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再戦

『さて、試してみるか』


先程ロープを取ってきたのは、ステップラビットを捕まえてから倒そうと思ったからだ。だが俺にはサバイバルの知識があるわけでもないので、罠を作ることは出来ない


「それでどうするの?」


頭の上にいたナナが聞いてくる。俺は2メートルほどあるロープの片側を持ち、片方の足首に結びつけた。


「自分にロープを結んでどうするの?」


『これは俺の足を柱にして、ステップラビットを逃げられないようにするんだ』


足に結んだロープの反対側を結び輪を作る。その輪は獲物にかけてから引っ張ると、勝手に締まるようにした。これでステップラビットの身体でも足でもいいから引っ掛けて、逃げられないようにしてから倒す、それが俺の作戦だ


「上手く行くかな〜、足より…」


『よ〜し早速やってみようナナ、一匹だけで周りに他のステップラビットがいないのを探してくれ』


「まぁ…いいけど」


ナナが俺の頭上へと飛び上がる。ただその顔は、何か納得のいかないような顔をしていた


「すぐそこに一匹だけいるよ〜、他のステップラビットは近くにいないね」


『よし、そいつで試してみよう』


ナナが見つけたステップラビットの近くまで行く、するとそいつは呑気に草を食べていた


『よしよし、動くなよ〜』


近くまで行きステップラビットの横に座る。俺が近づいた時はこちらを見て警戒していたが、腹が減っているのかそのまま食べ続けている


(ここで先に武器を出すと、逃げられるから…)


手首に引っ掛けておいたロープを持ち、ステップラビットの後ろ側から軽く投げる。するとステップラビットは縄に反応したのか、首を上げてこちらを見ようとして縄が頭から通過した


「!!」


縄がステップラビットの首辺りに来た時に、ステップラビットが走り出した。俺はそれに合わせてロープを引くと、上手く腹と背中を巻くように引っ掛かった


『よし!成こっうわっ!』


成功したと喜んだのも束の間、いきなり背中を地面に打った。そのままステップラビットに引きずられるので、計算を間違えたようだ


「そうだった、こいつは俺の世界の兎ではないんだよな」


さすがに魔物なだけはある、ステータスの差で足が持っていかれたのだ


『くそっ、付与、融合』


スキルを発動し力を選択する。するとステップラビットに引かれることは無くなり、逆にロープを引っ張ると俺の顔に飛び込んで来た


『うっ、強く引き過ぎた』


暴れるステップラビットの背中を掴み、地面に抑える。そのままナイフを取り出して首を刺すと、徐々にステップラビットは動かなくなった


『ハァハァ、なんとかなった』


「馬鹿ね〜、足じゃなくて腰とかに結べば良かったじゃない」


その場に座り込む俺の上から、ナナの声が聞こえてくる


『あ、たしかに…だけど腰だと、ステータス差によっては、それはそれで痛めそうだけど』


「足よりはマシでしょ、踏ん張ってすぐにスキルを発動すればいいんじゃない?」


『ふむ、次は試してみるか』


次はナナの言う通り、腰にロープを結んでみようと思う


『とりあえず一匹目を、マスターに預けに行くか』


足のロープを解き、そのままステップラビットを担ぐように肩にロープをかけた


『腕が痛い…』


咄嗟だったので、強く引っ張り過ぎた。スキルが切れた途端、片腕が筋肉痛みたいになる


『腕立てとかするかな、筋肉をつけねば…』


反動が軽い方の手でロープを持ち、村へと向かって歩く。まずは最初の一匹を、マスターに届けに行くことにした








『マスター、狩って来ました』


「お、ご苦労さん、あっちに頼む」


マスターに声をかけると、裏手に回るように言われた。酒場の裏に行くと、木で出来た台がありそこに置くように指示をされる


「血は少しは抜けているようだな」


『あ〜、はい』


首を刺した後に吊るすように担いでいたので、勝手に血が抜けていたらしい。そのためステップラビットの顔は、血で赤くなっていた


(たまたまだけど、まぁいいか…)


ここは別に正直に言わなくても良いだろうと、マスターには黙っておくことにする。その分次回からは、同じように持って帰ろうと思う


「お父さん、注文入ったよ」


「ああ今行く、その代わりにこいつは頼む」


「は〜い」


朝部屋を出た時に会った女の子が、マスターを呼びに来た。お父さんということは、マスターの娘だということだろう


「君が捕まえてきたの?凄いね!」


「俺の娘には手を出すなよ」


『えっ?』


「もう、お父さんったら!そうやって男の人みんなにそう言うんだから!」


マスターはそう言って酒場の中へ入って行った。マスターの娘は慣れてるのか、台の上でステップラビットの頭を落とした


『す、凄いですね…』


「そう?お父さんに教えてもらったんだ〜」


頭を落とした後に皮を剥いでいく、それが終わるとマスターに声をかけて渡していた


「井戸に行くけど一緒に行く?」


『あ、喉が渇いてるので助かります』


マスターの娘が手とナイフを洗うからと、俺に声をかけてくれた。すぐ近くに村の井戸があり、そこでロープの付いた木のバケツを落とし井戸の水を汲んだ


「これはちゃんと飲めるから大丈夫だよ、うちの店でも出してるし」


『冷たくて美味しいですね、助かりました』


何度か水を汲んで、手やナイフを洗うのを手伝った。その後に水を飲むと、疲れた身体が癒される気がした


「そろそろ戻らないと、お父さんに怒られちゃう」


『あ、俺ももう一匹狩ってこないと…』


酒場の裏に戻り、マスターの娘とわかれた。年齢は俺よりは若いだろうか、中学生か高校生くらいの体格に見えた


『さて、もう一匹か』


「次は腰に結んでよ〜」


『ああ、試してみるよ』


村を出た後、もう一匹を狩ろうと平原に戻った。腰に結ぶのは足よりはマシだったのだが、近づくと逃げられたりロープが上手く掛からず、一匹目がたまたま運が良かったのだと思い知った


『ハァハァ…なんとか二匹目』


「う〜ん、随分時間がかかったわね」


空を見るともう橙色に染まっていて、一部は黒くなり始めていた


『なんとか間に合ったかな』


腰のロープを解いてステップラビットを担いだ、これで今日の夜は安心して眠れそうだった


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