起きたらやっぱり異世界だった
「やはり、極限よりは無限じゃのう」
「お義父さん、それはさすがに」
「そうよ、キラキラネームにもほどがあるわ」
「そうかなぁ、この子の可能性は無限大という意味でつけたかったんだけどなぁ」
「そんな落ち込まないで下さいよ」
「お義父さんがそうしたいのなら私達は構わないわ」
(いやいや、構えよ!)
俺は今、部屋に浮いた状態で、生きていた頃の家族の姿を見ている。両親も祖父母も若く、まだ産まれてすぐの俺もそこにいた
(俺がみんなに会えるのはいつになるだろうな…)
『朝か』
鐘の音が聞こえて目が覚めた。起き上がり、門の方を見ると、マスが本日のお勤めを始めるために、他の門番と挨拶をしていた
「起きた?」
昨日目の前に置いておいた食料の上に、ナナが座っていた
『どうした、お腹が空いたのか?』
「違うわよ、あんたが不安そうだったから見張ってたの!」
『あ…そうか、ありがとう』
昨日寝る時に魔物に襲われないか確認をしたが、ナナがそれを聞いて見張り番をしていてくれたらしい
『とりあえず…』
寝袋にしていた袋から出て、立ち上がってから軽くストレッチをする、藁があったおかげで固い地面に寝るよりはかなり楽だった
『ご飯を食べるか』
明るいところで見ると魔物の返り血は黒く色が変わり、元々着ていた服が汚く見えた。上着のパーカーを脱ぎ袋に入れる、下にはシャツを着ていたので貰った服はその上に着ようと思う
『パンはこんな感じだったのか』
元の場所に座り、着る予定の服を広げて中の食料を確認する。焦げ茶に近い色のパンを口に運ぶと、堅くて噛み千切るのに苦労した
『パサパサだし不味いな…こちらの筒はスライムゼリーと水か、助かる』
正直水がないと食べるのは厳しかった、だが生きるためには贅沢は言えない。スライムゼリーは昼に戴くとしてパンは全て胃に入れた
「ご飯は終わった?」
『ああ、ありがとう、待たせたな』
ナナは胸当ての上に座り、俺がパンを食べるのを待っていてくれた
「ほら、これ着けるんでしょ?あまり意味ないかもだけど」
マスも言っていたが、万が一を考えて貰った服を着てから胸当てを装着した
「ナイフもあるわよね」
『ああ、大丈夫だ』
腰に触れると、そこにナイフがあった
「昨日寝る前に話をしていたことだけど、ほぼ確実にホーンラビットを倒す方法があるわ」
『本当なのか?俺はあの角が掠るだけでも死ぬと思うぞ』
「当たらなければどうということはないわよ」
『あ、うん…ナナは緑で赤くはないよな』
「何言ってるの?」
『いや…こちらの話です』
一瞬目にマスクを着けた何かが見えたが、気にしないことにした
「説明するわね」
ナナが言うには、ホーンラビットは縄張り意識が強く、ある一定の距離に他の個体はいないらしい。森の外に近い場所はホーンラビットの生息域になっており、あまり中に入らず場所も間違えなければ一匹ずつ対処が出来るそうだ
「ちなみに私はある一定の距離までは、あんたから離れられるみたい」
試しに見える場所で離れてもらうと、約50メートルほどは離れられるのを確認した
「昨日あんたが寝ている間に森の中を見てたら、いたわよホーンラビット」
俺が寝ている間に離れてみる実験はしていたらしい、ホーンラビットの姿は見たが森から出る様子はなかったと言っている。ちなみにナナは実体がないので、認識はされないようだ
「時間はあるんでしょ、一匹くらいは倒してみようよ」
まずはナナが森の中に入り索敵をしてくれるらしい、俺はその後に昨日のような状況を作るといいと言われた
「倒せばもっと美味しいご飯が、食べれるかもしれないわよ」
『うっ…』
生きるためだから仕方ないが、もっと良い物は食べたい
『はぁ…やるか』
「よしよし、二匹目はもっとスムーズに倒すわよ」
荷物はその場に置き、ナイフを持って森の前に立つのだった




