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聖 白薔薇学園執行部   作者: 南條 樹
初対面
19/45

「また、会ったね」


新先輩と邑雲先輩がカフェに来たのだが、邑雲先輩は店内に居た女の子達に囲まれていて、新先輩は私の前へ。

差し出された手に思わず手を乗せようとしたら、新先輩に手を掴まれて、そのまま引っ張られ先輩の方へ体をよろめかせてしまった。


「ここは人が多いから、場所を変えよう」


微笑みながら私に話し掛けると、先輩はそのまま私の手を握ったまま店を後にする。


「え? あ、あの…」


「お友達なら、大丈夫だよ」


「あ、はい …」


そのまま先輩と手を繋いで学校から離れたお店に入り、店員さんの案内で個室に通された。


「ここは他の店と違って、生徒のプライバシーを尊重してくれるから、そんなに気を張らなくても大丈夫だよ。それに客として来ているのも、同じ学校の生徒しか居ないよ」


「そ、そうなのですか。私は、初めて来ました」


「一年生で、ここに来る子は余り居ないかな」


「そ、その … 新先輩は私に用があって、ここへ連れて来てくれたのですよね?」


「ん? 用と言うか君があの店に居るのが見えて、話しをしたくなったから連れて来たまでだよ。それと、君が此所に居る事は、黒崎君に伝えてあるから、その辺りの事は気にしなくても良いよ」


「は、はぁ …」


昨日の今日で新先輩に会うって事は、私の知らないうちにフラグ立ってたのかな? 会長や副会長も格好いいけど、新先輩は格好いいと言うか綺麗だよね。男の人なのに長髪だけど、それが似合ってる! それに先輩のファンって、さっきので分かっちゃったけれど、かなり沢山居たよね。それなのに私の下へ来て、連れ出しちゃうなんて。



*****



「あ、葵! ちょ、ちょっと、何処連れて行くのですか!? 私もいっ…」


「これから先は、先輩が店を出るまで通さない」


「はぁ!? 何、言ってるのよ!」


葵達の後を追い掛けようと席を立ったら、私の目の前に知らない男の子が現れ、行く手を阻まれた。


「先輩の所望に応えたまでだ。君みたいな一般生徒は、ここで大人しくしていた方が、無難だと思うがな」


「一般生徒って、貴方だって同じじゃない!」


「いや、俺は先輩と同じ、執行部の一員だ」


「そ、そんな事通用するとでも……」


「相良さん!」


誰かが私の名前を呼ぶと同時に、手を掴んで来た。


「相良さん。彼の言う事に従って」


私の手を掴んで来た人は、昨日、葵と一緒に寮へと帰って行った黒崎先輩だった。


「黒崎さん、お久し振りです」


「二宮君、お手を煩わせて御免なさいね」


「いえ、これも仕事のうちですから」


そう言うと、彼は私達に背を向け、立ち去った。


後に残された私は…


「相良さん。貴女この学校に居たいのなら、男子執行部の人と喧嘩しない事だよ」


「それは、どういう…」


「執行部の内情だから話せないけど、そう言う事。勿論、男子の方だって、女子執行部の人と喧嘩はしない。もし、してしまったら退学は免れないわね」


「先生達は、そんな事黙っているわけが無いじゃないですか!」


「先生達も容認しているわ。そもそも校則にも書いてある事よ」


「え?」


私は慌てて生徒手帳を広げて確認してみた。確かに先輩が言った事と同じ内容が書かれていた。


「分かったかな。これからは、気を付けなさい。雪村さんなら大丈夫よ」


「……はい。先輩、ご迷惑をかけ、すみませんでした」


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