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赤い鳥

チキンバード レベル 9

HP  70/70

MP  15/15

力    15

体    30

速   100

運    40


パッシブスキル

気配察知 自分への敵意に反応する

罠察知 罠を察知し避けることが出来る 

アクティブスキル

首弾き 遠距離からの攻撃を弾き落とす




『やはり速さはそれなりだよな』


ステータスは逃げに特化していて戦闘力は低め、飛び道具なども通用しないようなので近距離で仕留めなければいけない


『気配察知があるが、向こうからこちらへは来なさそうだしな』


「そうなると先手必勝ってやつかな?」


『まぁ、一撃で倒す力なんてないけどな』


こちらの武器はナイフ一本とスキルのみ、そのスキルも速さに使わないと追いつけない


『一か八かやるか、最悪振り落とされて終わりだろうし』


「じゃあ私は、九十九の上にいるわね」


『あれ?そういえばさ、ナナが俺の上に飛んでて、もしも俺が何かに引っ張られたら、ナナってどうなるんだろ』


「試してみる?」


ナナは、俺と最大に離れられる距離まで移動した。そして俺だけが、反対側に動いてみる


「引っ張られるわね」


『なるほど、何があるかわからないから俺の傍にいてくれ』


ナナは俺の頭の上に乗った、振り落とされないようにとだけ注意しておく


『さてと、やってみるか』


(付与、融合)


速さをスキルで10倍にして駆け出す、まだナイフに触れてないのでチキンバードには気がつかれてはいない


「!?」


走る音で気がついたのか、チキンバードがこちらを見る。そして顔を反対に向けて、一気に走り出した


(お、いけそうだな)


俺とチキンバードの距離は200メートル近くあるが、徐々に詰まってきた。そしてこのまま行けば、村の近くまで行ける


「あれをどうやって捕まえるの?倒せるの?」


『とりあえず乗って、切るしかないか』


スキルの残り時間もあと半分ほど、距離はどんどん詰まっている。そして残り10秒といったところで、チキンバードに追いついた


『はぁっ!』


斜め後ろ側から飛んで背中に掴まった、そのまま背中に乗るようにして首に掴まる


(細い割に堅いな)


首は柔らかいと思っていたが、筋肉の塊と言えばいいのだろうか、俺の腕では締めることも折ることも出来なさそうだ。それはまるで大木に手を回した時のようだ、いやそんな経験はないんだけど…


『それなら』


腰のナイフに手をかけて取り出す、そしてそのまま首に刺した


「グァァァ!」


チキンバードが走りながら暴れ始めた。首をぶんぶんと振り、俺を落とそうとしてくる


『くっ、やばっ』


「九十九〜、落ちる〜」


『ナナはステータスの中に入っててくれ』


振り落とされないようにするのが精一杯で、ナナを助ける余裕が無い。ナイフを掴んだまま両手を首に回して抱きしめるが、身体が途中途中浮いてお尻がチキンバードの背中に叩きつけられた


『痛え!このじゃじゃ馬め!鳥だけど!』


首にナイフをもう一度刺して、少し手前に引いて傷を開く。首が堅くてナイフが奥まで入らないので、傷口は深くはならないが血は出続けていた


「グァッ!グァグァッ!!」


俺の攻撃のダメージは多少なりに効いてはいるようだが、更に加速して振り落とそうとしてくる。この魔物も命懸けなのだろう


『くそ、こいつ!』


先程首に刺して、振り落とされないように引っ掛けていたナイフを抜き、今度は首の出ている身体に刺した


「グギャァァァ!」


身体は首よりは柔らかく深めにナイフが入ったが、チキンバードが更に雄叫びを上げて暴れ始めた


『そろそろ終わってくれ!』


傷口から血を流して暴れる魔物は、まだまだ勢いが収まらない。俺もとっくにスキルが切れていて、空腹もあり限界が近かった


『もう駄目か…おろっ』


何か急に、宙を舞う感じがした。チキンバードに振り落とされたか吹き飛ばされたのかと思ったが、俺の腕はまだチキンバードの首を掴んでいる


『えっ?えっ?あばっ!!』


バギッっという変な音が聞こえたと思ったら、俺の周りが急に暗くなった。周りを見ると黒く、上だけ星が見えている


『な、なんだ!?穴…か?うわっ!』


横を見ると、くの字に折れて垂れたチキンバードの首と顔があった。その目を見る限り、この魔物は絶命しているように見える


「お、おい!大丈夫か?」


「魔物がいるぞ〜」


「九十九!九十九だよな!」


『あ、シゴロさん』


聞いたことがある声が聞こえたと思ったら、昼間にわかれた村の男達やシゴロだった。つまりチキンバードと共に、村まで辿り着けたのだろう


「今助けるからな!」


『お、お願いします…』


「あ、九十九!九十九!」


俺は助かったことに安心して、そのまま目を閉じた。身体も全身が痛く、動ける気がしなかった








『ん…あっ!痛て…』


目が覚めると、木で出来た天井が見える。明るいので、屋内にいるのは理解した


「お、九十九起きたか」


『あ、シゴロさん、痛てててて…』


身体中が筋肉痛のように痛い、よっぽど全身を使ったのを気絶する前の記憶から思い出した


「お前生きてたんだな、良かったぜ」


『シゴロさん達こそ、無事に村に帰れたんですね』


シゴロだけではなく、他の男達も俺を見ている。俺は今、酒場の床に寝かされているそうだ。背中の感触が少し柔らかいので、わざわざ何かを敷いてくれているみたいだ


「魔物の雄叫びが聞こえて行ったら、柵の外の穴にお前と魔物が落ちててよ、びっくりしたぞ」


『あ〜、そういうことか』


俺とチキンバードが走りながら戦っていて、いつの間にか何かに引っ掛かり、飛んでそのまま穴に落ちた。その時に魔物の首が、穴の縁に当たって首が折れた


(こんな感じかな、引っ掛かったのは置いといた木だろうか)


いきなり宙に飛んでいたのでわからないが、堀の周辺で引っ掛かるものは運んできた木ぐらいしか思いつかない。つまりは運が良かったのだろう


『あれ、そういえば魔物は?』


穴に落ちた時に横にあった、チキンバードの顔を思い出した。舌を出し白目を向いていて、首は変なところから折れていた


「ああ、マスターと娘さんが外で解体をしている。何か街へ向かう商人が来ていて、その護衛も解体を手伝ってくれているらしい」


ダチョウより大きいサイズの魔物だ、その解体も大変だろう


『商人か、何か買えないかな』


解体には暫くかかるらしいので、それまで寝ていることにした。動こうと思っても、身体中が痛くて動けない






「ふぅ、終わったぜ」


「チキンバードなんて、初めて解体したね」


マスターと娘が酒場の中に入ってくる、二人はあれから1時間ほど解体を続けていた


「お、九十九、起きてたか」


「九十九君か〜、いい経験させてもらっちゃったね」


「経験、初めての経験だと…」


『いやマスター、そういうのはいいんで』


わかってるくせに娘のこととなると、マスターはすぐこうなる


「ゴホンッ、まぁ無事帰ってきてくれて良かった。ところであの魔物なんだが、どうする?」


『どうする?』


「ああ、お〜い」


「お、宜しいですかね?」


酒場の入り口から、優しそうな顔をした男が入ってくる。身長は低めで年齢は40前後といったところだろうか、腹が出ていて服装は良さげな生地で出来た服を着ている


「私は商人です。街へ向かうのに立ち寄ったところ大騒ぎをしていて、少し待たせていただきました」


マスターが言っていた商人とはこの人のことだろうか、街へ向かうということは荷物は積んでいるはず


「少しお話のお時間をいただいても、宜しいですか?」


『ええ、大丈夫です』


そして俺と商人の、話は始まった


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