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この回は、葵が突き落とされた翌日となります。
委員長視点からのストーリーとなります。
何時も通り登校しクラスへ着くと、普段もより騒がしく感じた。そう言えば、寮を出てからここまでの道程でも、何時もと違ってた様に感じられた。
『委員長、聞いた? ウチのクラスの雪村さんが、昨日階段から落ちて運ばれたって』
「!? それは本当の事ですか?」
『あれ? 知らない? 委員長なら既に知っていると思った』
ピンポンパンポ~ン
“お知らせします。
校内生徒は、速やかに中央棟広間に集合して下さい。
繰り返します。校内に居る生徒は、速やかに中央棟広間に集合して下さい。”
『きっと昨日の事だよ。委員長、早く行こう』
「ええ」
放送を聞いた生徒は、直ぐに中央棟へ向かっていた。その中に、雪村さんの姿が無かった事と、相良さんの表情が一瞬だけ固まっていたのを見逃さなかった。
中央棟広間に集まった私達は、クラス単位で纏まって用意されていた椅子に座った。
広間を見渡してみると、女子生徒のみならず、男子生徒も集められていた。女子生徒だけなら中央棟に集まる必要が無いが、男子生徒もとなるとここ以外の場所は無い。
全校生徒が集まった事を確認すると、ステージ中央に、男子執行部のメンバーと、女子執行部のメンバーが並んでおり登壇の前には、夫々の会長が立っていて話を始めた。
「皆に集まって貰ったのは、とある事件が起きたからだ。既に知っている者も居ると思われるが、改めて説明をする。
昨日の放課後、女子棟のある場所より一人の生徒が何者かによって、階段から突き落とされた。
現在、その生徒は病院にて治療を受けているが、意識は回復していないとの事だ。」
ザワ …… ザワ ……
「静かに! 今回の事件は、この学園始まって以来の出来事だ。そして突き押したとされる犯人は未だ見付かって居ない。執行部としても、全校生徒を守る役目も担っている。そんな中で起きた事件だ。こんな事が二度と起きない様に、徹底して犯人を探し出す」
「同じ学園に通う貴女達を疑う事になりますが、赦されない行為を犯した犯人には、一日でも早く名乗り出て来て欲しいです」
「これは男女関係無く、執行部の全員で事件の解明に取り組む。それに伴い、少しでも何か知っている事があれば、皆に協力して貰いたい」
クラスに戻ると、皆の顔に不安が広がっていた。それもそのはず一番に疑いがかけられるのは、彼女と同じクラスである私達だ。だからと言って、彼女に文句を言える立場でも無い。
それは皆、同じ事だった。




