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初めての0

「早く早く!」


『え、ど、どうすれば…』


「木に刺さってるから倒して!」


先程俺の上を通っていった魔物は、その特徴的な角が木に突き刺さって藻掻いていた


『俺魔物なんか倒したことないぞ、動物だって殺したことなんか…』


「いいから武器はないの!?これが抜けたら死んじゃうんだよ!!」


『し、死ぬ…』


先程の骨になった死体を思い出す、今動かなければアレが俺の末路に本当になるかもしれない


「くっくそ、やってやるよ!」


先程門番の兵士からもらったナイフを抜いて構える、角が刺さって藻掻く魔物は背中を無防備にこちらへ向けていた


『オラッ、オラオラオラオラオラッ!』


混乱して前に読んだ漫画の殴るセリフを言いながら斬りつけた、だがナイフは良いものだったみたいだが俺のステータスが低すぎて刃が全く通らない


『か、堅てぇ…』


数回斬りつけただけで、手首に痛みを感じるくらいの堅さで弾かれ続けた


「何してるの!急がないと抜けちゃうよ」


『そ、そんなこと言っても…』


斬りつけながらホーンラビットのステータスを見ていたが、まだHPは6ほどしか減ってない。しかも自動回復分なのか、徐々に回復して少し見えた切り傷も塞がっている


(このままじゃ死んじまう、結局女神の祝福も意味なかったな)


ずっと斬りつけていたが、手が痺れてナイフを落とし地面に突き刺さる


『くっ』


「もう時間がないよ!」


『俺にスキルさえあれば、この状況もどうにかなったかもしれないのに…』


女神のミスで巻き込まれ異世界に転移した、ただ本来は転移する予定じゃなかったので、ステータスは赤ん坊以下でスキルもなかった。そして初の戦闘は雑魚ではなく、最低でもCランクと呼ばれる魔物だった


(終わったな…)


その場で膝をついて空を眺める、そこには両親や祖父母の顔が浮かんでいるように見えた


『ははは、今行くよ』


徐々に刺さった木から角が見えてくる、これが抜けたら俺の命も終わるのだろう


「スキル?スキルが使いたいの?あるよ」


ナナがスキルの話をしている、万能言語や万能鑑定だけで魔物が倒せるなら苦労なんてしないだろう


付与(セット)って声に出して」


『え、付与(セット)?』


そう言うとステータス画面の一部が大きくなる、そしてそこには俺の本来のステータスの後ろに何かが見える


HP 15/15□

MP  0/0□

力   6□

体   6□

速   6□

運   6□


『なんだこれ…』


「力に触れながら、融合(フュージョン)


融合(フュージョン)!』


ナナに言われた通りに叫ぶ、するとステータスにノイズのようなものが見えた

 

HP 15/15□

MP  0/0□

力   60

体   6□

速   6□

運   6□


『力が60になってる…』


「早く!武器を取って攻撃して」


『あ、ああ…』


自分に起きたことに考える暇も貰えず、先程落としたナイフを持ち直し斬りつける


(刃が通る!?)


先程までとは違い、魔物の身体に気持ち良いかのように刃が食い込む


『ハァハァハァ…』


数回斬りつけると魔物は息絶えたのか、木に刺さった角から出た身体がブラブラと動かずに揺れていた


『うっ…』


ナイフを持つ手を見ると赤い液体が飛び散り、着ている服や顔なども熱いものがかかった感じがする


「あ、やばいこっちに来て」


ナナに言われて魔物を手に取るとスッと抜けたので、もう少し遅ければ立場は逆転していたのかもしれない


「こっちこっち」


『ま、待ってくれ』


わけもわからずナナの後ろを追いかけると、最初に投げ捨てられた門番の兵士のいた場所に出る


「危なかった〜、違う魔物が来てたから流石にやばかったよ」


『い、生きた…』


落ち着く暇もなかった俺は、その場で意識を失った

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