魔物の価値
「とりあえず今日はお開きにしたいんだが…」
『はい』
そう言ったマスはこちらを見て、少し悩んでいた
「ちょっと気になったんだけど、どうやったらあんな綺麗にホーンラビットの角が残せるんだ?」
『え?』
俺は当たり前のように思っていたが、本来ならホーンラビットの角は傷付いてぼろぼろになり、ギルドの解体に来るのは粗悪品ばかりらしい
「スピードがあって正面から立ち向かっても、あの角に弾かれるんだよ。そうやっているうちに角が徐々に削れたり、酷い時は途中で折れるらしい。だから倒す頃には角はまともな状態ではないんだ」
生きていれば、時間が経てば傷が治るように角も綺麗になるらしい。だが普通なら剣などで斬りかかるとその角で弾いたり防ぐので、倒す頃には粗悪品にしかならないみたいだ
「角が本体とか言われているからな、角さえ折れば身体の方は防御力はないらしいし」
『たしかに…』
俺が倒せるのはその防御力の無さだった。動きさえ止めてしまえば、後はスキルのおかげだがなんとかなっている
「だから凄いなって思ってな、ギルドでも職員や他の冒険者に聞かれたよ。恥ずかしがり屋だから頼まれて来てる、だから俺もわからないと言っておいたけどな」
マスは笑っているが、俺のしていることは特別なのは理解した
『え〜っと…』
「…」
俺が話そうとすると、マスは真面目な顔になる。お世話になっているし、マスになら正直に話そうと思った
『実は俺のスキ…』
「いややっぱいい、すまん!興味本位で聞いてすまない」
『いえ、別にあなたになら』
「いや、大方スキルのおかげなのはわかってる。だがな、さっきの金貨もそうだがスキルのことも、そう簡単には他人には話すな」
マスを見ると真剣な目で俺を見ていた、過去に裏切られたことも関係しているのかもしれない
「他の勇者と一緒に来たんだ、九十九だって特別なんだよな」
『いや、そんなことは…』
自分のステータスを思い出す、マスに見せたら今までとは態度が変わるかもしれない
「俺達にとっては九十九も勇者だよ、親父の仇と美味しいご飯をありがとうな」
『あ、うぅ…』
深くは聞かないマスに感謝をした、元の世界でもされたことない優しさに涙が出てくる
「泣くなよ、男だろ?またホーンラビットを楽しみにしてるよ。ただ、無理はしないでくれな」
『わかりました、ありがとうございます…』
「明日は来る前に朝ご飯を買ってくるからよ、詰所でそれまで寝てるといいぞ」
『わかりました』
「じゃあ時間取らせてすまなかったな、また明日な」
『いえこちらこそ、ありがとうございました』
マスは立ち上がり詰所から出て行った、俺は外に置いてある荷物を持ってくると、寝袋に入り藁の上に転がった
(追放された時は辛かったけど、マスに出会えて良かった)
マス達も喜んでくれるならと、明日もホーンラビットを倒そうと思った




