七五三
この年の七五三は、大安だった。
だからだろうか、かなり賑わっているようだ。
そんな卓上テレビで流れているテレビニュースを聞きながら、寮で生活している宮司は、机の隅にある小さな神棚で、静かに手を合わせていた。
それを見ていた同室の星井出が、宮司に聞いた。
「なあ、その神棚って、何の神様が祭ってあるんだ」
「秘密。いろいろさ」
そう言って宮司は、星井出へ向かって言った。
「今日は七五三だったな」
「さっきニュースで言ってたな」
「そうっか…」
宮司はそう呟いて、どこかにメールを送った。
「どうしたんだ」
「ん?ああ、七五三だから、健康安寧の祝詞でもあげておこうかなって」
「七五三って、そんなお祭りなのか」
星井出が宮司に聞いた。
「元々は徳川5代将軍が長男の健康を祈ったのが始まりだという説が有力だな。これからも分かるように、初めは関東のお祭りだったんだ。それがいつしか全国に広まったってわけ」
「そうなのか。確か、男が3歳と5歳で女が3歳と7歳だったな」
「そ。元は数え年齢でしていたけど、今じゃ満年齢でしてるな。ちなみに、大阪を中心とする関西では数え13歳で神社やお寺へお参りして、知恵を授かるという十三詣りっていうのをしたりするんだ。こっちはまだあまり全国区になっていないみたいだけどな」
その時宮司のところへメールの返信がやってきた。
星井出は、そのメールについては何も聞かずに、ゲームの続きをし始めた。