かかし
『ふう…これで2体目か』
「あとこれ3つも作るの〜?」
マスに買ってきてもらった素材を使って、俺は今詰所である物を作っていた。それは魔物を倒すためではあるが、自分の身を守るものでもあった
まず買ってきてもらった服を着る、そして柄の片方の先をナイフで削り、地面に刺さりやすいように尖らせる。これは城の兵士が持つ、良い素材で出来た槍の柄だと削るのは大変だったので、木の柄で良かったと思う
『よし、3本目』
柄を削ったらその反対側に、魔物の森の入り口で拾ってきた枝を十字にしてロープで括り付ける。なお魔物の森の入り口は、あのホーンラビットに感知されないのか襲われなかった。ナナに見てもらっていた限りは、近くにはいなかったようだ
『そしてこれで完成だな』
「なんでわざわざ服を来て作業をして、その服をそれにかけるの?」
『ああ、これはな』
作業の間だけ着ていた服を脱いで、十字の部分にかける
『俺の匂いが付いてた方が良いかもしれないんだ、あのホーンラビットは何を見て判断しているかわからないからな』
スキルが絡んでいるのは間違いないだろう、ただ視覚での確認や音や匂いも関係はしているはずだ
『これで3体目が完成だ』
「結局これは何なの?」
『そうだな…俺の世界ではかかしって言ってな、作物を害獣や害鳥から守るために設置するんだ』
「ふ〜ん」
『試しにちょっとこっちに来てくれ』
ナナに詰所の端の壁へ来てもらう
「それで?」
『ちょっと目を瞑ってくれ』
「うん」
ナナが目を瞑ったのを確認して、反対側のかかしを立てた壁へ戻る
『さて問題です、俺はどこでしょう。あ、目は瞑ったままな』
壁に立てかけた3体のかかしを持ち、間隔を置いて地面に立てる
(さぁ、どうかな)
「ねぇ?」
『…』
喋ると居場所をバラしてしまうので、呼ばれても黙っている
「ねえってば!」
『…』
「あのね、私あんたの居場所がわかるんだけど!」
『えっ』
「あんたと私は繋がっているんだから、感覚的にわかるのよ」
盲点だった、てかその説明をもっと早くしていて欲しかった
「でも、感じるわよ、弱いけどあんたの匂いとか」
『そ、そうか』
俺がやっていたことは、間違いではなかったらしい。ナナで試すことが出来たので、残りの2体を作る準備に入る
「なんかそのたびに服着てるのが、面白いわね」
『仕方ないだろ、作業してる間に汗もかくしな』
あまり良い物ではないのでペラペラだが、捨てるつもりで考えればこれでいいだろう
「それで、これをどうするの?」
『これを囮にしてあのホーンラビットを誘導する。そして最終的には魔物の森に覆わられている外壁に、角を突き刺すように仕向ける』
「太い木でも折れたりするけど、大丈夫なの?」
『これはあくまでも囮だからな、捨てるつもりでいる。まぁあのホーンラビットが触れたら、粉々になるだろうし』
外壁にうまく刺さった後は、いつも通りにと思っているがまだ不安なところもある
『一か八かだが、これで駄目ならきっと無理だと思うから』
「明日やるの?」
『ああ、起きてしっかり準備運動してからやるつもりだ』
スキルを使った反動も落ち着いてきた、明日は普通に動くことも出来そうだ
『明日は頼むぞ』
「わかったわ、任せなさい!」
残りの2体のかかしを作り始める。明日はあのホーンラビットとの決戦だ、俺はナナと共にかかしの配置や作戦を考えるのであった




