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特別な個体

「そうか、そんなのが今魔物の森にいるのか」


『すいません、ありがとうございます』


動けない俺をマスが詰所に運び、寝かせてくれた。マス達はやはり、異変を感じてはいないようだった


「俺が前に強力な個体がいるって、話をしたのを覚えているか?」


『ああ、言ってましたね』


俺がマスに転移に巻き込まれたことを話した時だっただろうか、その時にマスが言っていたはずだ


「元冒険者だったのもあって、今でも情報収集をするのが趣味みたいなものなんだがな。九十九達が来るより少し前かな、通常とは違う大きさや見た目の魔物が見られるって話をしているやつがいたんだ」


『あ〜、それです』


俺が見たのは色も大きさも違い、ステータスは確認出来なかったが、確実に通常のホーンラビットよりは強い魔物だった


「なるほど、それは問題かもしれないな」


『そうですよね、あの魔物を倒さないと素材や魔麦とかが、もう手に入らなそうなんですよ』


どれくらいのステータスなのかはわからないが、最低でもBランク以上を倒せる冒険者ではないと、厳しいのではないだろうか


「いや、問題はそこじゃない」


『えっ?』


「冒険者ギルドに連絡して討伐隊を組むのは可能だろうが、それは最終手段にしないといけない」


『最終手段ですか…』


「この話が広まれば南門に大勢の人が集まる、そうすると九十九、お前が危ないんだ」


『あ…』


俺はあくまでも国外追放をされたので、もうこの国にはいないことになっている。そして南門にある魔物の森からホーンラビットが、何度もギルドに納品されていた


「九十九がまだいることが、ばれる可能性がある。その時は城の兵士達やその上も、本気で九十九に危害を加えるかもしれない」


『そ、そうですよね…』


魔物の森を突破する気もあったが、それすらも厳しい状況になっている。魔物の森に入ると、またあの強力な魔物と戦わないといけない


(だけどずっとこのままでいるのは、厳しいんだよな…)


いつまでも南門の外で暮らすわけにはいかない。そして誰かが魔物の森に入ったら、あの魔物に襲われるのも間違いない


(一か八か倒すしかないのか)


勝算があるかと言われたら正直は厳しい、だがあの魔物を倒さないと俺の未来も無い


『少し、待っててもらえますか?』


「ああ、街に危害がないうちは黙っておくよ。だが魔物の森にたまに入る冒険者もいる、だから早めに決めてくれ」


『ありがとうございます!』


マスはそう言うと、詰所から出て勤めに戻った。マスには猶予をもらったので、この間にあの魔物の対策を考えないといけない


「どうするの〜?」


ナナが出てきたので、俺の考えを伝える


『まず木ではあの魔物は抑えられない、ただ何度も飛んでいると徐々に疲れたのか動きは遅くなってた』


1つ目の木は、ホーンラビットの角で粉々になって倒れた。だが2つ目以降は木を突き抜ける形になり、穴だらけの木が何本も立っていた


「もしかしたら最初の1発だけしか強くないスキル?」


『そうだとしても、2発目以降も通常のホーンラビットの比ではないから、木を突き抜けてたわけで』


「木より堅いものなんて立ってないわよね」


『外壁くらいの石とかが近くにあればなぁ』


(いや、外壁…外壁ならいけるかもしれないのか)


ホーンラビットはさすがに外壁は突き抜けられないと思う。だがそこまで誘導するにしても、速にスキルを使ったらその後のとどめが刺せない


『スキルがせめて2回使えたりするなら…』


「今は無理なのだから、諦めなさい」


ステータス画面を開くが、レベルが1つ上がってステータスが少し上昇したくらいで、スキルには変化はない


「私に実体があれば、協力出来るのになぁ」


『いやいや、ナナを危険な目に合わせたくないよ』


「え、九十九って私のこと好きなの!?」


『何故そうなる…』


唯一傍にいてくれるのはナナだけだ。そんな存在を、危ない目に合わせるわけにはいかない


(協力か、索敵以外だと囮とか注意を引いてくれるのなら…あっ)


『試してみたいことがある』


「ん、いい作戦が見つかった?」


『とりあえずマスに頼んでくるよ』


俺は詰所を出て、マスの元へと向かった


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