みされた書類に目を遠し始めた。
私は唖然としたまま、一言挨拶をした後、そのまま寮へと帰った。
(神宮寺先輩は、ゲーム中に出て来たライバルキャラに似ていそう。そうなると、他の先輩方もゲームキャラに似ていると考えた方が、この先の事を思えば良いのかもしれない。それにしても、立ち居振舞いか …… 何だか、疲れそうだよ)




