2度目の戦い
『あっ』
「何よ、怖気づいたの?」
森に入ろうとしたところで、一度踏みとどまった
『スキルの練習がしたい』
昨日一度だけ使うことが出来たが、咄嗟だったので本番で冷静に発動出来るように練習がしたかった
「いいけど頻繁には使えないんだからね」
『わかってる、一度試したら次は森に入るよ』
荷物を置いた場所に戻る、チラッとマスの方を見るとこちらを気にして見ていた
(一応、念の為に)
マス達がいる方に背中を向けて、荷物が乗る藁の上に座った
『まずは付与だよな』
そう言うとステータス画面が自動で出てきた、昨日と同じく各ステータスの後ろに0を嵌め込む枠がある
『そして融合』
そう言いながら力の数値のところにある枠に触れる、ナナ曰く融合したい場所を意識してれば多少ずれていても大丈夫だそうだ
『お、おお!』
力の8が80に書き換えられた途端に力が漲ってくる、ただ他のステータスが低いせいで何かアンバランスな気がする
『何かわかりやすい変化はないかな』
「そこの石でも投げてみたら?」
ナナに言われて足元にある石を拾い、手首のスナップだけで投げてみた。石は予想をしなかった速度で、目の前にある城壁にぶつかり粉々になった
『うわ〜』
マスに音を聞かれなかっただろうかと心配になったが大丈夫そうだった、やはりステータスの数値は重要だと認識させられる
『残り時間はわからないかな』
先程0を嵌め込んだ枠を見ると、満タンになった水が減っていくかのように、枠の中の色が上から下へと薄くなっていっている
『これ、もしかして残り時間か…』
スキルを見ると(付与と融合)と書かれた部分の色が、限りなく薄くなっている
「再使用可能になると、また色がつくみたいね」
『なるほど、なんとなく理解した』
力のステータスから0が消えたのを確認してから、ナナと作戦会議に入った
「いいわね」
『ああ、なんとかする』
1時間ほど経ち、俺達はまた森の入口に立った
「まずは?」
『入ってから直ぐに外へ逃げられるように森の入口に近い木で、ホーンラビットが刺さりやすい太い木を探す』
「私がホーンラビットを索敵するから、見つけたら木を背にしてホーンラビットを鑑定する」
『それで敵意を感じるかわからないけど、一応鑑定をしながらナイフを構えてホーンラビットを見てみる』
「それであんたの方を向いて走ってきたら、ホーンラビットが飛ぶタイミングでしゃがむ」
『一か八か過ぎるけど、それしか方法はないもんな』
「私を信じなさい、きっと上手く行くわよ」
そしてナナと森へ入った、マスはそんな俺の背中を不安そうに見ていたようだ
「来たわよ!伏せて」
『はぁはぁ、ふっ!』
森へ入ってすぐに太い木を見つけた、周辺にいないかとナナが飛ぶとホーンラビットを見つけ、それ以外は半径50メートル以内にいないことを確認してくれた
(予定と少し違うけど…)
見つけた太い木から少し離れていたのでそちらに近づくと、敵意を感じたのかこちらを向いた
『あっ』
「逃げて!」
ホーンラビットに背を向けて走る、ステータスの差もあり直ぐに追いつかれそうになる。ナナの声に合わせてヘッドスライディングをすると、俺の上を通過する影があった
「よし、スキル発動!」
『ああ、付与、融合!』
先程練習した通りにスキルを発動し、ナイフを持つ手に力が漲る
「抜けないように抑えつけて」
ナナに言われるままに、木に刺さって藻掻くホーンラビットの背中を押して、角が抜けないようにした
『ど、どこを狙えばいい?』
「首は!?」
片手で背中を掴んで抑えたまま、ホーンラビットの首元にナイフを刺した
『1回では駄目か』
ナイフを抜いてもう一度喉を刺した、暴れていたホーンラビットは力が抜けてブラブラしていた
「よしよし、ちょっと安全確保」
ナナが周りを飛んで索敵をした、何もいないと言うので木からホーンラビットを抜いて持った
『昨日はわからなかったけど、ズシッとしていて堅いな』
兎みたいな見た目だから柔らかそうだが、筋肉がしまっている様に感じた。だからあのスピードとジャンプの突進力があるのだろう
「あ、早く行こう!」
『わかった』
ホーンラビットを持ちナナの後ろを追いかけると、直ぐに森の外へと出れた
『あ、重っ』
「あ、危ない!」
森の外へ出た途端スキルが解けて、ホーンラビットの重みに前のめりになり、その場に転がるのであった




