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この世界

「お前…さすがにそれは受け取れないぞ」


マスは俺が置いた袋を見て、困った顔をしていた


『お願いがあります、俺にこの世界のことを教えて下さい』


「この世界?」


真っ直ぐにマスの目を見ると、マスは俺の言葉に驚いていた


「この世界って、まるでお前がこの世界の者じゃないみたいじゃないか」


(別に俺は追放された身だし、隠す必要もないよな)


俺はマスに転移する前の元の世界のこと、そして転移してから追放されるまでのことを話した。マスは最初俺が冗談を言ってるのかの様な反応をしていたが、俺の真剣な顔を見て徐々に聞きながら考えるようになっていた


「つまり九十九、お前は勇者ではないが勇者達とこの世界って言うのか?俺達の住む世界に来たってことか…女神様って本当にいたんだな」


この世界には女神を信仰する、宗教的なものもあるらしい


「魔王、魔王か…でも確かに最近魔物にも、前より強力な個体が現れたという話が、ギルドにもきていたらしい」


『信じてくれるのか…』


「そうだな、正直驚いたがおとぎ話にも勇者はいたってあるしな、九十九がホーンラビットを倒せたのも信じる理由になるな」


(いやそれは違うと思うんだけど…)


ホーンラビットを倒せたのは、本当に運が良かったからだとしか言えない。俺以外の勇者達も、今は倒すことは出来ないだろう


「それでこの世界とは、何を話すればいいんだ?」


『最初に聞いた魔物のランク、俺はそれさえも知らないです。あとは銀貨とか銅貨とか通貨のこと、この街のことや周辺に何があるかとか、わかることはなんでも教えて欲しい』


「そうだな、それらを全て話をしていたら時間が足りないかもな」


(そういえば今は、何時くらいだろうか)


この時間の時間の流れは測り方もわからない、スマートフォンはあるが充電が出来ないので電源は落としている


『明日も仕事ですか?』


「そうだな、毎日休まずにやってるよ」


『時間はどうやって見てるのですか?』


「俺の場合は近所の鳥の鳴き声で起きていつも通り準備したら南門に来て、少しすると街の鐘がなるから夜の番と交代をして、また鐘が鳴ったら昼の番が終わるから、交代をしてお勤めは終わりだな」


『なるほど』


曖昧な雰囲気もあるが、ある程度は決まった時間に鐘が鳴るらしい


「明日の勤めが終わってからでいいならまた話をするぞ、報酬ももらっているしな」


先程渡したホーンラビットの角を見せながら笑っていた、明日も話す機会があるのなら助かると思った


『もし可能なら…』


「ん?」


『迷惑だとは思うのですけど、このお金で食べ物と交換してもらえませんか?』


銀貨も銅貨もまだ価値がわからない、これを食べてもお腹が膨らむわけではない。散々迷惑をかけているが、チャンスがあるなら明日を生きるためにお願いを叶えて欲しかった


「そうだよな、この世界ってやつがわからないんだものな」


マスは俺の置いた袋を手に取ると、詰所から出ようとする


「今日はこの後に用事もなかったしな、また少し待たせるけど待ってな」


そう言ってまた街の方へと向かって行った


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