55話
ドイツモコイツモ、クズばかり、
いやあ、ムカつくねえ。
「がっ!? お前、何を、」
「オット、『反抗の剣』。ほら、ラクにシテヤルよ」
ひとーりふたーりタイショークビー!
兵舎のほうまで付いてくつもりだったが、まあイイゼ。とりあえずテメーらで、満足してやるよ。
「キサマ!!」
太い腕で殴りかかる。
オット、嫌いだ、サワンナよ。
「があっ! う/ /でが、ぁあ?」
「ギャハハァ! ヨカッタな、そんなもん気にするヒマねえーよ、」
さーって、アトのクビはー、
「ひーーーっ!」
「アン? 逃げんなヨ、『反抗』」
「ガッ?! な、かべ!?!」
「ほらブチッーッと、『反抗』」
キヒッ、飛び散っちまった、
ア、これじゃクビとれねージャン。失敗したかー??
「サーテ、ああオマエ、生きてんな。グリグリーッと、」
「ぎはっ?!」
「『反抗』」
ビチャーンッ!!!
ウン、やっちまった。
体内に使うもんじゃねえなコレ、弾け飛んで汚ねえ。
「サテ、じゃーどうしよ。もうオトナシク、あの城にイクかー? チッ、それなら、最初からアイツらについてけばよかったカ?」
ナンカ戦場にいたオンナどもに懐かれたからヨ、ソンナニあのクビども嫌いだったのか??
紛れ込ませてもらって、フクまで貰ったが、流石にソノママ城に入るのもなんかな、
マー、でも、ソロソロいっか。
サーテ、じゃあ、
「…………なあ、お前」
…………アー?
ナニ、少年兵クン、なんでネテねえんだよ。
確かに気絶したと思ったんだけどナ、
……アア、オレが血を撒き散らしたから、
アーア、ソッカー、
「…………この国の奴じゃないな、何が目的、」
ナンダコイツ。
シャベンナ、ウルセーナ。
「オマエ、バカなのか?」
「…………あの国の奴か、」
「ダッタラナンダヨ、ハァ、メンドクセー、」
モクゲキシャダ、ナラ、
どうにかしねーとな。
「『反抗の剣』。なあ、オマエ、最初からネテタッテコトニシテヤルヨ、ホラ、」
「…………そうか。——悪いなっ、それはできない‼︎」
「バカが⁉︎」
起き上がり、殴りかかる。
ナンナンダヨ、モウイイヨ。
首、それじゃあ、反抗で、
「いやほんと、僕も馬鹿だと思うよ」
剣が空振る、
上手いこと、首に当てて気絶させようとしたんだが、ナンダコレ?
オレ、こんな綺麗に消し飛ばすなんて、デキネーゾ??
オトコ、グンジン、チイサイ、ダレだ?
低い、作ったようなコエ、アンン??
いや、ナンダ、暗い、目は良くないんだよ。
アレ、デモ、イヤ、ソンナワケ……、
……………………。
副君たちには悪いけど、手っ取り早く現行犯で捕まえようとしたらなんかいた。
思わず、エンゼちゃん置いて全速力で来ちゃったけど、というかあの子遅い。常に靴おっとけ。
「えっとー、君、誰かな?」
「アン? やっぱチゲーか。ハンッ、オマエにナノルナハネーヨ」
気取ったような、焦ったような、変な声。
いや、それ以上に謎なのが、こいつの周りが全て弾けてる。
僕の干渉すら跳ね除けて、何か人の形に空気が飛び散っている。
これ、本当に人か??
僕には、真っ白な塊が浮いてるようにしか見えない。
せめてもうちょっと明るければな、僕は目が良くないんだ。普段使ってないから。
「……酷い有様だね、グチャグチャだ、」
「ダロ? オレもオモウゼ」
「ん? そう。それで、その子達、どうするの」
「アー。マア、目撃者は、ドウニカシネートナー、」
推定女が近づく、扇情的な洋服の広がりが見えた、そこだけ変な膜から漏れてる?
しかし、この恰好、ついさっきも見たような。
この国の? これ本当に誰だ??
「オラ!?」
「おっと、なにそれ?」
ビカビカと、僕には内部が見えない代わりに、嫌でも目立つ剣が振るわれる。
避けて、その先にあった壁が抉れる。
もし当たったら、簡単に体が、ここら辺の床のシミと同じになるだろう。
だけど、あまりに遅すぎて当たる気がしない。
ただでさえ目立って大振りなのに、あまりにも本体が非力すぎる。ただの女、にしても酷い、
「じゃあ、次は、僕が行くよ、」
「オー?」
こいつ、この全身を覆ってるの。
なんとなく正体はわかるが、故に確認しないと、
直接触るのはまずい、ならば。
「チッチェエ銃? オイオイ、あぶねーゼ?」
「安心しろ、室内用だ。貫通力はない」
こんなもの、なんのために作ったんだろうね。
僕が正式な制服と共に何故か貰えた。
つまりは頭脳担当の魔族が、子供に反抗された時用ってところか。
投げ捨てたくなる、でもまあ合理的じゃない。せっかく手に入ったものだからね。
「ア? ドコネラッテ、」
「それに貫通力が無いからこそ、こんなことにも使える」
撃つ、彼女から逸らして、壁に、
そして跳ね返った弾丸が、正確にその女の横を穿つ。
「オ! マジで!?」
「ああ、予想通りだ、」
そして、弾丸はまた跳ね返って壁へ戻った。
流石に、二度も抉られた壁で僕の元まで帰ってくることはないが、やはりこれで確信した。
「それ、全身が剣と同じ、」
「アア、『反抗の鎧』。アキラメな、オマエに勝目はネーゼ」
物質を跳ね返す、いやそれどころか僕の干渉すら跳ね返してる。
ただの物理現象じゃない、空間魔法にも近い、なにか。
こんなの、初め……、ん、
……反抗?
「ホラ、ボーッとしてんなよ!」
「おっそ、いや当たる気がしない」
なんだこれ、なんだっけ。
ひょいひょいと避けてやると、女、、そいつはムキになってさらに寄る。
そしてそのまま前傾姿勢になって、
「イデェッ! いやイタクネーケド!?」
「……うわ! 床に二つの穴が空いてる!?」
転んで、そして僕が見ないようにしていた揺れている二つが、
潰れるとかなく床を抉った、そしてその身長に対して規格外のサイズ。
間違いない、こ、こいつー!
「巨乳は敵だ!」
「オ? アア??」
「間違えた!!」
やっぱそうだ、なんで気がつかなかったんた。
だってこいつ、なんか知らないけど勝手にどっか行ったから……、あれ?
なんだっけ、まあいいや。
それより、僕ら、なんでこんなことしてんだっけ。
「君、こんなとこで、なにしてんの??」
「オ? コエかわ……、あー?」
「シファ? そんな格好して、ついに女装趣味に目覚めたか!!」
「お、あ!! いや、オマエだって、男装してんじゃねえかセシィ!?」
やっぱそうだ、なんで気が付かなかったんだ。
ちょっと近づいて? ……あー、うん、この距離なら見えるよ、やっぱそうだ。
化粧してやんの、似合わないねー、
「ウルセェ! コレは、アイツらが勝手に、」
「ふーん? でも満更じゃないって?」
「チゲーよ⁉︎ ただ便利かなってだけだ‼︎」
うへー、ついに心まで染まってしまったか、よよよ。
ま、これは流石に、あんまり触れないでやるか。実際、合理的だしね、
「オマエこそ、なんだよそのカッコ。紛らわしいな」
「そう? 似合ってるでしょ? 僕のサイズぴったりだ、男用が。このやろー、」
「あはは、残念だったな」
笑うなー、ちくしょー。
戦争中だからって、そこに触れやがって、
「あ、そうだ、レコウさんは?」
「え? ……あー、今はちょっとね、」
「フーン? なんだよ、じゃあチャンスか?」
「何が??」
そこ触れんなよ、ほんとあの子、いつになったら帰ってくるの。
まあいいや、なんかシファとは合流できたし、また三人で……、
あれ、なにするんだっけ。
「なあ、セシィは今なにしてんだ?」
「あー、僕はね……。魔王の、右腕?」
「えっ、すげー!! もうそこまでいったのか!? じゃあ早くしようぜ、」
「え、うん、」
なにを?
そうだ、君は、ナニをしようとシテタンダッケ?
「早くそいつ殺して、一緒に世界を壊して、それから……、」
…………ああ、そうだった。
アハハ、
「……ねえ、そこいる子たち、どうするの?」
「あー? まあ目撃者なら、消さなきゃかな?」
「そう。実はね、その子達、僕の部下なんだ、」
「へー、なるほどな。どおりで、でも、」
「もう、カンケエねえよな??」
「どう、だろうね、」
『収納』
「オ! やっぱさっきの、セシィか!!」
「そう、さっきのね。うん、そうだったよ」
なんで、忘れてたんだろう。
シファ、
この子、こいつ、これは、
僕の、
敵だ。
「……セシィ?」
「……悪いね、君。僕にも、僕の事情があるんだよ」
「おー? なあそれ、時間かかるのか? 先こっち終わらせてからじゃダメか?」
「時間、そうだ、時間切れだ、」
エンゼ、本当に遅いね。
今、やっと近くまで来たんだ、
ああ、もっと遅くても良かったのに。
「っ、じゃあね!」
「エ、ア、まって、」
走る、あれに攻撃を通す手段は限られるが、逃げることは簡単だ。
何もせずただ走ったとしても、僕の方が早い、
「ッ、ァ、『反抗!』」
何もない空間に壁が現れる。
全てを弾く、無敵の防壁。
だけど、別に僕の目的はこれを壊すことじゃない、
「おっ、とっ、危ないなあ、」
展開され切る前に強引に突っきる、荷物背負ってたらできなかったな。
背後の壁、むしろ足止めの障害物になっちゃったね。
「巻き込まれたら、ぐちゃぐちゃになってたよ、」
「ェ、ア、——チガッ、オレ、」
「じゃーねー!」
走り去る。
何故か、壁は消えず、追っても来なかった。
さて、どうしようか、
僕の、魔王の、勇者の、敵。
僕は、彼を……、
……………………。
「セシィ、オレ……、チガ、アハハ」
アハハハハハハハハハハヒヒヒヒヒヒハ?
……アー、ソーダ、マオー、マオー、マオーサマ。
……………………、
オレは、シロに、向かわなかっタ。
ナニしてんだろうな、でもきっと、あそこにはアイツがいるから。
アハハ、合わせる顔がないってやつだ。ホント、ナニやってんだ。
「アー、ソーだよなー、アイツだったら一人でデキルよナー。オレが迎えに行かなくても、最初から。ハハ。」
そうだ、オレなんて、イラナかったんだ。
いいや、どうせ、あのトキも、オレハナニモ。
「じゃーオレって、ナンナンダ?」
……………………。
アー、ボーッとしてた。
じっとしてるのはマシだ、オレは、ずっとなにも考えてなかった、
いや、チガウナ、ずっとオレは、アノヒにとりのこされたママなんだ、
デモ、サイキン、ヤットナンカ、ナノニ、
「……あれ、お姉ちゃん?」
…………あ?
イマオレ、ナニモシナイをシテルのに、ナンダ?
「……オー? 昨日の?」
ナンデ?
………………うおっ! ここ、昨日とオナジバショじゃねーか。
うわ、いい匂いする、まさか無意識で釣られてきちゃったのか!?
は、恥ずかし〜、
「ア、あー、昨日と同じの持ってる。ち、違うからな! そんな連日タカリに来たとかじゃ、」
「ふふっ、いいよ、別に。こっちこっち、」
「えっ、ちょっ、どこ行くだよ」
引っ張るなよ、オレはソレ、
……いや、なんだ、全然ワルイ気分じゃねーや。なんでだろーな、
シカシ、オレ、この子供にすらチカラで負けてんの? ショックだ、
「はい、これ!」
「ん、パン? アー、クレンノ?」
硬い、ブロックみてー、美味しそう、
いやいや、なに二日続けて自分より小さい女にメシもらおうとしてんだよ、
ダメだろ、男として、流石に、
「だから、ナ?」
「男? その格好で変装は無理だよ。確かにそっちの方が、便利かもだけど、」
「イヤ、そういうことじゃなくてナ?」
そもそも、便利だからってそうコロコロ性別変えるやつなんて、
ン? あーー……、うん。
「ハァ、じゃあショウガネエナ、コレだけ、」
「違うよ、これ!」
「オーン? なになに?」
ナ、ナンジャコリャー!?!?
昨日のスープが、空に浮いてやがる?!
ど、どーなって、
「凄いでしょー! ね、だからお姉さんも、遠慮しないで、」
「お、おお。ナラ、じゃあ? ……しかしコレ、どうなってんだ??」
確かコレ、魔王が作ったんだろ?
魔王ってのは、こんなものまで作れんのか? ウワ、オレ、もしかしてカテナイ??
だからセシィはトメテ、オレは所詮バカでアシデマトイ。
「……もー、そんな暗い顔しないで、」
「ア、アー、ソウ。魔王ってのは、スゲーんだな、」
「うん! でも、これを作ったのは、魔王様じゃ無いけど、」
マジで! 魔王のヤツは部下までスゲーの!?
あ、ヤバい! セシィにも教えねーと!? これは、一人じゃ、やっぱオレも一緒に、
「えっとね、一緒にいた、お姉さんと同じくらいのお兄さんが作ってくれたんだ。優しくて、お兄さんなのに、お母さんみたいだった」
…………アー、ナルホド。
ソッカ。
なあ、セシィ。
オマエは、何がしたいんだ。
オレにも、話してくれよ。
そのために、マズ、デモ、オレは、どうすればいいんだよ。




