表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/66

風呂を作ろう 2

「九十九、これでどうだ?」


『いいですね、それくらいあれば大丈夫だと思います』


食後にシゴロの家へ戻り、作業の続きに入った。ヒフミはもう少し休むと言うので、今のうちに排水周りをやっておくことにした。作業の前半でシゴロが言っていた、前に埋めたという穴を確認し掘り直してもらった


『風呂の水を抜いたらここまで流れるようにするので、ある程度貯められないと困りますからね』


ただ1つ問題がある、これから先何度も使用するのなら排水先を決めないといけない。少量なら蒸発するまで放置すればいいが、村に銭湯を作るのなら川に流す方向で考えたい


(川に流す前に、ろ過するフィルターみたいなのも考えないといけないのかな?)


風呂から水を抜く場所に、布などを巻くだけでも変わるだろうか。但しそうするのなら、もっと目の細かいものが必要だったと思う


(いっそのこと村の外に銭湯を作るのもありだな、川に近ければ排水も楽だし…村の柵を広げればいいだけだもんな)


もしそうなるなら大規模な作業になりそうだ、まずは村の人からの信頼を得る必要があるだろう


『あれ?そういえば村長さんに会ったことはないな』


村に着いてから一度も見たことがない、チキンバードを食べた宴でも挨拶をすることがなかった


「村長なら、少し前に出かけたぞ。定期的に俺やヒフミが作った物を、他の街へ売りに行くんだ」


シゴロが言うには、俺が着く少し前に村を出ていたらしい。村の南西から出た先にある、俺がまだ行ったことのない街へ売りに行ってるらしい


「俺が作った器とかヒフミが作った木の細工や薪などを、売りに行ってくれるんだ。村には収入がないからな、それを売った金で街で買って帰って来る感じだ」


『なるほど、村長さんが自ら行くのは凄いですね』


「村の決まりらしいからな、ずっと歴代の村長はそれを続けてるよ。もう少ししたら、戻るんじゃないかな?」


村長といえば老人なイメージだが、もしかしたら若い人なのかもしれない。村に戻ってきたら、一度は挨拶をしたいと思う


「さて、後はどうする?」


『そうですね…お風呂をここに置くとして、壺は向きを変えれば直にお風呂にお湯を送れそうですね』


窯の高さが50センチほどはあり、その上に壺が乗っている。壺はドラム缶に似た大きさなので、1回でそれなりの量のお湯を沸かすことが出来そうだ


「重いから1回水を抜くか」


『そうですね、抜いてから一緒に動かしましょう』


抜く前に壺の中をよく擦り、もう汚れがないことを確認した。そして水を抜いてから、水を抜く栓がある方を後ろから横に向ける


『ヒフミさんが起きる前にお湯を沸かしておきたいので、また手伝ってもらっていいですか?』


「ああいいぜ、いい筋トレになるよな」


『たしかに…結構腕にきますね』


腕だけではなく、腰や足も疲れていた。ただステータスが上がった影響なのか、前に比べて楽に感じている


『風呂が完成したら、きっと頑張って良かったと思えるのでお願いします!』


「ああ、九十九のことは信じてるからよ」


シゴロと2人で何往復もして、壺の中に水を貯めた。貯める途中から火を入れてお湯を沸かし始め、ヒフミが来るまで待つことにする






「待たせたね、久しぶりに大きな物にスキルを使ったから、疲れちまったよ」


シゴロと話していると、ヒフミが外に出てきた。肩を回したりストレッチをしながら、こちらへ近づいてくる


『先程作ってもらった木の容器と同じ物を作ってもらって、2つを合わせてもらえますか?』


事前に作ってもらった半分と木を1本、シゴロと風呂を設置する予定の場所に持って来ていた。後はヒフミがスキルで作ってくれれば、風呂は完成となる


「ちょっと待ちな、同じ物だね」


ヒフミが木に手を添えて、先程作った物を見て集中する。木が虹色に光ると、形が変わって半円の桶みたいなものが出来る


『シゴロさん』


「おう、合わせればいいんだな」


シゴロと協力して動かし、半円の桶の接合部を合わせる。綺麗な円の形になり、大きな桶がその場に置かれた


『ヒフミさん、お願いします』


「はいよ」


ヒフミが桶に触れると、接合部の壁となる部分や底の部分が光り始める。そして俺が欲しかった物が、そこに完成した


『ふむふむ、周りの壁の高さは1メートルくらいで厚みは5センチ以上あるからちょうどいいですね。足も伸ばせるので、2人で入っても全然大丈夫そうだ』


「そういえば、栓をつけるんじゃないっけ?」


『あ…そうだ、シゴロさん忘れてました。ヒフミさん、ここに水を抜く用の栓を付けたいです』


「こんな感じかねぇ」


ヒフミは桶の底に近い横の壁に、500円玉くらいの穴を空けた。そしてT字の木の栓を作り外側から挿して、水を抜きたい時はそれを抜けばいいと言っている


「試しにこれで使ってみて」


『わかりました、ありがとうございます!』


完成した風呂を見ると、初めて作った物にしてはよく出来ていた。これも全て、シゴロとヒフミがいてくれたおかげだ


「それで、これをどうするんだ?」


シゴロを見ると、期待の眼差しを俺に向けている。とうとうこの時が、来てしまったようだ


『この中に壺のお湯を出しましょう。どれくらいの量が貯まるか、確認してからですね』


「あいよ、栓を抜くぞ!」


『それ、火傷に気をつけて下さい』


壺に付いている栓が熱さで持てなくなっていたので、布を何枚も巻いてなんとか抜くことが出来た。ここはまた後で、風呂への排水管みたいな物を作りたいと思う


『お〜』


「貯まる貯まる〜」


「これじゃあ、この容器の半分も貯まらないねぇ」


壺からお湯がどんどん流れて行くが、風呂の大きさがそれなりにあるので足りなかった。だがそこに事前に用意しておいた水を足して、温度を調整しつつ水量を増やす


「これでも半分くらいだねぇ」


『ヒフミさん俺達裸になりますけど、見てますか?』


そろそろ入っても、問題はなさそうだ。ただ裸になるので、ヒフミに確認を取った


「え、何を言ってるんだい?」


『お風呂なので、裸で入るんですよ。出来れば離れててもらえると、助かりますけど…』


そう言いながら少し服を脱ぐ、ヒフミしだいでは対応は変えようと思う


「ちょっ、ちょっと待ちな!」


ヒフミは顔を赤くしながら、家の中に入って行った。俺はそのまま服を脱いで、用意しておいた器に服を入れた


『ん〜ちょっと熱いけど、大丈夫そうだな』


手を入れてお湯を混ぜた。底の水と湯を混ぜて、温度を調整する。そして小さい桶に入れた風呂のお湯を、頭から被った


『さて…九十九いっきま〜す!』


湯温には問題がないので、風呂の壁を乗り越えて中へ飛び込んだ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ