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情報過多の荷物持ちさん、追放される  作者: エム・エタール⁂
女神さん、追放される(魔科闘技編)
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85話


 わいわい騒ぐお祭り裏の、控室。

 静かで寂しい、落ち着く場所。


 まあ別に選手用の部屋だし、暗くて汚いわけじゃないしね、うん。


 そんな場所だからこそ、こうしてお姫様をそのまま連れて戻ってきたわけだし、


「さて、どうしよう、」


 控室、よくよく考えたら今は二人だ寂しくはないかも。

 静かではあるけど、寝てると本当に神聖なる聖女様って感じで、逆に心配になるな、


 疲れてるだろうしこのままゆっくり寝かせてあげたいんだけど、その場合運営ってどうなんの?

 ……最悪結界の維持くらいは僕でもできるかどうか、うむむー、

 人の命と信頼を預かる魔法とか、僕には荷が重いなー、荷物持ちだったのに。


「……っ、はっ、セシィちゃん!!」

「おっ? 起きちゃったんだ、おはよう、」


 流石にかかりが甘かったかな、

 まあ所詮は付け焼き刃の技術だ、……レコウになら、もっとしっかり寝かせられるかも?


「あ、おはよう、じゃなくて!」

「うん? ああ試合は終わったよ、僕の勝ちだよ残念だねー、」

「そう残念、じゃなくて!!」


 うん?

 ああ運営ね。

 次の試合始まっちゃうかな、対戦相手は……、


 げ、順番的にレコウのじゃん。

 やっば、対応しないとスプラッタになる!?

 まってーー、ドラゴンちゃーん?!


「もう、そんなのどうでもいいのよ!!」

「ええ!?」

「あの子はちゃんとしてるし、それに結界も別にそんなすぐには、じゃなくてじゃなくてよ!!!」


 ……まあ、確かにレコウなら大丈夫か。


 それで、結局さっきから何をそんなに慌ててるの、


「セシィ。それ、体、大丈夫なの?」

「え? いたって健康体ですが?? あ、ところでさっき胸が柔らかいって、」

「そんな事じゃなくて!」

「がーーん」

「————心臓、いつから、どうなって、」


 ん、ああ。

 いつからって何でまた急に、そうか抱き寄せたからか。


 人を落ち着かせるには心音を聴かせるといいって言うからね、無意識に選択肢として選んでいたのかね。

 まあこの場合は逆効果だった気がするけど、って、誰が心音聞こえるくらい胸が薄いじゃ、


 ……うん。

 隠してたわけでもないんだけど、こう正面きって発見されると、なんか気まずいね。


「いやまあ、本当に健康面では問題ないんだよ? むしろいいくらいさ。……ちょっとまあ調子は悪いかもだけど、」

「…………それで、頑なにいつもの魔術を使おうとしなかったのね、」


 ………………いや、まあ、

 それも、理由ではあるけどさ。

 どちらかというと、レリアの結界がガチガチすぎたからだね、そう。


「大丈夫なの?」

「んー、まあ、調整しようと思えばいつでも出来るし?」

「……じゃあ、なんでやってないのよ、」


 そりゃ、…………なんでだっけ。


 まあ、不便を感じなかったていうのが一番の理由だろうけど、わざわざそれで時間取るほどでもね。

 別に僕の体なんて、大して元から良いもんでもないし、今更そんな内側くらいね、


「…………いいわ。それじゃあ、私がやってもいいかしら?」

「え、レリアが??」


 そりゃ、君の治療の腕は信用してるけど。


 そんな、これ、なおしてもらうの、


「……………………あー、うん、」


 …………まあ、レリアにだったら、いいかな。


「それじゃあ……、って、今はダメね、」

「ありゃ?」

「自分でも消耗してるのがわかるもの、まさかあんなに簡単にいっちゃうとは思わなかったわ〜〜」

「確かにね、僕もびっくりしたよ、」


 別にそんな気負わなくても、ささっとやってくれていいのに。

 でもまあそこは聖女としてこだわりがあるのかな、ならうんいっか、待ってるよ。


「もう! もう少し耐えてたら、あの感触をもっと堪能できたのにぃ〜〜!!」

「えっ、。……別に、あの程度、いつでもやって、」

「ほんとー!?」

「は、よくないから、時と場合を選んだら、はい。」


 あぶねっ、

 今なんでもするってって、幻聴が聞こえてきた気がするよ。ナニコレ??


「それじゃあ、万全な状態に整えて、あなたのことを完璧になおしたら。ご褒美にねぇ〜♪」

「だから、そういう形を取っちゃうから生々しくなるんだってばほらギューーっと、」

「ピャ〜〜〜〜♡??!?」


 あ、また倒れた。

 ……しょうがない、起きるまで見てよっと。


 控室には流石にベットはないからね、何か枕でも鶏もも肉、

 ……いいや、とりあえずこのまま膝に乗せたろ。


 まあ胸よりは柔らかいし、なら大丈夫かな。

 って、誰の胸が骨以下だーー!?




 ……さてと、どれくらい経ったかな。

 まだ僕の試合は始まってないか、大丈夫だとは思うけど。

 だってこっちは指定された控室にいるからね、呼びにこなかったら向こうが悪い。


「ん、んぅ、」

「おっと、」


 ああ、起こしちゃったかな。

 悪いね、膝枕とか経験少ないから、むしろゼロじゃないだけすごくない?

 これでコツ掴んで、いつかは……って、ありえないんだけどね。


「……天井が見えるわ、」

「悪かったね、というか見えない方がおかしいだろ、」

「そうね、、……って、え!? キャーーーー♡!?」


 あっ、また倒れちゃいそう。

 流石にそう何度も気絶するのは体調に悪いかなって、というか一緒のベットで寝た事もあるんだからいい加減慣れなよ。


「いえその、セシィちゃんのほうからデレてくれたことが……、っと、どれくらいだったかしら」

「さあ、まだ僕が呼ばれてないくらい?」

「なら、まだ間に合うかしら、」


 控室の外の方を眺めながら、レリアは名残惜しそうに膝を撫でながら起き上がり、

 ……なんか生々しいんだよな〜、これがなけりゃあ別にいつでもやってあげるのに。


「運営? 結界は見たところ問題なさそうだけど、」

「ええ。でも一つ、仕事を頼まれてたのよ、」


 誰にかは、まああれか。なんか個人的な依頼でも?


「まあちょっと、私もセシィちゃんとデートするため強引に捩じ込んだから、そのお返しなのかしら、」

「あれをデートっていうのやめない?」


 というかデートって言うから、普通に遊びに行くのもなんか身構えちゃうんだが?


「それで……、何するの? 早く行かなきゃ??」

「そうねぇ、あらせっかくだし、セシィも来ない?」

「……僕この後、試合あるんだけど、」

「大丈夫よ、その前には必ず終わるから、」


 移動しながら話を聞く、

 向かってるのは闘技場。

 人声溢れる表目に、そういや控室勝手に出ちゃったけど、まあ運営の聖女様と一緒だからいっか。


「あら、なんとかギリギリ間に合ったようね、」

「ここ、どこなの?」


 ついたのは、舞台全体を一望できる特等席のような場所。

 と、言うには少し狭いか、そして目の前に取り付けられた魔導具は、


「拡声器? ああ、ここ、」

「実況席、だったかしら? 一部の試合だけ頼まれたのよ、」


 なるほど、あの変装バニー王子がやってた奴か、

 ……というかあのクラウンムダ乳男装令嬢はどこ行ったん?

 そしてなんでまたレリアがそれを、


「それで、ここ、席が二つあるのよねぇ、」

「あるね。それで?」

「解説、だったかしら? やってみない??」


 ……あー、そのために呼んだのか、

 …………いや勝手にダメでは? 僕運営側じゃないんだけど、


「いいのよ、ワタクシが決めたから。ささ、始まっちゃうわ♪」

「んー、しょうがない。……台本とかないの?」


 前に聞いたやつでは、思いっきり読まされてたな。

 あれレリアがやったでしょ、だれがプリンスじゃ、


「こほんっ。あー、それでは皆さん、実況かわりましてこの試合は永遠潔白の大聖女、アウレリアと、」

「……えっ、もうはいってんのこれ、。————あー、特に某国の王子とかではない、解説のジョンです」

「今は、ですねー♪」


 やめろよみんなに聞こえてんだろこれ!?

 ……って、なんだマイク入ってないや、まあまだ誰が戦うのかもわかってないからね、


「まあ、基本的には私がやるから相槌でいいわ、」

「……それ、実況解説逆では?」

「そうなの?」


 あれ、違うか?

 わからん、この世界の実況とか聞いた事ないし、というか何であるんだ。


「それじゃあ、始めるわよー、」

「え、あっ、ちょっ、ゴホンゴホンッ、」


 全体放送ってことはレコウにも聞こえてるからね、しっかり声変えなきゃ、

 というか次がレコウとの試合なんだけど、こんなとこでバレるのどうなん?


「それなら普通に、本名なのればいいじゃない、」

「……あそうか、ここで誤魔化す理由ないか、」


 ケホンケホン、声戻してっと。

 ……ってあれ、僕の元の声ってどれだっけ、むしろ男装してる期間の方が長いまで、コホンコホン、

 まあ、いつもの声でいっか。


「それでは皆さん、実況かわりましてこの試合は永遠潔白の大聖女、アウレリアと、」

「その友人の、セルースでお送りしまーす、」

「…………あら?」


 え、本名。


 …………いやなんか、不特定多数に愛称伝えるのもね、

 ……っとほら実況、マイクに声入ってるから。


「あっと、失礼。では左コーナー、彼女に愛を伝えるため、はるばる一般戦から立ち上がってきた仮面の戦士、ローザリィブさんです」


 出てきたのはうわ、顔面仮面で隠してるムキムキマッチョ、僕が配った中でもネタ度の高いバタフライマスクマンだ。

 というかまだ生き残ってたのか死亡フラグ族。いっそここまで残れたなら、フラグ打ち破ったと言っていいのでは?


「えーっと、それでは右コーナー。こちらも正体隠して一回戦を華麗に突破、ワタクシの真似でしょうか、」


 出てきたのはまた謎ローブ。枠的に多分シード枠。

 あの体型は、開会式の時にはいなかったはずだけど……、いったい誰が、


「いえいえこちらが本家大元、演劇界の大本命。みなさんが待ち望んでくれたからボクが来た、当然いますわ大会主催者。舞台世界の貴公子、エウスミシェルネイさんです、」


 バッ、と、ローブー脱ぎ捨てて、そのキラキラと光る相貌を露わにする。

 どこから生えたか頭につけたクラウンに、細身の剣を手に持つは、闘技場にも不思議と似合う金色の王子様。


 …………大会主催者、ズルくない!?


「なんと、驚きですねー。…………いいのあれ、」

「わーー、…………まあ、観客の反応見る限り?」



 ————キャーーーー!

 ————エーウース! エーウース!!

 ————結婚してーー!!



 ……うぐ、確かにすごい熱狂だ。

 ならまあ、祭りとしては成功なのか??


 というか本人が出るなら、なんでシード枠に別で自分の団員ねじ込んでたんだ、


「あら、その人なら前の試合で負けてるわよ?」

「うぇっ、そうなん?」

「確かその後で、急遽出演した形ね、」


 な、なるほど?

 目論見外れたから今度は自分で、

 いや、最初からそのつもりか? 単純にシード枠二つの方が、試合一個楽できるし、


「どうかしら。元々、あの枠には外から人を呼んだって聞いてたけど、」

「こんな台本まで用意して?」

「んー、まあ、私は、なにも言えないわね〜」


 ……そうだったこの聖女、強引に参戦した挙句に台本用意してたんだった、僕のほうまで。


「それじゃ、実況戻るわねー、」

「……試合中もやってたっけ、」


 マイクをオンにして、考えは頭の中に、


 ……エウス、彼女の目的はもしかして、自分自身がさらに権力を得るため勇者になることか?


 だとしたら、僕はそれを……、


 まあ、真正面から打ち倒して止めるなら、逆にスッキリしてる、のかな。

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