自由の始まり
『お〜』
「どう?」
ナナに案内されて先程の場所から300メートルほど歩くと、川のようなものがあった。それは幅が2メートルほどあり、深さは底がすぐ見えるので1メートルも無さそうだった
『たしか街の北に山があると言ってたな、そこから流れて来ているのかも』
川の水を見ると澄んでおり、小魚の姿も見える。俺は試しに、空いている筒に水を汲んで飲んでみた
『ふぅ、思ったよりいけるな』
筒に入っていたものより綺麗な感じがした、常温に比べると冷たくて寝起きの喉にも刺激がある
『う〜ん、これは…』
夜は寝ると汗をかくくらいの気温で、今は夜に比べたら徐々に暖かくなってきている。天気も良いので、洗濯物を干せば昼間のうちに乾くだろう
(そういえばさっきのところに…)
荷物をその場に置いて、先程の場所まで戻る。足元に転がっている枝などを拾い、また川の方へ戻った
『これとこれをクロスして…』
持ってきた枝の中でも長めのを4本選び、そのうち2本を斜めに地面に刺して交わるように合わせる。そして2メートルほど距離を空けて、同じように枝を組んで台を作った
『さて、始めるか』
荷物の袋から汚れた服を取り出して川で洗う、水洗いでもしないよりはマシだろう
『ナナ』
「ん〜?」
ナナは暫く俺の真上に上がって、周囲を警戒してくれていた
『今周辺に誰かいるか、魔物とかも』
「ん〜いないかな、かなり遠くで魔物と戦っている人はいるけど」
「そうか、なら大丈夫かな」
綺麗な服を袋から取り出して横に置く、タオルはないので1番質の悪い服をタオル代わりに使おうと思う
「何をするの?」
ナナが俺の上から聞いてくる、俺は服を脱ぎながらナナに伝える
『水浴びだ!見張っててくれ!』
「はいはい、そういうことね」
そして俺は脱いだ服を持って、川に飛び込んだ
『冷たっ!そして低っ!』
忘れていたが、俺が飛び込んだ川は水位が低く足がすぐに着いた。そして当たり前だが、水は冷たくて気持ちが良かった
『慣れてくると大丈夫だな』
身体を横に倒し仰向けに浮く、雲一つない青空がそこには広がっていた。身体も慣れてきたのか、プールのような間隔になる。ただし全裸なので、見られたら通報されるかもしれない
『早めに済ませるか』
頭を何度か水で洗い、汚れを落とす。脂のせいなのか、ベタベタした髪が綺麗になるまで時間がかかった
『そして身体も…』
先程タオルに選んだ服を使い全身を洗う。垢まみれの身体は、やはり汚れを落とし綺麗にすると気持ちがよくなった
(これはもう使えないな)
身体を洗いボロボロになった服を見て思う、こういう物資もどこかで手に入れないとと思った
『あ、拭くための服を忘れた…』
川から上がり、諦めて着る予定の服で全身を拭いて服を着る。当たり前だが上半身は、濡れた服が張り付いていた
(仕方ないか、さて…)
川の中で先程脱いだ服を洗っていたので、先程洗った服と重ねる。そして荷物のうち、かかしを作る時に使ったロープを取り出す
(袖から袖を通してと…)
ロープを袖から服の中に入れて袖から出す、それを先程の台に縛れば干すのは完成だ
(少しずらせばもう1セットいけそうだな、ロープは足りてるし)
洗った洗濯物を、無事に干すことが出来た。今日はそれが乾くまで、ここからは動けなさそうだ
『とりあえずお腹が空いたな、ナナ〜』
「な〜に?」
『ご飯にしよう、ほら白いパン』
「あ、食べる〜」
ナナと朝食を食べながら、今日はどうするか話合った。洗濯物が乾いたら平原を通り、街の反対方向へ行ってみることにした




