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プロローグ


 ファイヤー・ゴッド・ガール(通称:FGG)というゲームは、主人公がハーレムを築きながら最後はラスボスの魔王を倒すという王道RPGである。何度もリメイクされているこのゲームは登場人物が魅力的なことで有名で、特に聖女アマリス・クラッチはネットミームになるくらいには愛されているキャラクターである。


 主人公がどんどん強くなっていく爽快感と敵キャラのクズ具合が最高に気持ちの良いストーリーなのも評価が高い。

 特に、最初のボスであるダヴィド・イーゴ教祖が火炙りになるシーンは圧巻である。ダヴィド・イーゴは主人公が最初に訪れる城の上級貴族で大きな領地を持ちながらも地下でマゴアダヴィド教という魔王を信仰する宗教の教祖をしているキャラである。しかも、そこそこイケメンで鼻持ちならないキャラなのも最高のヒールといったところだ。

 スラム街出身の主人公がお金持ちなダヴィド・イーゴを倒すところはスカッとするんだよなぁ。


***


「マゴアダヴィド教の繁栄を〜!」

「さぁ、魔王様のお力にするのです!」

「さぁ!」

「さぁ!」

「さぁ!」


——なんで、コッチなんだよ。


 往年のRPGゲームFGGの初代バージョンを徹夜で配信していたら意識を失って……気がつけば俺は「教祖 ダヴィド・イーゴ」として崇められている。


 主人公が最初の拠点となるエンドウォーター城のとある建物の地下で、俺ことダヴィド・イーゴを中心とする魔王を信仰する宗派マゴアダヴィド教が密かに集まっている。


 無論、物語の序盤で暗躍するダヴィド・イーゴは主人公の活躍により捕縛され最後は火炙りの刑に処される運命にある。ダヴィド・イーゴは貴族の生まれでありながらなぜ教祖になったとかとかそういうことは掘り下げられず、かませ犬のように殺されるのだ。


「ダヴィド様、信者たちからこれだけの資金が貯まりました。さぁ、今こそ国政に出て魔王様のお力を……」


「いや、今日限りでわが教団は解散することにした」


「へっ?」

 信者たちはポカンと口を開ける。


「私、ダヴィド・イーゴは今日限りでこの教団を解散する」


「では、この資金は?」


「あ〜、恵まれない子供にでも寄付しなさい。私は、我が領地の開拓でもして隠居をするよ」


 そう、ダヴィド・イーゴは金だけはある。ゲームの中では「多くの領地を持っている」と自慢しているセリフがあったはずだが、火炙りになった後は深掘りされなかったっけ。

 けれど、そこそこイケメンの貴族で領地もあるなら悪役にすらならなければ幸せな人生を送れるのではないか? というか勝ち確ではないだろうか。

 そこで、俺は閃いた。この物語、主人公がハーレムを築くのも面白味の一つなのだが、その概念があるとすれば俺もハーレム生活が可能に……⁈

 色んなジャンルの女の子を……?


「じゃ、そういうことで」


 俺ことダヴィド・イーゴは教団のローブを脱ぎ捨てて、地下集会所をあとにした。


——悪役なんかささっと放棄して異世界で自由に生きてやる!




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