03:ヒロイン襲来
朝食を終え、特にすることもなくなった私は自室で一人、座り心地のいいソファに背中を預けて考える。
「これからどうしようかなー…」
『Eternity of false』は所謂探索ゲーで、日に3回、午前、午後、就寝前と行き先を選択し、高感度上げに勤しむというシステムだ。
今は午前で、きっと今頃、ヒロインは高感度上げのために宮殿内を徘徊していることだろう。まあ、今まで来たキャストたちも皆そんな感じだったそうだし、それだけならなんら問題はないのだ。そう、それだけなら。
ーーー
「アリエさん、こんにちは!」
「ごきげんよう、エナさん。今日も元気ね」
ヒロイン登場から2日目の午後、ヒロインが私の部屋を訪れた。え、ちょ早くね。もうちょっと後にくると思っていた私は、思わず身構えてしまう。
正直私に会ったって他キャラの高感度に変化はないし、もっと後に会うべきだと思うんだけど。
「アリエさんアリエさん、聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「? え、あ、聞きたいこと? 私に答えられることならいいわよ。どうしたの、いきなり?」
突然突拍子もないことを聞かれて困った。なんでいきなり?
確かゲームではキャラにエンカウントすると、通常時なら移動と会話の選択肢が表示されるから、今彼女は会話を選んだのだろうか。あまり細かくは覚えてないから、断定は出来ないが。
初期の会話なんてすでに朧げな私は、せいぜいぼろが出ないことを祈って質問を待つ。とはいえ、初日に高感度なんて聞いたところで、何の意味もないと思うけど。
しかしヒロインの口から出たのは、全く予想だにしないことだった。
「アリエさんって、好きな人いますか?」
「……は?」
お前は何を言っているんだ。