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葵ちゃんと別れて、美紗ちゃんと二人並んで寮へと帰って行く。
「時雨って、雪村さんと友達だったんだ」
「うん、そうだよ。美紗ちゃんに話して無かった?」
「初耳だよ。そっか、雪村さんと友達になれたら、先輩達に近付けるチャンスが有る!さっきの先輩なんて、格好良かったし」
「美紗ちゃんは確か、神宮寺先輩の事が好きなんだよね?」
「そうだよ! あのキリっとした顔に、あのスタイル……憧れちゃうよ」
「確かに神宮寺先輩って、憧れている子多いよね」
「それにさ噂で聞いたんだけど、執行部のメンバーは、定期的に男女合同で、会議を行うらしいよ。つまり、入学式の時に壇上に居た、あの面々と直々に会うって事だよ」
「何それ!? 本当なの!? じゃあ葵ちゃんは、女子執行部の先輩達だけじゃなくて、男子執行部の人達とも一緒になれるの!?」
「そう言う事だよね」
「じゃ、じゃあ! 葵ちゃんに頼めば、憧れの先輩とも会えるチャンスが有るって事!?」
もし、それが本当ならビッグチャンスだよ。そうなると、葵ちゃんが尚更羨ましくなる。皆の憧れの先輩達を独占出来て、更に男子執行部の、先輩達とも仲良くなれるわけじゃん。
でも葵ちゃん自身は、何も思っていないかも。前は、あんなに男子執行部の話しばかりしていたのに、最近は、その話しもしなくなっちゃったから。
「時雨?話し聞いてる?」
「え? な、何?美紗ちゃん」
「もう………話し聞いてないじゃん。これから、私も昼休みとか一緒しても良い? 雪村さんに近付けるチャンスだし」
「葵ちゃんなら、昼休みは執行部の会議室で、先輩達とお昼食べるから、教室には居ないよ」
「え!? 何それ、超羨ましい!授業中以外は、殆ど先輩達と一緒って事じゃない」
「と、取り敢えず寮に着いたから、この話しは一旦止めよ。皆に聞かれちゃったら、チャンス減っちゃうから」
「そうだね。これは、私達だけの秘密にしよう」
寮の玄関へ入り、部屋へと急ぐ。私と美紗ちゃんは、同じ部屋だから、話しの続きは部屋に入ってからでも出来る。それに、もっと色んな情報が入れば、葵ちゃんを出し抜く事だって出来るのだから。
私の野望に一歩近付ける。
その為には、葵ちゃんや、美紗ちゃんを利用しても厭わないから。
時雨&美紗の、会話のみの回になってしまった(^^;
たまには、良いよね?
時雨ちゃんの腹黒な所が、少しずつ出て来る……かな?




