マスの用事とお使い
「九十九悪い、今日の夜は用事があるんだ。勤めが終わったら、夜の食事は用意するからそれでいいか?」
『大丈夫です、いつもありがとうございます』
昼飯を食べている時に、マスに夜の話をされた。連日付き合ってもらっていたので、マスに申し訳ないと思いつつ快諾した
「明日は勤めは休みだからよ、昼間は付き合うぜ」
『ありがとうございます、聞きたいことがあるのでまたその時にでも』
本日の昼はいつものパンと、カエルの魔物肉のシチューだった。最初はその言葉を聞いて食べることを躊躇したが、意外に食べられて驚いた
(まぁマスや他の人が食べてるのだから、食べられないことはないだろうけどさ)
元の世界でも唐揚げにされて店で出ているところを、テレビか何かで見た。マスも俺に違うものを食べさせたいと考えてくれたのだろう、その笑顔に騙されたつもりで口に入れたが悪くはなかった
「じゃあまた夜にな」
『すいません、ご馳走様でした』
「ははは、九十九の金で食べさせてもらってるからよ、御礼を言うのは俺達だぜ」
マスが持ってきてくれている食事は、一般人よりは金を持っている冒険者向けのものらしかった。たしかに値段を聞くと、普通の稼ぎではなかなか手を出せるものではない
(まぁそれでも街の中に入れないと、買えないんだけどな)
俺は金貨を取り出し眺めた。先程狩ったホーンラビットの報酬を、マスが厚めのいい袋に入れて渡してくれたのだ
『あ、後で麦用の袋もお願いしないとな』
前回と同じく質が良かったとのことで、査定を素早くしてもらえたらしくすぐに金を渡されたそうだ
(夜か…マスも家族とかいるのかな)
詰所から出て空を見上げる、そこに浮かぶ雲を見ながら両親や祖父母のことを思い出した
「じゃあ今日は行くな、すまん九十九」
『あ、ちょっと待って下さい、これ』
俺は袋を開けて中から銀貨を10枚取り出した、それを見てマスは驚いている
「いやいや受け取れないぞ、もう十分もらってるんだから」
『これくらいの採取とかした物を入れられそうな袋をお願いします、破けない素材だと助かります。残りは好きにしてください』
俺はあくまでもお使いを頼むだけだと、マスに袋の大きさを手振りで見せてからお願いする。袋の値段など高くて銀貨1枚と聞いていたので、後は好きにしてもらうつもりだ
「…わかった、すまねえな」
マスは納得したかのように、俺の手から銀貨を受け取った
「美味しいものでも食べようかな」
『そうして下さい、また明日お願いします』
「ああ、ありがとうな」
マスは誰かと会うのだろう、雰囲気で察したので銀貨を使ってもらえればと思い渡したが、正解だったようだ
『さてと、今日は寝るかな』
「え〜、昼の続き聞かせてよ〜」
昼食を戴いた後は、ナナに聞かれて元の世界の話をした。夜も聞かせろと言うので寝るまでと約束して、意識が無くなるまでナナに俺がいた世界の話をした




