この世界の情報
『まずは…そういえば地図ってありますか?』
「地図、いやないな…一部の貴族や王族なら、持っているらしいが」
地図は一般的にはないらしい、そもそも冒険者ではない限り自分の住む街から出ることは、そうそうないみたいだ
「地図を描くにしても労力や、描くための資材がなかなかないんだ」
『なるほど』
紙を作る技術が無いということだろうか、布に描くにしても描けるような素材はなかなかないらしい
「だいたいは隣の街や村に着くと、北には何があるとかそこの住人から情報を得るからな。一応馬車も出てるけれど、それなりに金はかかるから乗れないんだよな」
『なるほど、魔物のランクについて聞けますか?』
「魔物か、地域によってはモンスターって言い方もしてるところもあるんだがな。九十九が倒したホーンラビットは魔物の森でも最低のCランク、ちなみに魔物の森はAランクまでいると聞いたことがある」
俺が倒したホーンラビットはCランクらしい、マスでさえDランク一匹が限界と言っていたので、それなりに強い魔物なのかもしれない
「スライムゼリーを渡したと思うが、あれがFランクだな」
『最低はFですか?』
「そうだ、Fといってもピンキリでな、角がないホーンラビットみたいなのもいる。倒すのは簡単だが見つかりにくいだけでEランクの魔物もいるしな」
『ふむ』
討伐されている数の多さなどによってもランクは変化するらしい、チキンバードも逃げている期間で、CからEと振れ幅があるみたいだ
「基本的にはFEDCBA、そして最高ランクにSがいるらしい。これはおとぎ話レベルで、俺はその素材も見たことはないぞ」
Cのホーンラビットでさえ当たれば即死なのに、Sランクなんて見たら俺は消滅するのではないだろうか
『ギルドに登録出来ないので、暫くは気にしなくてもいいかもしれませんね』
「ああそうだな、別の街に着いたら登録するといいぞ」
ギルドは街ごとに独立して運営しているらしい。ただ冒険者の証は共通の素材とイメージで作るらしく、基本的なデザインは一緒で、登録したギルドごとにどこの街で登録したかをわかる証をつけるらしい
『後は、貨幣の価値ですかね?』
「ああ、これか」
マスが貨幣の入った袋を取り出すと、前回よりも中身が多いのかズシッと音を立ててテーブルの上に乗った
「二匹目は綺麗だったからな、角もあるし結構な額になったぞ」
マスが中身をテーブルに取り出して、3種類の貨幣を縦に並べる
「金貨が3、銀貨が9、銅貨が31だな」
『これのそれぞれの価値を、教えてもらえますか』
「その前に注意が一つだけある、外では金貨を見せるのは気をつけろ。俺もギルドには旅の冒険者に小遣いをもらって頼まれたと説明しているが、普通はこんな簡単には手に取れるものじゃない」
正直いつ落とすかわからなくて緊張していたと、マスは金貨だけは俺の手に置いた
「自分で管理しておいてくれ、残りでも暫くは良い飯が食えるからよ」
『わかりました』
マスから渡された金貨を見る、近くにあるランプの明かりで濁った光り方をしているが重みがあり、価値がありそうに見えた
「まずは銅貨かな?これが最小の貨幣だ、あのパンが2個で銅貨5枚と言えばわかるかな?」
(やっす…だから不味いのか)
心では思ったが口には出さなかった、マスの説明を聞く限りでは1銅貨あたり10円の価値と判断した。パンは2個で50円というところだろう
「だいたい1日銅貨10枚もあれば、ことは足りるかな」
パンが主食なので、そこに野菜を買ってスープを作り食べるらしい。門番をやってるおかげか仲のいい街の住人からは、たまに卵や野菜をもらったりするとか
「ホーンラビットを挟んだやつがあったろ、あれが銅貨50枚」
『あ〜肉はたしかに美味しかったかも』
不味くてパサパサしたパンに挟まれていた肉は、高級な食材なのだと思った。量はそこまでではなかったがパンが25円としたら、ホーンラビットの肉だけで475円という計算になる
「な、高級な素材だろ?」
『たしかに、骨や皮も使われるんですよね』
そう考えるとホーンラビットの重さも、違う意味での重さにも感じ始めた。一攫千金を狙って何人も魔物の森に挑んで帰って来なかったと言うから、あの骨だけの死体もそうだったのかもしれない
「ちなみにチキンバードの丼ぶりは銀貨2枚な、贅沢品なのもわかるだろ?」
マス達門番の給料は銀貨3枚らしい、マスは元冒険者なので5枚もらえるらしいが、それでも価値がおかしいのがわかる
「ご馳走になってすまんな」
『いえ、話を聞く限りは全然余裕そうなので』
驚いたことに銅貨100枚で銀貨1枚、つまり1000円だ。そしてその銀貨が100枚で金貨1枚になる、ということは金貨は1枚で10万円と考えたら、3枚だけでも持っているのは危険だ
『あなたが良い人で良かったです』
「いやまぁ、信用って失ったら終わりだからな。そう簡単には取り戻せないだろ?冒険者時代に学んだよ」
マスは冒険者をしていた時に、複数人で組んで依頼を達成しようとして出来なかったことがあったらしい。一人裏切った者がいて、そいつは二度とその街では組んではもらえなかったそうだ




