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第36話 過去へ一区切りですが、なにか?

「おひさしー、はつねん」


 と、横浜のイタリアンレストランのチェーン店で待ち合わせた相手が声を掛けてくる。はつねんとは私、初音である。

 中学校時代からの付き合いだが、相変わらずメイクで肌を濃くし、目元にもラメが見えるし、指先もギラギラにデコレーションしている。

 胸のボリュームは中くらい。

 髪の毛は白く長いがボサボサで典型的な山姥やまんばギャルというカテゴリーだが。しかし、実のところ中身はおっとり系だ。


「相変わらず、ハデね。

 マリちん。

 あ、私、ドリバーだけで書いて」

「うちはーミラノ風ドリア追加で書くわー」


 名前は茉莉まつり、マリちんで通っている。

 なお、フルネームはお互い同士知らない。私は名前を教えていないし、マリちんの苗字を知らない。そんな関係だが、ビッチ仲間の仲で一番の友人である。


「はつねんは相変わらず、きれー。

 いやまあ、わたしゃ素がブスだかんねー」

「そんなことは無いでしょ」

「いやみかなー?」


 ストローを咥えて、上下して反抗してくる。


「マジバナシよ。

 一度すっぴん観てるし……ってすっぴん話は厳禁だったわね」

「そうそう、今はマリだから、すっぴんの話はやめたまえー」


 相変わらずの間延びした話し方だ。

 最近あってないからか、懐かしみを感じてしまう。

 元気そうで何よりだ。


「で、最近どうなんー?

 遊びにもこないしー。

 みんな心配してたわよー」

「アプリをやめたのよ、彼氏出来たから。

 土日も彼氏専用ビッチとしてラブラブしてる」

「え、マジでー?

 あんなに色々な男の情けない顔が楽しいってたのに?」

「彼のだけで満足しちゃってね?」

「のろけかー!」


 正直に答えると、マリは驚いたように私を観てきて嘆息一つ。


「処女失うとかいきまいてたけどー、誰とやったん?」

「モチロン、今の彼氏。

 今までの見てきた中でも一番にデカイわよ?」

「チン堕ちしちゃたのかー。

 しつけられたのかー」

「いや、真面目に恋愛よ?」


 とはいえ、しどー君のがフィットしすぎているので他に考えられないのは事実だが。


「第三の足に?」


 下品な会話すぎるが、こういったのりは嫌いではない。


「いや、本人に」

「それは明日、雪かなー。

 結構よさげなおじさんとかにもなびかなかったのにー」

「世の中、お金じゃないって事よ」


 と言っても、しどー君も金持ちだが、という言葉は飲み込む。

 しどー君が優良物件過ぎるのが悪い。

 さておき、


「ちょくちょく連絡してたけど、リアルは色々忙しいのもあって会えなかったのはゴメン」

「いいよ、いいよ。

 はつねんの家、家計厳しいの知ってるしー。

 パパ活しなくて大丈夫なん、逆に。

 確か、ストーカーに邪魔されて稼げてなかったとか聞いてたけど」


 ストーカーとはしどー君のことだ。

 そのストーカーに養われているとは言えない。

 それだけ聞けば明らかにヤバい案件で、犯罪に巻き込まれたとしか想像がつかない。通報されてしまう。


「何とかね。

 それにパパ活は最後、危ない目にあったからもう潮時かとね」

「あー、警察沙汰言ってたねー。

 稼げる仕事紹介しよーか?

 マリ的に安全牌な人ー、あるいは安全なお仕事ー」

「大丈夫大丈夫。

 今のバイトが待遇いいから」

「どこどこ?

 遊びにいくよー」


 返答に窮する私。

 素直に言えるような状況ではない。


「……金持ちの家のメイド」


 嘘は言ってない。

 マリちんの視線が眼を見開き、そして頷きながら、


「あぁ、成る程、お客さんの中にそういう需要があったのね?

 エッチは?」

「無し無しの仕事よ。

 彼氏居るのに不義理でしょそれは……付き合う上で他のパパ活を辞めると言うのが条件にあったの。

 キャバクラの延長みたいなモノで料理して、掃除して、身の回りの世話をする感じ」

「まだ、メイドを雇うみたいな道楽な人もいたもんだねー」


 いやまぁ、道楽というか酔狂というか……私のことが好きで、パパ活や援助交際を止めようとした結果なのは事実だし。


「しかし、相変わらず変な所で真面目なー。

 そこがおじさん達に受けてたんだろうけどー。

 何だかんだ、良い学校入ってるしー」

「抜きはしてたからどうだろうとは思うけどね?

 で、マリちんは処女切ったの?」

「ふふふ……」


 意味ありげな笑いをしてくる。だが、私の眼は誤魔化せない。


「まだなのね。

 まぁ、焦ることではないわよ。

 私も焦って痛い目にあったから」


 上から目線で言ってやる。


「これが非処女の余裕かー!

 くそー!

 このビッチー!」

「マリちんもビッチでしょうに……。

 しかも現役」


 だからアドバイスと思って言ってやる。


「やっぱりメイクやめたら?

 山姥はもといガングロ系も流行らんし、処女も買うとか言われんでしょ。

 そもそも例のアプリでのマッチング自体少ないんだから」

「うう……。

 すっぴんはやだー」

「なら諦めなさいな」


 突っ伏しながらドリアをつついていくマリちん。それを傍目に、コーヒーをすする。


「まあ、ある意味安心した。

 これは茉莉としてね?」


 安堵を込めながらも寂しそうな感じで言われる。


「……マリちんも辞めたら?」


 ふと私はそう言うが、彼女は首を振って、


「マリは、居場所がここしかないからねー。

 パイセンに誘われて入ったけど、満足してるし」

「なら、仕方ないか」


 人生の選択肢に突っ込めるほど、責任を持てないのだ。

 それこそやるならマジメガネみたいにとことんまで責任を負うべきであろう。妊婦さんの時に韓信だったかの話だか、しどー君が言ってた気がする。

 彼だって、私でなければやらなかっただろうしとプロポーズを思い出すと、しどー君に会いたくなる。


「さて、私は行くわ。

 あんまり時間が取れないけど、遊びなら付き合うから連絡頂戴な」

「ういういー、そろそろ入る夏休みはなんかやるだろしー、よぶわー。

 んじゃ、サラダバー……もといさらばだー」


 と、ドリンクバーの代金を置いて入り口へ。

 そして振り返らないまま、マリちんに向けて手を振ってから出ていく。


「……一区切りか」


 ふと、こぼれてしまった言葉。

 短くない間の付き合いが変わってしまうのが寂しくないと言えば嘘になる。

 私がリアルで会うのを長引かせていたのは、そういうことだろう。

 とはいえ、私自身のため、いずれはしなければならなかったことだ。


「割りきり割りきり……」


 そう自分に言い聞かせながら、私の居場所へ戻る。

 すると、リビングで私の好きな人がソファーで呑気そうに寝ていた。


「ふふっ」


 私はそんな様子に笑みを浮かべながらタオルケットを被せる。

 そして起きたしどー君が、突然、彼が作ると言ったカレーを味わうのだった。

 それは幸せの味がした。

 一章エンドです。


 本作が気になる方、応援してやってもいい方、処女ビッチ好きはブクマや★★★★★で応援頂けると

嬉しいです!


 R15が好きな方もブクマや★★★★★などを頂けると嬉しくて頑張ります!


 よろしくお願いいたします!

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