新たな生活の始まり
『これで二匹目だな』
昨日と同じくステップラビットを狩ろうと、朝起きてから平原へと出て無事二匹目を狩ることが出来た。昨日はベッドに入りすぐに眠りについたので、朝は早めに起きれたと思う
「今日はスムーズだったわね」
今日も俺の頭上に飛び、ステップラビットを探してくれたナナが声をかけてくる。ナナがいなければ、こうも上手くは狩れはしないだろう
『よし、行くか』
ステップラビットのロープを足に結び直し、頭が下になるように担ぐ。体感ではそろそろお昼くらいだろうか、お腹が鳴ったので村に戻ったら昼食を食べるつもりだ
「飯なら出来てるぞ、中に入りな」
二匹目のステップラビットを預け、表側に回って酒場に入った
「お、兄ちゃん昨日はありがとうな」
「マスターこいつだよ、堀ってのを教えてくれたのは」
『あ〜、昨日はどうも…』
酒場の中が騒がしいと思ったら、昨日堀の件で話をした村の男達が食事をしていた
「昨日から掘り始めてるんだが、ちょっと見に来てくれないか?」
『あ〜、いいですよ、どれくらい進みましたか?』
「まだ全然だよ、掘る道具が足りねえんだよな」
「掘った土を運ぶのも大変だ、何か良い方法はねえかな」
スコップみたいなのはあるらしいが、木で出来ていて耐久性や掘れる量が少ないらしい。そして一輪車みたいな手押しで運べる物がないので、木で出来たバケツに入れて毎回運んでいるそうだ
『とりあえず食べたら、見に行きますよ』
「おう、頼むな、お前ら続きをやりに行くぞ」
食事をしていたグループで1番歳を取ってそうな男の人が、他の皆を連れて酒場から出て行った。この後も掘る作業を続けるみたいだ
「あんたが関わっていたのか」
『いや、昨日聞かれたので、ちょっと言ってみたくらいだったんですけど…』
「毎回魔物に壊されていたからな、それが楽になるかもしれないと、みんな喜んでいたよ」
『そこは完成してからですかね、この後見に行ってみます』
今日のノルマが終わっていたので、見に行くのは問題ないと思う。筋トレのつもりで、手伝うのもありだろう
『御馳走でした、行ってきます』
「おう、村のために頼むぞ」
酒場を出てまずは、掘っている場所を探しに行った。村はそんなに広くはないので、少し歩いたら人が集まっているのを見つけた
「お、兄ちゃん来てくれたか」
近くへ行き穴を見ると人が中に入っていたので、縦は2メートルほど掘れていたみたいだ。そこから外側と横に少し掘られていて、昨日描いた目印に向けて掘られている
『あ、金属付きのスコップなのか』
木で出来たスコップの先端に、鉄のような金属がついた物だが、スコップとしては機能していた。他にも金属が付いてはいない形に癖があるスコップもあるので、こちらは自分達で作ったのかもしれない
「こっちのは前に村に来た商人から買ったんだ、だけど2本しかないから時間がかかってよ」
スコップで掘った土は井戸と同じ方法で、ロープが付いたバケツのような器で、持ち上げて外に出されている
『土といっても色々入ってますね』
掘った土を見ると大小の石が混じっていたり、粘土のような土もある
「何か良い利用方法はないかね?」
『そうですね、少し考えてみます』
こういう作業は、1日や2日で終わるものではない。耐久性も考えて、堀の内壁には木の板を敷き詰めて崩れにくくするつもりだ。山が近いので木を切って加工などをしているらしく、村の中にある木で出来た台や井戸の囲いなども、村の職人が作っているらしい
「今のところは、土は掘って外側に積んで山にして、壁にしておきますか」
故意に崩されてはまた堀の中が埋まってしまうので、少し距離を取り山にしておく
「これは使えそうかな?」
「一応持って行ってみるか」
『粘土ですか?』
「ああ、たまに山の方でも採れるんだがな、これを焼いて器を作ったり出来るんだ」
村の中には木の加工だけではなく、粘土で器を焼く人もいるそうだ。それなら村の収入になりそうなものだが、商人が来ても需要がないと売れなかったり、安く買い叩かれるらしい
『何か村の目玉や、名物みたいなのがあるといいかもしれませんね』
「そうなんだよなぁ、だいたいここに来た旅人は、みんな街へ行っちまうからよ」
村の人も、収入がないことには悩んでいるみたいだ。普段は村の外での採取による物々交換や、こういう作業をすることによって、マスターの店での食事の保証があるらしい
(そういえば、アレって作れないかな)
この村に来てから見てないもの、いやこの世界に来てからも見てはいない物がある
『木の加工をしている職人さんと、粘土の加工をしている職人さんの家を教えてもらえますか?』
「おういいぞ、他のに案内させるわ」
村人に案内してもらい、職人達を訪ねることにした。上手くいけば、村だけではなく自分にも得があるかもしれないと、頭に浮かんだことを伝えようと思う




