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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Devil-Love game

作者: 青紫 時雨

~Secret tale~


ギシギシっと音が鳴り振り子が揺れる

その前で彼女が涙を流しつつそれを見ていた

「何故、君は涙を流すのか?」

紺色のスーツにシルクハット、不気味な白い仮面を付けた男がいう

彼女はただ泣いて“それ”を見つめるだけである

男は呆れたように肩をすくめ、その振り子に触れる

「もし、君が悪魔のゲームに参加する事でチャンスを得られるなら…どうする?」

ふと、彼女の目が男に移る

男は、意味ありげに手を彼女に伸ばすのであった


ガヤガヤという騒々しい教室の中を自然な動作で入っていく彼女

「…昨日の5時頃にブス子が死んだんだってさ」

「らしいな、首吊り自殺だろ?」

各々の会話の中心はとあるイジメられていた子の話である

クラスの端にひどく傷ついた机が彼女の机である

「…さよなら」

誰にも聞こえないように彼女が言った

ひどく悲しい顔でそれを見つめた

「和香やん、和香やん!!聞いて聞いてよぉぉ!?」

ドタドタよりもパタパタと言いたくなる軽い足取りで走ってきた彼女の顔を見るため、視線をずらし顔を作る彼女こと和香

「おはよう、どうしたの?」

「ブス子死んじゃったじゃん…だから、宿題写せなくってさ」

「ブス子ったら、遥香が困るのにね…しょうがないわね、私ので良かったら写す?」

そう言うと和香は優しい笑顔を遥香に向けた

「いいの、ありがとう!!」

走り去る遥香を見つつ、鞄から宿題を取り出す和香は、ひどく落胆した


「何を仰るかと思えばその様な事ですか?」

紺色のスーツにシルクハット、不気味な白い仮面の男はクスクスと静かに笑った

「でも、ご主人様もここの人間の記憶の改竄は楽だったって」

そう答えたのは、赤に黒を混ぜたパンツスーツに小さなシルクハットを頭にのせた、血色の悪い女性だった

和香は、彼らにため息を吐きつつもいつもと違う屋上の景色を見ていた

「彼等にとって、あの人の名前はブス子なのね」

「あの人…ですか」

男がまた静かに笑う

それを、反応せずに和香は、お弁当を片付けるのであった

「くくく、どんな気分ですか…今の生活の気分は?」

「…いつも、嫌悪の対象だったけど」

「けど?」

男が聞き返す

「品定めされるように、体を見られるのも好きじゃないわね」


「…ごめんなさい、好きな人が居るの」

和香は、そう言うとクラスメイトをその場に残して去っていく

和香は、つまらなそうに去っていく

ー…同じクラスになったときからー

「…私はそのときは、まだいないわ」

和香が教室に戻ると、物静かな女子を取り囲む集団が映る

正直逆の状態を和香が見たのは初めてだった

「あっ和香やん…一緒に遊んでいく?」

声の主は和香がよく知ってる、人だった

「…そうね」

和香は、内心苛々していたので、彼等で男から頂いた“力”を思いっきり試すことにした


「凄い、こんな事が可能なんだ」

そう言いながら、先程の出来事をまとめる和香は、手持ちの手帳にまとめる

すると、突然頭を小突かれる

「危ないだろ…何やってんの?」

そう、声をかけてきたのは優しい笑顔をした

右顔に火傷を持つ彼だった

「あ…その…あっと、メメメ‥メモを」

「井上さんも…田中さんみたいなことするんだ」

「…田中‥さん」

ふっと彼が寂しそうに笑う

「そっか、先生すらも“ブス子”だもんね…とても、きれいな子で君と同じ名前をした子だよ…っごめんね」

そういうと寂しそうに去っていく彼を和香は、見送ることしかできなかった

死んだ田中 和香の話で泣いていたから


「福田 純一…」

ぼぉっとベッドに投げ出した身体をベッドに沈める和香

ーきれいな子ー

和香は、胸が締め付けられるような気がした

そして、思い立ったように和香は、走っていた


「あれ、井上さん」

福田は、やはり田中の家の近くを歩いていた

和香は、それを見つけ荒い呼吸を吐き出しながら彼と相対した

「君も田中さんのお葬式に?」

「いいえ…」

「そう…僕に用事?」

つらそうな笑顔を向ける福田で合ったが、井上の顔を見て驚く

顔の半分が“田中 和香”に変わっていた

さらにバキバキと音を立てて彼女の背中に骨盤のような骨と中心から様々な方向に細い何かが走っていた

「私は、井上さんじゃない……私は殺された田中 和香よ」


「そのまま、待ってたら助かるわよ」

彼女は福田を歪んだ愛情をもっていることは知っていたが、まさか自宅に侵入してまで殺しにくるとは思わなかった田中は井上の内面を見た

「私、福田君から聞いたの…彼が貴方のことを綺麗っていうのを」

小さな台の上で背伸びをしていないと、首が締まってしまう中で彼女はニコニコっと笑って話し続ける

「福田くんは、アタシの物よ…ブス子が手を出すんじゃないわよ」

当時の田中 和香は人付き合いが苦手で身だしなみを整えようとはしていなかった

目元を前髪で隠し過ごしていた

彼女は最後にニヤリと笑って台をずらしたのだった

田中は自らの体重でそのまま縄に絞められる形となった

「…さよなら」

最後の井上の言葉は冷たかった


「その後、悪魔が来て…私と彼女を入れ換えたの」

「…」

「貴方が好きで…死ぬ前に告白したかったの」

田中こと井上は独白を続ける

福田は黙って聞いている

「答えを聞いたら私は死ぬから…気にしないで、これの力は他人を好きに扱ったり記憶を改善したり出来るの」

「…」

ふと、足を止める和香

「ねぇ、田中 和香の事が好きですか?」

不気味な糸が周囲に延びる

それに、目もくれず悲しい顔で福田は彼女を見つめる

「君は、ずっとイジメられてた…このまま死んで何が幸せなの?」

その言葉に和香は、うなだれる

「悪魔も言ってた、玩具か死ぬか?でお前は何が幸せなのか?って」

自虐的に言う和香に福田は近づく

「でも、ここで…私が井上さんを殺したら、一緒じゃない?」

「っ!!」

彼女は泣いていた

彼も泣いていた

「僕は、君のそのきれいな考え方が好きで愛してる」

バァッと骨盤などが金色の粉となっていく

田中の顔が消える

幸せそうなきれいな笑顔

井上の体が崩れる

福田は、その金の粉を掴もうと手を伸ばすも離れていく

福田はその場に崩れていた


「これでいいの、アタシは幸せ…ごめんなさーー」

「はい、おめでとうございまーす…田中様」

突然重力のようなモノに引かれた田中は零体の身体で驚く

「あなたは、芸舞ゲームの勝者ですよ、幸せになってもらわないと」

男がそういうと彼女ごとその場から消える


その後、福田は魂が無くなったように1ヶ月を過ごしていた

田中は、仕返しはしたようで今までイジメを行っていたグループは、解散していた

だが、福田はそれに何も感じなかった

「席に着けー」

やる気のない先生の声、何かを伝える先生の言葉は福田の耳に届いては居なかった

突如として福田の頭が小突かれる、その衝撃に振り返る

「ただいま」

見覚えのあるノート、綺麗な顔、明るい笑顔

「田島 和香さん?」

皆が驚く中を堂々とする彼女をみて、福田は嬉しさをかみ殺した


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