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次話より、更新頻度は不定期となります。(多分)
翌日。
教室に入ると、クラスの皆から一斉に注目された。
やはり昨日の事は、既に皆が知っている事なのだろう。自分の席に着いた途端、先に登校していた時雨に声を掛けられた。
「葵、おはよー。あのさ …… 昨日、愛沢先輩が葵を訪ねて来たというのは本当?」
「時雨も …… もう知っていたのね …… 先輩が訪ねて来たのは本当の事だよ」
「じゃあ、やっぱり葵が執行部の一員になるのか ……」
「やっぱりて、どういうこと?」
「前々から噂あったんだよね。今年の執行部は、外部生から選ぶと言う噂が。この学園に『外部から来ました』という人は、限られた人しか居ないわけ。葵は、その中の一人だから、選ばれる確率は十分あったという事だよ」
「そんなの、初耳だよ」
「そりゃ、そうでしょ。知っていたら、この学園に来ようとは思わないだろうし」
そう話しているのに、何故か暗い表情をしている時雨。私と一緒に課外活動出来ないからなのかな?
「確かに、執行部への勧誘はあったけど、まだ返事してないよ。それに、私なんかが執行部の一員として務まるかどうか ……」
「何言ってるの!? 執行部の誘いを断るなんて、この学園の生徒達を敵に回したいの!?」
「そ、そんな …… つもりは ……」
「執行部の誘いを辞退したら、敵に回したのと同然だよ!」
「そ、そうなんだ ……」
「と・に・か・く!先輩へは、早く返事して来なさい!」
「は、はい!」
「宜しい」
そう言うと時雨は、自分の席へと戻って行った。私はと言えば、時雨の物言いに圧倒されて放課後、執行部の方々が集まる部屋へ赴き、承諾する意志を伝える事となった。
お陰で今日一日中、授業をしていても何一つとして頭の中に入って来なかった。
(はぁ …… 本当に私で良いのかな …… って、これじゃダメよね。憧れの人達に近付けると思わないと! それにしても執行部の皆さん、あの乙女ゲームに出てくるライバルキャラや、悪役令嬢と一緒だったよね。まさか、性格も同じって事は、有り得ないよね …… ?)