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聖 白薔薇学園執行部   作者: 南條 樹
嫌がらせと事件
21/45

新先輩と夕飯を共にした日から数日。

何時も通りに登校し下駄箱を開けたら、大量の手紙が…… その内容は、全て『嫌い』と書かれていた。

私は回りを確認すると、急いでその手紙を鞄に詰めて、教室に向かった。

自分の席に座ると、机の中に何か入っていたらしく中を覗いてみたら、下駄箱と同様に手紙が詰め込まれており、内容も同じ事が書いてあった。


(誰が、こんな事をしたのだろう…)


その後も私が行く先々に、同じ様な手紙が何枚も出てきた。それと同時に、何時もなら休憩の度に話し掛けてきた時雨が、今日は一度も話し掛けてこない。私が目を合わそうとすれば、直ぐに視線を反らし他の子と話しをし出していた。


(時雨どうしたのだろう? 何時もなら話し掛けてくれるのに。今日は一度も話しにこない。私何かやらかしたのかな…)




*****



あれから数日過ぎ、私と時雨は一切話しをしたり遊びに行く事も無くなった。

学校では、相変わらず嫌がらせが続いていた。


(本当に誰がこんな事しているのだろう? 今は先輩達を騙せているけれど、何時かはバレてしまうから、それまでに何とかしないと)


何か良い方法は無いかと考えていたら、普段は話しをする事の無い、委員長が声を掛けてきた。


「幸村さん。ちょっと良いかしら?」


「委員長、どうしたの?」


「貴女、相良さんと何かあった? 以前は仲良さそうだったのに、最近は一緒に居る所を全く見ないわね。喧嘩でもしたのかしら?」


「私も …… よく分からない。ある日を境に時雨から話しをしてこなくなって、私から話し掛けようとしても、避けられてるみたいで、会う事すら叶わなくなってしまった」


「………そう。 実は、貴女に関する悪い噂を聞いたから、相良さんと何か関係有るのかな? って思ったのよ」


「悪い噂って……」


「知らない? 貴女が、男子生徒と無断外泊したとか、一年生の女子生徒を苛めているとか色々よ」


「無断外泊なんて …… するわけ無いじゃないですか!」


「それは分かってるわよ。当然、この噂を鵜呑みにする人なんて居ないだろうけど、中には信じる人も居るだろうから、気を付けなさいね」


「………うん」


委員長から教えて貰った事が頭から離れず、その日寮に帰ってからもずっと悩んでいた。


(誰が偽物の噂を流したのだろう …… 私、何かしたのかな)


考え事をしていたせいで、机の上に置いてあったノートなどが落ちて事にも、黒崎先輩が訪ねて来た事も気付かなかった。


「葵」


「………」


「葵!」


「………」


「葵!!」


「は、はい!」


「やっと気付いた。机の下にノートが落ちてるよ。何か考え事をしていたのか?」


「は …… いえ」


「一人で悩んでないで、私達に相談しなさい」


「有り難うございます。今は、まだ自分自身で考えたいです」


「そう …… 分かった。でも、本当に何か問題になる前に、私達に相談する事。いいね?」


「………はい」


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