この国
「ありがとうな九十九、これで俺達もやっと前に進める気がするよ」
スージーが帰った後、マスに御礼を言われた
『そういえば、パン屋さんとかあるんですね』
「ああスージーの家は、昔からパンを作って納品をしているんだ」
食堂などは別にあり、街にいくつかあるパン屋の中でも、スージーの作るパンは一味違うと褒めている
『そういえばこの街、いや国なんですかね?』
「ああ、話したことなかったな」
南門の外で魔物の森の手前にある場所から街を見ると、高い外壁に守られ中は見えないようになっていた
「ここはリスウ王国のカゴウの街だ。北に城がありここが南、東西にも門がある」
「なるほど、ちなみに街の形は特殊なんですかね?」
南門から出ると、外壁が左右にVの字に伸びている。その先は魔物の森とぶつかっており、中に入らないと終わりはわからない
「こんな感じの形かな、珍しいだろ?」
『あ〜』
マスが近くにあった木の枝で、地面に外壁の図を描く、それは間違いなければ星の形をしていた
北の頂点の内側に城、その外壁の外は高い山があり他国からの侵入を防いでいた。左右の頂点に門があり、そちらは各自西門と東門がある
(ここに来る途中で、道が左右に分かれていたのがそうか)
俺が北の城から真っ直ぐ南門に連れてこられる途中に、左右に分かれている道を見た。それが東西の門へ続く道なのだろう
「西と東に門があるが東の門はほぼ機能していない、街へ入るのは基本的に西門からだ」
『機能してない?』
「ああ、東へ出ると平地がありその先に海がある」
『海か〜、そういえば魚は食べてないなぁ』
この世界に来てからは、肉とパンばかりな気がしている
「平地から北は高い山で南は魔物の森があり、そして海は魔物の巣なんだ」
『魔物の巣!?』
「ああ、海龍などがいて港町を作る計画があったが頓挫した。船を出してもすぐに沈められるんだ」
『なるほど』
「まぁそのおかげで東側も、他国から侵入されないんだがな」
沈められるのがわかっていて船を出す馬鹿はいない、つまりこの国に戦争を仕掛けるなら、西側からしか攻められないということだ
(そもそも他国と戦争をしているのか?)
今のところそんな話は聞いてないが、マスの話を聞く限りはあるのかもしれない
「そしてここ、南門だな」
『ここだけ特別ですね』
東西の門は星の頂点に門があるが、南だけは下の頂点の内側の窪んだ部分にある
「それは魔物の森のせいだ、昔はもっと小さくて街まで届いてなかったらしい」
今は南側は魔物の森のせいで塞がれているが、森が外壁を覆うまでは南門も、商人などが行き来していたみたいだ
『この魔物の森を抜けたら、何があるんでしょうか』
「噂では魔王のいる城があるとか聞いたな、1000年前のおとぎ話でしか伝わってないんだけどな」
『そう考えるとラスボスが近いですね』
「ラスボス?」
どんなクソゲーだろうか、最初の街を出たら隣は魔王の待つ城でした。だけど倒すには強くなるしかないので、遠回りをして旅に出て下さい
(こんな設定のゲームなんかやったことはないな)
普通では考えられないことだろう、ゲームによっては冒険の途中で、いつでもラスボスに挑めますってゲームもあった
(この世界はゲームの世界ではないんだけどな)
むしろこの世界の話があったせいで、勇者と魔王という言葉などが俺達の世界に伝わり、ゲームの設定が出来たのではないだろうかとも思った
「九十九はこの先どうするんだ?」
『えっ?』
「本来なら街の中にいれば、ちょっと良い家くらいは買える金を持ってるのに、勿体ないよな」
やはりそれくらいは稼いでいたみたいだ、物価などを聞いてそれなりに持っているとは思っていた
『魔物の森を抜けるのは危険だしなぁ』
「お前の実力なら行けそうだけどな」
魔物の森は徐々に広がっていると聞いた、そうなると南の外壁スレスレを通って行っても、無事出れるかはわからない
『もう少し考えます、ちゃんとした家に住みたいですけどね』
「そうだな、俺達も寂しくなるからもう少しはいてくれると嬉しいかな、でもいつかは」
『そうですね』
魔物の森を見ながら、どうやって西に抜けるかを考えていた




