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久し振りに学園に来た私は、事件の事もあり教室まで愛沢先輩が付いてきてくれた。
他の先輩達でも良かったが、愛沢先輩が一番適任というわけだったらしい。
(執行部のメンバー全員で行ったら、それはそれで問題が起こるのだとか)
教室に入ると既に何人かの生徒が居たが、私を見るなり皆が一斉に集まって来た。
『幸村さん、怪我は治ったのですか?』
『幸村さん、久し振りだね』
クラスの皆から色々と声を掛けられ、どれだけ心配していたのかが窺えた。
中でも、委員長は見舞いにも来てくれた程なので、学業に復帰出来た事をとても喜んでくれた。
久し振りに受ける授業は、やはり疲れる。
それでもしっかりと勉強をしないと、授業についていけなくなる。
寮で療養していた間に、先輩達から勉強を見て貰っていたが、やはり授業とは違っているので復習をしておかないと次のテストの時に苦しむだけだ。
そう言えば、さっきの授業で先生が、模擬試験の順位が貼り出されていると言ってた様な。
中間テストの時は、良くも悪くも無く普通だったから今回も同じだろう。
そう思いながら、テストの順位表が貼り出されている廊下へと向かった。
「あ!幸村さん」
「委員長」
私に声を掛けてくれたのは、同じクラスの委員長である三木さん。
三木さんも今回のテストの順位が気になるのだろうか?
「一人で来たの?」
「そうだけど?」
「先輩達に言われなかった? 一人で行動しないでって」
「あ!そう言えば、そんな事も言われてたよ」
「だったら言われた事守らなきゃ」
「ごめんなさい」
「まぁ、いいよ。取り敢えず私が暫く一緒に居てあげる」
「……有難う」
それから委員長と2人で、テストの順位表を見た。
その結果、私は前回の中間テストの時より成績が上がっていた。委員長は、前回同様で上位に名前があった。因みに時雨の名前は順位表の中には無かった。
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何時も通り仲の良い友達と登校していたら、校門の前で葵達に出会した。
執行部の先輩達と仲良さげに話をしている葵を見ていたら、段々とイライラしてきて葵を睨み付けた。
階段から突き落としても、怪我だけで済んだなんて、もっと強く押せば良かったと思った。
二度と顔を見る事が無い位にすれば、誰も葵の事なんて忘れるだろう。
次こそは、絶対に戻って来れない様にしなければ。
「………貴女、幸村さんを睨んでたけど、彼女と何かあった?」
「え?」
突然、声を掛けられ振り向くと、そこに居たのは学園の制服を着た外国人だった。
「幸村さんが校舎へ入って行くまで、貴女はずっと彼女を睨んでいた。何か無ければ、そこまで睨む事は無い。貴女は彼女に対して何か有るのでは?」
「睨んでいたなんて、気のせいじゃないですか?私、そんな事していませんよ」
「……何を隠しているか知りませんが、嘘はつかない方が良いですよ。それでは、また」
「なんなの?」
彼女が執行部の一員だと言う事を、時雨は後になって知る事となる。




