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随筆: 幼稚園児とみつ豆 

作者: 梓沢何某

 私は喫茶店を冷やかすのが好きだ。

冷やかすといっても礼儀としてアメリカン(なければ普通の)と空腹で財布と時間に余裕があればナポリタンを頼むことにしている。

 どんな喫茶店を冷やかすかというと、チェーン店ではなく個人経営の、おっさんおばさんの類が地域密着で経営しているやつで、地域密着のあまり、よそ者が入りづらい店がなおよい。


 こういう店でダラダラと時間を潰している人が羨ましい。

新聞読んでる爺さんがぷるぷるしながらピースの灰を落としている光景などなんとも牧歌的で好きだ。

 午前中ちょっとだけ働いて午後はこうしてヒマを潰す、こういう生活スタイルに憧れる。豊かでなくとも憩いがあれば人生勝ち組だと思う。

「なべての頂に憩いあり」とはゲーテの言葉である。


 こないだの夏の昼頃、たまたまこういう喫茶店を見つけてガラッと入ったら、扇風機に当たってたおばさんがえらいビクッとして血迷うたか「まだ準備中で、営業しておりません」など言う。

 いや、しかと見たぞ。


営業時間7:00~19:00


 その日は諦めて大學に行ったけど、後日、日を改めて入ってナポリタンを頼んだ。このおかあさんの手作り感がたまらない。他人のおかあさんが握ったおにぎりを出されたような複雑な気持ちとせめぎあいつつ食すれば語り尽くせぬ滋味があるものだ。

 こないだも行ったら、近所のおばあちゃんが女のお孫さんを連れていらっしゃっていて、幼稚園年中さんあたりでしょうか、鼻の下てらてらさせて指なんか舐めてらっしゃる。

「○○ちゃん何食べようかね」

「…ケーキ」

「ケーキは無いわね、甘いのがいい?じゃ、すみませんみつ豆2つ」







 持って来られたみつ豆2つ。



 もちろん餡は入っていない。




 女の子うんと甘いのを期待してたどたどしく口に運べば、とたんにムスッとして幼い眉に皺を寄せる。


 おばあちゃんは店のおばちゃんと談笑中である。


 出口の見えぬガールズトークにムスッとしたままフォークが進まない女の子の顔。





こういうのを見てニヨニヨするのが俺の趣味だったらいいのに。



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