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聖 白薔薇学園執行部   作者: 南條 樹
初対面
16/45

まさか、あんな所で人に会うとは思って無かった。今でもドキドキしている。私、ちゃんと話せたかな。

それにしても、新先輩、格好良かったな……


書類の入ったケースを片手に、私は寮までの道程を急ぐ。あまり遅くなると、黒崎先輩に心配かけてしまうからだ。


「葵ちゃん!」


誰かが、後ろから声を掛けてきたので振り向くと、時雨がパタパタと小走りしながら、私の所まで駆けてきた。


「葵ちゃん、何処行ってたの?」


「何処って……」


「今日、委員会の仕事の日だよ」


「あ! 忘れてた! 時雨ごめん」


「全く ……本当だよ。葵ちゃん居ないから私一人だったし、今日に限って人が多く来るわで、大変だったんだから」


「本当に、ごめん」


私と時雨は、一緒に図書委員をしている。部活見学の時に、色々と見て回ったけれど何処も合わず、最後に訪れた図書館で、三年生の先輩に勧誘され入る事に。図書委員となれば部活に入らなくても良いとの事だったので、私達にとっては有り難かった。


「お詫びに明日いつものカフェで、パフェ奢ってよ」


「……はい」


時雨にパフェを奢るのは仕方無い。忘れていた私が悪いのだから。でも、あの店のパフェって確かかなり高かった様な ……お小遣い大丈夫かな。

私達は、それぞれの寮へ行く分かれ道まで一緒に帰った。


「それで、葵は先輩達とどうなの?」


「どうなの?って……何が?」


「何がって毎日執行部の先輩達と、一緒に居るじゃん。何か特別な事とか無いの?」


「特別な事って……そんな事あるわけ無いよ」


「えー! 皆の憧れの先輩達だよ。傍に居たいって子達いっぱい居るんだよ」


「そう言われても ……今までと変わらないから」


「勿体無い」


「勿体無いと言われてもね ……」


いつの間にか私達は分岐する所まで、歩いて来ていた。


「もう分かれ道か……」


「これ以上遅くなると、先輩達に迷惑かけちゃうから帰るね」


「そうだね」


その時、私達の後ろから誰かが話し掛けてきた。


「時雨 ……? ああ、やっぱり時雨だ」


その子は私達の前にやって来ると、時雨の方を見て嬉しそうに話し掛けてきた。


「美紗ちゃん。 美紗ちゃんも、今帰り?」


「うん。ここで時雨に会うのは、偶然だね」


「そうだね ……あ! 葵ちゃん、紹介するね。同じ寮の林 美紗ちゃん。美紗ちゃん、こっちは同じクラスの雪村 葵ちゃん」


私が誰なのか分からず、不思議そうな顔をしていたら、時雨が紹介してくれた。


「初めまして、雪村葵です。」


「林美紗です。雪村さんって、あの雪村さん?」


「あのって?」


「1年生で、ただ一人、執行部になった……」


「うん、そうだけど」


私って、そんなにも有名?


「会えて、光栄です!」


「そりゃ、どうも」


初対面で、いきなり握手求められたよ。そんなに私に会えたのが嬉しいのか? それよりも距離近いのだけど。


「美紗ちゃん、それくらいにしてあげて。葵ちゃんの魂が何処かにいっちゃうよ」


「ハッ!ご、ごめんなさい。つい……」


時雨が止めてくれなかったら、私本当に意識が飛んで、魂抜けちゃう所だった。こういう時、人見知りだと色々やっかいだな。


私達が、分岐点の所でずっと話しをしていたからか、空は日が落ちて、暗くなっていた。


「ヤバッ! 先輩に怒られる。ごめん、私帰るね」


「葵ちゃん、約束忘れないでよ」


「雪村さん、また会いましょう」


私は、急いで寮へと帰ろうとしたら、黒崎先輩が直ぐ近くまで来ていた。


「雪村さん。ここで何をしている?」


「あ! 黒崎先輩すみません。友達と話していたら、つい……」


「友達と話しをするのは構わないけど、帰りがけ遅いと皆が心配するから、暗くなる前に寮へ帰って来る様に」


「はい、すみませんでした」


「そこの二人も、暗くなっているから、早く帰りなさい」


「「はい」」


私は、黒崎先輩と並んで、寮へと帰って行った。






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