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異世界へようこそ

「おお、勇者達が現れたぞ」


「うっ」


(なんだ…?人の声がする)


眩しさが落ち着きゆっくりと目を開く、目の前には先程のファストフード店で見た3人の男女が見える


「なんだここは」


「どこなの?」


「私達、どうして…」


3人は狼狽えている、俺も本来は同じ立場なのだがこの状況にはなんとなく覚えがあった


(まさかな、そんなことはさすがにないだろう)


光に吸い込まれる時になんとなく感じた異世界という言葉、それが本当ならと少し気持ちが高揚した


「静粛に!王の御前ぞ」


状況がわからず狼狽える俺達に叫びが聞こえた、そちらを見ると俺達より少し高いところに大きな椅子があり、たぶん玉座と思われる物に座る男がいた


その男は遠目でも周りの者とは違うとわかる厚めの豪華な衣装を着ていて、白髪の頭には王冠が乗っていた。そしてその隣に立つ、鎧を着た身体の大きい男が俺達へ声をかけた


「異世界より現れし勇者よ、王からのお言葉を聞け」


「っ…!?」


「お、王?」


「どういうこと?」


(やはりか)


玉座に座っていた王が、俺達へ視線を向けて口を開く


「異世界からの勇者よ、お願いがある、貴方方には魔王を倒してもらいたい」


「ま、魔王!?」


「なにそれ」


「そんなことより私達を、元の世界に帰して下さい!」


(…)


当たり前のことだが聞いたことのない単語を知らない人から言われているのだ、皆聞く耳を持てないのは当たり前だ


(だがもしこれが異世界ならチャンスだな、あちらの世界にはもう飽き飽きしてたんだ、こちらでもしやり直せるなら俺は楽しい人生を歩みたい)


そう思うには理由がある、自分が普段から読んでいる小説には、魔法やチートなどの異世界から飛ばされた者への恩恵があるからだ


まだわかってはいないが自分にも何かの力があるはず、しかも勇者の発言もあってかなりの優遇されたスキルを得ているかもしれない


「静まれっ!まだ王のお言葉は終わってはおらんぞ」


「くっ」


再度叫ばれ、前の3人は黙った


「混乱するのは勿論だと思うが話を聞いて欲しい、我が城に伝わる文書には千年前に勇者が現れ魔王を倒したと書いてある、そして最近また魔王が復活をしたので勇者の来訪を待っておったのじゃ」


「待ってたって、あんた達が俺達をここに呼んだんじゃないのか」


「いや、勇者は女神が連れて来ると聞いた、儂らはそれを待っていただけだ」


「それじゃあ私達は帰れるのですか?」


「それに関してはこちらに書いてありますじゃ」


そう話す男が王様の横にいた男の反対側から出てくる、色は暗めだが生地の厚そうなローブを羽織り、手に持った文書を開いて見せてくる


「こちらの文書には勇者が魔王を討伐後暫くして消えたと書いてある、なので魔王を討伐すれば戻れるはずじゃ」


ローブの男が王様の横に立つ、先程の鎧を着た男と同じく王様の側近なのかもしれない


「女神が呼んだってことは女神が帰してくれるのかもな」


「じゃあなんで今は帰れないの?」


「呼ぶために力を使ったとか、魔王を倒さないと帰れないみたいなのもあるかも」


先程の話を聞いて3人が話し合いを始める、面識のない俺は少し離れたところから見てるしかなかった


「それで、俺達は何をすればいい?」


3人の中で唯一の男が王様に向かって話をする、女の子2人の前に立ちまずは俺に言えとの姿勢に感じる


「全員ステータスと唱えてもらえるかね」


「すてー、たす?」


ローブの男に言われ疑問のように声を出すと、ゆっくりと男の前に何かの画面みたいなものが浮かんできた


「な、なんだこれ!?」


「え、ステータスってもしかして」


「ステータスって何?」


他の女の子達も唱えると画面が出てくる、女の子のうちの1人はこの状況を理解しはじめたのかもしれない


(さすがに最近は流行ってるし、異世界ものは多少読んでいる人もいるよな)


ステータスの意味がわかっていそうな女の子を見ながらそう思う、勿体ぶってるわけではないが念の為俺はまだステータスは唱えなかった


「何だこれは!」


「あ、やっぱり」


「何これ、凄いね」


「おお、やはり勇者様じゃ」


ローブの男が近づいて3人のうち男のステータスを見る


「英雄のスキルを持っておる、これは千年前の勇者が持っていたスキルだと文書にもある」


「おおお!やはり勇者様だ」


「勇者様万歳!」


俺達を左右から少し離れて囲んでいた、兵士らしき鎧を着た男達もそれを見て喜んでいる


「私のは治療だって」


女の子のうち黒髪の子が自分のスキルを見て口に出す、それを聞いたローブの男は驚く


「おお間違いなく聖女のスキルじゃ、成長して進化をすれば無くなった手足さえも再生させるスキルになると言われておる」


「やはり聖女様までも、これで魔王討伐は夢ではないぞ」


勇者に聖女までいると、徐々に周りが盛り上がり始める


「私の魔術は?」


赤みのかかった髪の子も見てもらおうとしている


「ほぉこれも将来性が高いスキルじゃ、成長の仕方によってはいくらでも進化の可能性はある。勇者様は超早熟なので最初から英雄を持っておるのじゃな」


それを聞いて皆のステータスを見てみる、名前の横にレベルと成長速度なのか3人のうち男には超早熟、黒髪の子は大器晩成、そして赤みのかかった髪の子は普通となっていた


「勇者様は最初から強くなりそうじゃの、ただレベルが上がるに連れてステータスの伸びが弱くなるので、努力が必要じゃな」


「私はどうですか?」


「大器晩成型は最初は苦労するでしょうが後々が楽しみじゃ、治療のスキルも成長に合わせて進化して行くでしょう」


「私は私は?」


楽しくなってきたのか赤みのかかった髪の子が、早く教えてと急かすように言う


「そなたは普通となっておるがバランスがいいということじゃ、努力しだいでは化けるであろうな」


「なるほど」


説明を受けた3人が自分のステータスを見直している、そろそろ自分の番だろうとステータスを口にする準備をする


(勇者パーティーってことか、そうなると俺が盾職になりそうだから防御系のスキルになる感じかな)


3人のバランスを見ると前衛が足りない、勇者はアタッカーの方なので3人を守るディフェンダーが必要なはずだ


(まぁ防御系でも攻撃出来たり反射とかもあるし、ダメージを完全に防ぐとかもあるからやりようはいくらでもあるよな)


過去に自分が読んだ小説の内容を思い出しながら考えた、3人の盾になるのも歳上だから仕方ないなと納得した


「それでは次は…」


ローブを着た男が近づいてくる、俺は自信を持って唱えた


『ステータス!』


その言葉に反応して、俺のステータス画面が目の前に現れた


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