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久し振りに登校して、1日授業を受けるのは、こんなにも疲れたっけ?
そんな事を思いながら寮へ帰る準備をしていると、廊下から誰かが私を呼んでいた。
「雪村さん。隣のクラスの星崎さんが、貴女の事を呼んでますよ」
「委員長、有難う」
星崎さんが私に何の用だろう?
「やっと来たわね。悪いけど、執行部室まで連れて行ってくれるかしら?」
「いいけど星崎さん、誰か先輩に用事?」
「そうね。取り敢えず黒崎先輩に、執行部室へ行く様に言われたわ」
「そうなんだ、分かった。じゃあ一緒に行こう」
「私も付いて行っていいかしら?」
「委員長も用事? じゃあ、皆で一緒に行こうよ」
星崎さんと委員長を連れて執行部室へ行くと、既に先輩方が集まっており、更に知らない誰かが居た。
「あれ? 双海さん、どうしてここに?」
「三井さんこそ、どうしたの?」
「全員、揃ったみたいですね」
私と委員長、そして双海さんと呼ばれた人は疑問を持ったけれど、星崎さんは無表情のまま。相変わらず何を思っているのか分からない人だなぁ。
「取り敢えず雪村さんと三井さんはこっちに来て」
「あ、はい」
愛沢先輩に呼ばれ、私と委員長は別室へ入る。
残された二人は、黒崎先輩と神宮寺先輩と何やら話をしていた。
「三井さん来てくれて有難うね。雪村さんは、こっちに座って。あの二人の事は夏蓮に任せておけば大丈夫だから」
私達が席に着いたのを見計らってか、部屋の奥から藤原先輩が湯呑みが乗ったお盆を持って此方にやってきた。
「雪村さんも三井さんも、お疲れ様。ゆっくりしていってねと言いたい所ですが、貴女達二人に話しておきたい事が有ります」
「話しておきたい事ですか……」
ひょっとして私の事だろうか。足の怪我は治っても、解決したわけでは無い。それどころか、もっと過激な事をしてくるからだろうか。
「先ずは、隣の部屋で話を聞いている双海さんと星崎さん。彼女達はこれから、風紀委員の一員として活動してもらいます。理由は、一年生からは誰も居なかった事。それと彼女達なら、公平に物事を判断してくれると思ったからです。
そして次に三井さん。貴女には、雪村さんと共に行動をして欲しいのです。今回は足の怪我だけで済んだとはいえ、また何が起こるか分からない状態ですので、雪村さんを一人にさせたくないのです」
やはり私の事だった。
自分自身が何も出来ない事が悔しい。犯人も分かっていないから迂闊な事は出来ないけれど、それでも何か私自身でもやれる事はあるのでは無いかと思う。
「分かりました。その話、引き受けます」
「委員長いいの?」
「私も気になっている事だから大丈夫だよ。それに、雪村さんの近くに居た方が、色々と負担も減ると思うの」
「そう言って貰えると助かります」
「三井さん、有難うね! それじゃ一旦解散と言う事で、雪村さんちょっとこっちに来て」
「あ、はい」
私は愛沢先輩に連れられて、星崎さん達の居る部屋へと戻る。
「三井さんだけに少しお話がありますので、このまま居て貰えますか?」
「はい、分かりました」
藤原先輩と委員長との間で決まった事に対して、私は事後報告という形で後々知る事になる。




