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初日の依頼の終わり

「お、二匹目か、また裏に頼む」


入り口でマスターにステップラビットを見せて裏手に回る、するとすぐにマスターの娘が出てきた


「おかえりなさい、預かりますね〜」


俺から魔物を受け取ると、一匹目と同じように解体を始めた。その近くには一匹目を剥いだ時のと思われる毛皮と、骨みたいな物が干してあった


『この皮って塩とかかけてあるんですか?』


「塩?塩って何?」


(ああ、まずはそこなのか)


調味料的な物はあまり見たことがなく、最近ではマスターが出してくれた砕いた実くらいだった


『ええと…料理にも使えるし、こういう皮にもかけると防臭や水分を吸ってくれるみたいな話だったような…』


詳しい知識はないのだが、牛の革などは塩を使ってなめすという工程があると聞いたことがある


「う〜ん…わからないけど、私はお父さんから預かった砂をかけてるかな?」


二匹目の皮を剥いだ後にマスターに渡し、近くに置いてあった水の入った器で手を洗っていた。その後酒場の中に入り、蓋付きの器を持ってきた


「これなんだけど…」


蓋を開けると、中には黄色い砂の様な細かい粒が入っていた。試しに舐めて見ると、塩ほどではないがしょっぱいと表現出来る物だ


『これってどこで手に入りますか?』


「お父さんは山の方って言ってたけど、危ないから行かせてもらえないんだよね」


(山か、温泉とか湧いてるのかな?そこから塩みたいな物が採れるのかも)


娘の安全を考えて場所を教えてはいないのだろう、俺は食用にならないか少し興味が出た


「水を汲みに行かないと、また一緒に行く?」


『ああ、行きましょう』


一匹目の時と同じく村の井戸へ行く、そこで手とナイフを洗い、先程の器の水を捨てて入れ直していた。俺も手を洗ってから水を飲み、渇いた喉が潤った


「さて、戻りますか、今日はお父さん特製のシチューだよ」


『あ〜、お腹空いてきましたね…』


酒場に戻り、今度は正面の入り口から中に入った。昨日と同じくカウンターに座り、料理が出てくるのを待った


「ほらよ、今日入ったばかりのステップラビットのシチューだ」


『これって…』


「そう、あんたの狩ってきてくれたやつだ」


自分が狩った物が出てくるのは、新鮮に感じた。もしかしたらホーンラビットの時も、俺が狩った物が出てたのかもしれないけれど


『そういえば…』


「ん?」


『勇者米は使わないのですか?』


「勇者米?何でだ?」


『勇者米にこのシチューをかけて食べるんですよ、俺の住んでいたところではやってる人はいました』


俺の世界と言ってもわからないだろう、この話をしたらカレーが食べたくなった


「勇者米か、商人はみんな街に売りに行くから、ここには置いてかないんだよな」


『どうしてですか?』


ナンのようなパンだけではなく米もあれば、バリエーションは増えると思う


「村の者は金がない。俺も利益は無しで村の者に飯を提供しているし、たまに冒険者から飯代をもらっても、そのお金は店の維持費や家族の生活費だ」


『なるほど』


「そしてそもそも勇者米が高い、商人から買って出してたら利益はないに等しいな」


『あ〜』


商人も商売だ、輸送費などのコストもかかるのだろう。そもそも勇者米がどこから来ているのか、わからないが…


『なかなかの贅沢品なのですね』


「そうだな、たまに祝いの時に食べるくらいか」


村で結婚式などをする時は、余裕がある場合は勇者米を出す家族もいるそうだ


「そういえば、飯の後に身体は拭くよな?」


『あ〜はい、そうですね』


身体を見ると、ところどころ汚れていて汗もかいている。食事の前に着替えておけば良かったと、今更ながら反省した


「温かい方がいいよな?」


『あ、そうですね、その方が助かります』


気になったことが1つある、マスターはどうやって火を使ってるかだ


『すいません、料理とか水を温めるのは火を使うのですよね?』


「ああそうだな、ほら」


マスターは握った手を俺の前に出し、人差し指だけを開いて上に向けた


「炎よ、我が手に顕現せよ、ファイア!」


マスターの声に反応し、指先にぽっと小さな火が出てくる。それは、ライターの火が少し強くなった程度の火力だった


『お〜』


「旅の途中に婆さんから教わってな、俺は元々の魔法力が少ないらしい。だが旅をする時は役立ったから、教わって良かった」


旅の途中に夜に火をつけたり、今は料理などにとないよりは全然いいと言っている。ステータスを見ると、たしかにMPは10しかないので、大きい火は作れないみたいだ。そして俺に見せて9になったMPは、少ししたら10に戻っていた


「ちなみに詠唱はオリジナルだ、ファイアって最後に言えば問題ない」


『あ、そうなのですね、でも…魔法が使えるっていいですね』


俺のMPは0で、全く使える気がしない。試しにマスターの真似をしてファイアと言っても、何も起きなかった


「俺も暫くは婆さんに教わったからな、コツみたいなのが必要なのかもな」


(いや、そもそもMPが0なんです…)


マスターに本当のことは言えないので、上手く誤魔化した。素質にもよるが、冒険者はレベルが上がるため魔法を覚えられる人もいるらしい。ただし魔法を得意とする人から教わらないといけないらしく、誰もが自由には使えるわけではないとのことだ


『ありがとうございました、また話を聞かせて下さい』


「ああ、この後に湯を入れた器と拭くための布を持って行くよ」


『ありがとうございます』


部屋に戻り少し待つと、マスターが届けてくれた。身体をよく拭いて着替え、布団が汚れない格好になってからベッドに横になった


(明日はどうするかな)


まずはステップラビットの確保、その後は堀の様子を見に行くのもありだ。部屋に設置してあるランプを消し月明かりの入る部屋で、天井を見ながら眠りについた


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