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執行部員と正式に決まってから、毎日が慌ただしかった。今まで話した事の無いクラスの子達から、急に声を掛けられる様になったり、私の事を一目見ようと、他のクラスの生徒や先輩達が休み時間の度に訪れた。そんな中、寮の引っ越しも行われた。
「新しい寮に行っても、頑張れよ」
「はい! 今まで、お世話になりました」
見送りに来てくれたのは、私が今までお世話になった寮の寮母の柿園 冬美さん。まだ二十代と若いのに、寮母としてしっかりとしている。
荷物は殆ど新しく移る寮へと運び終わり、小さな手提げ鞄だけだ。寮を出る前に同室であった星崎さんにも声を掛けたが、返事は返ってこず、そのまま時間となり部屋を後にした。
私は、これからお世話になる、寮へと向かっていた。先日、引っ越しの荷物を運び入れる際に、愛沢先輩に会い、まだ会って居ない他の寮生を紹介してくれた。新しい寮は執行部員の先輩方だけと思っていたが、その先輩達の護衛的な役割をしている先輩方も紹介してくれた。
二年生の先輩で、柏木 那奈。同じく二年生の先輩で、鈴村 愛佳。三年生の先輩で、長尾 夕輝。そして、纏め役でもある三年生の先輩で、黒崎 要。この四人も、同じ寮に住んでいるとの事だ。
この事を時雨に話したら、執行部の先輩方と同じ位憧れられている『Star Nights』の面々と教えられた。そんな有名な人達と、これから一緒に生活していくと思うと、緊張してならない。
「失礼します」
新しく入る寮のドアをノックし、扉を開けると、中には先輩方が集まっており、私を出迎えてくれた。
「雪村 葵です。これから、宜しくお願いします」
次回より、新章に入ります。